2019.12.22
「令和元年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」は7月31日、大会4日目を迎え、男女準々決勝8試合が鹿児島県薩摩川内市のサンアリーナせんだいで行われた。
この日、注目を集めたのが、福岡第一高校(福岡県)と東山高校(京都府)の一戦だろう。優勝候補の筆頭と目される福岡第一に対して、東山は近畿大会を制するなど調子を上げて鹿児島に乗り込んできた。
試合は前半を37-26と福岡第一のリードで折り返したが、 “打倒第一”に執念を燃やす東山は第3クォーターに猛追を仕掛ける。このクォーターの終盤には3点差まで詰め寄り、勝負の行方は最終クォーターにゆだねられた。
しかし、ここ大事な場面でもう1段ギアを上げたのが福岡第一だった。東山は粘りを見せるものの、小川麻斗のドライブ、クベマジョセフ・スティーブの速攻などで加点。最終スコアは70-56と逆にリードを広げて試合終了の時を迎えたのだった。
試合後、メディアに対応した河村勇輝がこの試合を振り返るとともに、優勝まであと2試合となった今の気持ちを語った。東山に3点差に詰められた場面の心境を聞くと、河村は「負ける気はしませんでした」と振り返る。というのも「福岡県予選の決勝で(福岡大学附属)大濠(高校)に10点以上ものリードを奪われた状況の中から逆転できたので、自分たちのプレーをやり切れれば大丈夫」と動揺はなかったという。
ウインターカップを制した昨年のチームから得点源の松崎裕樹と守備の要の古橋正義が卒業したが、それを埋めるのが神田壮一郎と内尾聡理の2人。「神田や内尾に裕樹さんや正義さんの代わりをしてもらうのではなく、2人には2人の役割があります。得点の部分では僕や麻斗がカバーしますし、スティーブも3年生になってよりコミュニケーションが取れるようになり、存在感を増しています」と、河村は現在のチーム状況を語ってくれた。
それを物語るように、東山戦のスタッツを見ると、河村が両チーム最多の20得点をゲット。小川が12得点を挙げれば、内尾が14得点11リバウンドのダブルダブルを達成するなど気をはいた。実は福岡第一、昨年のインターハイで初戦敗退の憂き目を見ている。もちろん松崎や河村が「FIBA U18アジアカップ」出場のために不在だったのも敗因の1つだが、その悔しさをバネにその後の大会に臨むことで、福岡第一は公式戦で高校生に負けていない。それは新チームになっても継続されている。
それについて問うと、「プレッシャーは特に感じていません。目の前の試合を1つずつ戦うだけです」と淡々と応じる河村。去年の悔しさを晴らすまであと2勝だが、そこには付け入る隙など全くないように見えた。
文=入江美紀雄
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