Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
頼れるスーパーエースがチームを全国初勝利に導いた。
12月23日に行われた「SoftBankウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」。3年連続3回目の出場となった豊見城高校(沖縄県)は、これまで夏のインターハイを含めても全国未勝利。だが、今回は北陸学院高校(石川県)との初戦をものにし悲願の全国1勝を手にした。
試合は終始接戦となるも、第3クォーターを終えた時点で豊見城は52ー59の7点ビハインド。勝負の10分間で大仕事をやってのけたのは、自他ともに認めるスーパーエースの渡久地政睦(3年)だ。
「リードされていたので、追いつきたいという気持ちでアグレッシブに行こうと思っていました」と、第4クォーターだけで3本の3ポイントを含む19得点を叩き出した渡久地。北陸学院もさまざまな相手のエース対策を練ってきたが、意識的に取り組んできたという渡久地の3ポイントが勝利を手繰り寄せた。
嘉陽宗紀コーチは、渡久地の第4クォーターの出来についてこう話す。「渡久地くんに対する守り方が何種類か用意されていて、第3クォーターはダブルチームを仕掛けてきたのでパスをするよう指示しました。だけど、第4クォーターになったら引き気味に守ってきたので、ここで練習していた3ポイントを『思いっきり打っていいよ』とアドバイスしました。そしたら自信を持って打ってくれて、チームを生き返らせました」
一方の渡久地は「打てば入るという感覚でした。練習からどんどん打てと言われていたので、練習でやってきたことがそのまま出せました」と、自身のパフォーマンスを振り返った。
昨年のウインターカップでは2点差で涙をのんだ豊見城。しかし、その苦い経験が今回の勝利につながったと嘉陽コーチと渡久地は異口同音に語る。
「去年の今頃は本当に後悔しました。そこから練習態度も変えるようにして、一つひとつの練習に対する意識も高く持って取り組んできました。それが今日に生かせたかなと思います」(渡久地)
「正直、ゲームの途中までは『また去年と同じかな……』と脳裏をかすめたんですけど、今となっては去年の経験が生きたかなと思います。最後、2点リードした場面でのボール回しではきっちり回して得点につなげることができたので、そこは去年の経験が大きかったです」(嘉陽コーチ)
渡久地はこの試合、1人でキャリアハイとなる44得点を稼ぐ大活躍を見せたが、当然チームメートたちの奮闘も今回の勝利には欠かせない。「前半シュートが入らなくて苦しんだ部分があったんですけど、そこでチームメートがオフェンスリバウンドやディフェンスで助けられました。それがあってから波に乗ったプレーができたので、本当にチームメートに感謝です」
「次も今日を上回るくらい点を取りたい」と、全国2勝目へ意気込んだ渡久地の個人技も楽しみだが、松田との“いとこコンビ”による連携プレーにも引き続き注目したい。
文=小沼克年