2020.12.23

先発抜擢の3年生が大仕事!羽黒がオーバータイムの接戦を制して、2回戦へコマを進める

延長戦、2点ビハインドの場面で3ポイントシュートを決めた羽黒の東根翔真 [写真提供]=日本バスケットボール協会
バスケットボールキング編集部

 12月23日に開幕した「SoftBankウインターカップ2020 令和2年度第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。武蔵野の森スポーツプラザで行われた男子1回戦、羽黒高校(山形) と厚木北(神奈川)の一戦は、オーバータイムにもつれ込む熱戦となった。

 こういう場合、追いついた方に勢いがあり、勝利まで突っ走る傾向にある。第4クォーターで同点に追いついたのは厚木北。一度もリードを奪われることなく、5分間の延長を制するところまで来ていた。

 残り時間は4秒、90-92と厚木北に2点リード奪われた場面でタイムアウトを請求した羽黒。齋藤仁コーチの指示は「シュートを打って終わろう」だったという。羽黒のスローインから再開した試合、加藤律輝からのパスを受けた東根翔真は自分にマークが来てないと判断するとトップの位置から思い切りシュートを放った。逆転を狙い高い軌道を描いたボールは見事にリングを通過。まさに絵に描いたようなプレーで羽黒が逆転勝ちを収めた。

 試合後、メディア対応した齋藤コーチは「九分九厘負け試合でしたが、最後は3年生がしっかりシュートを打ち切ってくれました。3年生がいい仕事をしてくれたので良かったです」と笑顔を見せた。

 決勝のシュートを決めた3年生の東根について、「今回は調子が良かったので、スターターに抜擢しました。出だしは硬かったですが、最後いい仕事してくれました。フリーになったので、打って行けという感じです。本当はもう1本振ってシューターに打たせたかったのですが、そこは止められていて。東根がフリーになっていたのでいい選択だったと思います」と殊勲を称える。

 決勝シュートを決めた東根は「このまま負けたくなかった。だから強気で打ちました。ずっとリングは見えてました」とその場面を冷静に振り返った。

 その東根だがもともと3ポイントシュートが苦手で、大会前の合宿で「死ぬほどシューティングをしてきました」という。その成果か「昨日の練習でシュートタッチが良くなっていました。こういうシュートは人生で初めてなんです。でも自信を持って打ちました。打った瞬間に入ったと思いました」と胸を張った。

ウインターカップで先発に抜擢された羽黒の東根 [写真提供]=日本バスケットボール協会


 劇的シュートが決まって勝利をものにした羽黒だが、17点ものリードを奪う展開に持ち込みながら、オーバータイムまで勝負がもつれてしまったのは自分たちにも責任がある。東根は「次も簡単なゲームではないと思います。だから(試合の)入りに集中していけたらと思います」と前を向く。この勢いはまだまだ続きそうだ。

文=入江美紀雄

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