2020.06.24

【トッププレーヤーの高校時代】東藤なな子「すごく練習をしてリバウンドを強みにしたところはあります」(中編)

トヨタ紡織では昨シーズン、1年目ながらも主力として活躍[写真]=伊藤 大允
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 バスケットボールキングでは、BリーグやWリーグの選手たちに、高校時代を振り返ってもらうインタビュー特集を連載中。トップリーグで活躍する選手たちの高校時代の話を、ぜひ今後の学生生活の参考にしてほしい。

 第6回はトヨタ紡織サンシャインラビッツの東藤なな子が登場。昨シーズンは新人王に輝き、日本代表候補にも選出された19歳が語る高校時代とは。名門・札幌山の手高校時代で学んだことや思い出を全3回のインタビューで振り返る。

インタビュー・文=田島早苗
写真=兼子愼一郎、伊藤 大允

高3のインターハイ、準々決勝で敗れはしたものの16リバウンドをマークした[写真]=兼子愼一郎

――札幌山の手高校へは家から通いでしたか?
東藤 はい。自転車通学で20分ぐらい。(ミニバスからチームメイトで同級生の)関ななみ(日立ハイテククーガーズ)や畠山愛花(桐蔭横浜大学)とは、待ち合わせをして3人で一緒に通っていました。ずっと一緒だったので、高校の時は家族より一緒にいたと思いますよ。冬はバスで通っていました。

――通学時の思い出などありますか?
東藤 うーん、たくさんあるんですけど、1年生の終わりに、当時みんな髪がすごく短くて。それで帰り道に近くにいた少年から「男がスカート履いてる」って大声で言われたことがありました。今でも笑い話で、当時はびっくりしながら「うちらのこと言ってるよね」って(笑)。

 後は気になるお店、美味しそうなパン屋を見付けたら寄ったり。琴似駅近くの『さくら庵』というお店の餅グラタンが美味しくて、オフの日は学校帰りにななみと愛花と3人で食べていました。

――冬はバスを利用とのことですが、大雪の時は大変だったのでは。
東藤 予定通りに家を出ても、遅れたバスを40分ほど待つこともありました。そういう時は家の車で行って。でも、車も普段なら15分で着くところがかなり時間がかかったり。それで登校時間ギリギリというのは何回もありますね。

――40分待つのは辛いですね。
東藤 「今日、遅れてるな、荒れてるな」と思ったら、あえて少し遅れて家を出ます。そこは感覚(笑)。「まだ来てないだろうなー」と思いながら。

――寒さには強いですか?
東藤 暑いよりは寒い方が好きですね。暑いと汗をかくので嫌(笑)。だから、暑いよりは寒い方がましだと。そう思うことで寒さも我慢できました(笑)

――そうなると愛知県(トヨタ紡織の所在地)は暑い方になるのでは。
東藤 めちゃくちゃ暑くて無理です(笑)。寒いのって、暖かい恰好をすればいいじゃないですか。暑いのは何してても暑いので…。

――さて、話を戻し、高校2年生になると、途中からキャプテンに就任します。
東藤 インターハイが終わった後ですね。2年生の代を中心にするみたいになって。最初は副キャプテンでしたが、10月ぐらいの新人戦の試合内容が悪く、当時私はケガをしていて試合に出ていなかったんですね。そうしたら、その大会後に(コーチの)上島(正光)さんからキャプテンの指名を受けて。多分、上島さんは私にやらせたかったと思うんです。だから、指名を受けた時も「来たな」と思いました。

――2年生の時は全国大会での結果も伴わず、苦しい1年間でした。
東藤 苦しかったですね。「何で勝てないんだろう」と思っていました。

 それに私は人に何かを言うのが苦手だったので、キャプテンとしても大変でした。それでも3年生になってからは「最上級生が言わないといけない、その中でもキャプテンが一番言わないと」と思っていたし、私が言うことで周りの3年生も言いやすい環境を作れたらいいなとも考えていたので、言葉を発することには段々と慣れていきました。

――そして3年生になると、東藤選手を筆頭に下級生の頃から主力だった選手たちが最終学年となり、全国大会でも活躍が期待されていました。
東藤 同期がみんな気持ちが強かったので、勝つことに対してよりどん欲だったし、みんなで勝ちに行こうという気持ちは大会ごとに強くなっていきましたね。すごく楽しかったです。

――当時のチームは180㎝を越える選手は不在でしたが、170㎝台でオールラウンダーの選手が多かったですよね。
東藤 速攻がメインの走るスタイルで、私と同じぐらいの身長の選手がたくさんいて、みんな走れるし、ドライブやリバウンドができましたね。だからリバウンド、ルーズボールは絶対の中、『走るバスケット』をモットーにやっていました。

――インターハイはベスト16でした。
東藤 最後は津幡高校(石川)に負けましたね。その前が京都精華学園高校(京都)で。津幡の時は最後バテていました。

――ただ、あの試合は16リバウンドを奪取しました。
東藤 リバウンドしかできないと思っていましたから。

――得点だけでなくリバウンドも当時から自身の強み。リバウンドに対する意識というのは?
東藤 中学の時はリバウンドに行く意識というよりは、行ったら取れる感じで本当に何も考えていなかったんです。だけど高校に入ってからは、リバウンドに行くことに加えて、取り方も一つ一つ教わって、それでよく取れるようになったと思います。

――それでも簡単には取れないですよね…
東藤 (笑)。ボールの引きつけ方とか、何回も跳ぶとか、粘るとか、そういったことを教わって身に付いたところはあります。相手がシュートを打ったら(リングを挟んで)反対側のエリアに行く、そしてボールの動きをよく見ながらすぐに取るといったことを心掛けています。

――何回もボールをティップして取っているシーンも見かけますが、跳んでいる時に1回で取れるとか、何回か跳ばないといけないとかは分かるものですか?
東藤 そこは感覚ですね。津幡の時は相手に大きいセンターが一人いたので、その人に取られないようにと、リバウンドに対する意識も強かった。あの試合は気持ちで取っていたところはあったと思います。

――自分自身、リバウンドが得意だと思ったことは?
東藤 高校1年生の時は何回もキャッチミスしていました。だからすごく練習をして、それでリバウンドを強みにしたというのはあります。

PROFILE
東藤なな子(とうどう・ななこ)トヨタ紡織サンシャインラビッツ
札幌山の手高校時代は下級生の頃から主軸を担い活躍。力強いドライブやミドルシュートなどを主体に得点を奪う点取り屋で、さらにリバウンドやディフェンスでも貢献する。ルーキーイヤーとなった昨シーズンの第21回Wリーグでは見事、新人賞を獲得。日本代表ではU18、U19女子日本代表として国際大会を経験し、昨年は自身初となるトップチームの日本代表候補にも選出された。

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