2021.06.14

東海大会を制した岐阜女子がタイトなディフェンスで桜花学園のオフェンスを凌駕

東海大会は岐阜女子が桜花学園を下して優勝を果たした[写真]=山田智子
バスケ情報専門サイト

 6月12日、13日と2日間に渡って「第68回東海高等学校総合体育大会」が三重県にて開催された。

 初日を終えて準決勝に勝ち上がったのは岐阜女子高校(岐阜県)、桜花学園高校(愛知県)、浜松開誠館高校(静岡県)、名古屋経済大学高蔵高校(愛知県)の4チーム。

 準決勝では、桜花学園と名古屋経済大高蔵との“愛知対決”となったが、序盤から大量リードを奪った桜花学園が全員出場で115-44と貫録勝ち。決勝へと駒を進めた。

 もう一方の準決勝、岐阜女子と浜松開誠館は、前半こそ両者譲らぬ展開となったが(29-29)、第3クォーター中盤からインサイドを起点に得点を重ねた岐阜女子が68-53で浜松開誠館を引き離し、競り勝った。

 接戦をものにしてきた岐阜女子に100点ゲームで大勝した桜花学園と、勝ち上がり方は対照的であったものの、決勝戦は出だしから白熱した攻防が繰り広げられる。

 桜花学園は、185センチの朝比奈あずさ(3年)を軸に得点すると、ガードの玉川なつ珠(3年)も要所で外角シュートを沈めていく。対する岐阜女子も、184センチのアググア チカ チュクウ(3年)のリバウンドシュートなどで一歩も引かず。第1クォーターは14-14の同点で終えた。

 しかし、第2クォーターに入ると、桜花学園の朝比奈がさらにペースアップ。平下結貴(3年)のミドルシュートもあり、前半を終えて桜花学園が39-28と11点のリードを奪った。

 それでも、「3クォーターを終えて一桁差になっていればいい」という安江満夫コーチのアドバイスの通り、後半に入るとさらに強度を増したディフェンスを武器に岐阜女子がじりじりと追い上げていく。桜花学園は岐阜女子のディフェンスの前にミスも響き、思うように得点が伸びない。そのままペースをつかんだ岐阜女子が第3クォーターを終えてビハインドを8点に詰めると、第4クォーター序盤には藤澤夢叶(3年)がドライブに3ポイントシュートにと暴れ、桜花学園を捉える。

 そこからは両チームともにインサイドを起点に攻めたが、残り5分を切って岐阜女子はアググア チカ チュクウが3連続得点。藤澤もドライブで畳みかけてリードを奪うと、最後は残り14秒、萩原来夢(3年)のシュートがトドメとなり。岐阜女子が74-69で逆転勝ちを収めた。

桜花学園のエースである朝比奈は27得点を奪ったが…[写真]=山田智子

「個の力では、桜花学園さんは素晴らしいものがあります。でも、それはオフェンス面だと思っていて、うちはオフェンス面では足りないところがあるけれど、足を鍛えてディフェンスをする。『点を取ること』と『守ること』は同じ2点だと思っているので、(決勝は)まさにディフェンスの勝利だと思います」と岐阜女子・安江コーチは試合を振り返る。

 コロナ禍により、練習ゲームができない中での公式戦となったが、「待ちに待った東海大会で優勝できてうれしいです」とも指揮官は笑顔を見せた。

 だが、「桜花学園さんはこれで終わるチームではないということは十分に分かっているので、あとは本番(インターハイ)で勝負ができるように」(安江コーチ)という言葉の通り、桜花学園は夏のリベンジに向けてすでに動き出しているだろう。東海大会の頂上決戦で熱戦を繰り広げた岐阜女子と桜花学園。今年の高校女子界は、この2チームを中心に展開されそうだ。

東海大会優勝の岐阜女子高校[写真]=山田智子

写真=山田智子
取材・文=田島早苗

インターハイ2021のバックナンバー