2020.12.29

「最高の先輩たち」を笑顏で送り出した東京成徳大の2年生コンビ…古谷早紀と佐坂光咲は来年のウインターカップ制覇を目指す

来年も活躍が期待される東京成徳大学の2年生、佐坂光咲(左)と古谷早紀 [写真提供]=日本バスケットボール協会
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 女子決勝戦の後、記者会見に臨んだ東京成徳大学高校(東京)の遠香周平コーチは、残念ながら敗れた一戦を以下のように総括した。

「江村(優有)選手や(オコンクウォ・スーザン)アマカ選手(ともに3年)など、そうそうたる選ばれし者たちに、自分たちがどれだけ戦えるか。『まずは走ろう、徹底的にボールプレッシャーしよう』と。追いついて追い越すことはできなかったですけど、相手を苦しめた時間帯もあったと思います。それに対しては選手たちを褒めてあげたいです」

 最終スコア65-89。結果的に186センチの身長を誇るアマカに53得点を与えてしまったが、守備では司令塔の江村から4つのファウルと7つのターンオーバーを誘発し、第3クォーター終了時点では12点ビハインド。オフェンスでも最後まで積極性を貫き、東京成徳大の選手たちは指揮官の指示通りにコートを駆け回った。

「今日まで日本で一番長くバスケができるチームとして全力を出し切れました」

「負けてしまったんですけど、3年生とできる最後の試合は後悔なく終われたのですごく良かったです」

 表彰式後の取材エリアでそう話したのは、今大会でともに先発に名を連ねた古谷早紀と佐坂光咲の2年生だ。2人はこのウインターカップで先輩たちにも引けを取らない活躍を見せてチームをけん引した。

 ウインターカップから先発の座を射止めた佐坂は、1年生の時は主にインサイドでプレーしていたが、今年からアウトサイドの選手として起用されるようになった。「今大会に向けて練習してきた」という3ポイントは、全6試合で19本成功させ大会トップの成績。計104得点をマークした。

 一方の古谷も、大会を通して佐坂に次ぐ計103得点に加え、177センチの動けるパワーフォワードとして51本のリバウンドをもぎ取った。「2月の関東新人から3年生と一緒に試合に出させてもらって、そのおかげで点が取れるようになり自信がつきました。この大会では3年生とできる最後の大会だったので、2年生のスタメンとして1日でも長く試合ができるよう、2人で3年生を支えようとプレーしていました」と、古谷はこの1年を振り返る。

3年生と一緒に桜花学園に挑戦した古谷(左)と佐坂(右)[写真提供]=日本バスケットボール協会


「コート内ではとても頼もしくて」(古谷)、「コート外では上下関係を感じさせないくらい面白い」(佐坂)と言葉をつないで話してくれた“最高の先輩たち”は笑顔で引退した。次は自分たちがチームを引っ張り、成し遂げられなかった全国制覇を果たす番だ。

「こうして先輩たちにメインコートを経験させてもらったので、この経験を生かして、これからは2人で先頭に立ってチームを引っ張っていきたいです」(古谷)

「今回は準優勝でしたけど、来年また桜花と決勝で当たってウインターカップ優勝できるように頑張りたいです」(佐坂)

「ベスト4以上」を目標に掲げていたチームにとっては納得の準優勝。すべて出し切った。来年のチームを背負う2年生コンビは、こんな言葉でウインターカップを締めくくった。

「めっちゃ楽しかったです」(古谷)

「最高でした!ウフフフ」(佐坂)

 試合直後に流した悔し涙は、いつしか嬉し涙に変わっていた。

文=小沼克年

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