2021.06.14

強豪同士がしのぎを削った2日間…関東大会女子は明星学園、昭和学院が3連勝

昭和学院(写真)と明星学園が3連勝で関東大会を終えた[写真]=小沼克年
フリーライター

高さと守備力が備わった新生・明星学園

 6月12日・13日、ALSOKぐんまアリーナで「令和3年度関東高等学校女子バスケットボール大会 第75回関東高等学校女子バスケットボール選手権大会」が開催。1週間前に行われた男子の部同様、今年のトーナメントは無観客で開催され、A・Bブロックとも準決勝を終えた時点で閉幕となった。

 各県の予選上位チームがしのぎを削ったAブロックでは、準決勝行きを決める全4試合が10点差以下で決着。地元の桐生市立商業高校、東京都から明星学園高校と八雲学園高校、昭和学院高校(千葉県)がこの混戦を抜け出し、明星学園と昭和学院が3連勝で2年ぶりの関東大会を終えた。

 明星学園は50年間チームを率いた椎名眞一氏に変わり、今年から張⼀コーチが指揮を執る。準決勝の桐生商業戦では最初の10分こそ拮抗したが、第2クォーター以降はアディクペ エスター(3年)、アダム アフォディヤ(2年)のツインタワーを軸に得点を量産。ディフェンスでも張コーチが「私のスタイル」と新たにチームに加えようとしているプレッシャーディフェンスで襲いかかり、酒井杏佳(3年)、池田凜(2年)らのガード陣が前から圧をかけて終始主導権を握った。

 終わってみれば112−62と大差がついたこの試合。桐生商業は、第1クォーターでキャプテンの堀越梨々夏(3年)が負傷してしまったことが大きな痛手に。ただ、チームは1・2回戦で合計58得点を挙げた絶対的エースを失った中でも、最後まで足を止めなかった。西條佑治コーチが「今年は競争率が激しい」と話すように、1年生の久保田夢唯も計13本のシュートを放つなどで積極性をアピール。「これまでは“堀越頼み”のような場面もありましたが、周りがだいぶ動いてくれるようになりました」(西條コーチ)と、今後へ向けてチームの底上げに成功した大会だったと言えるだろう。

明星学園はアダム アフォディヤらの高さを生かして得点を奪取[写真]=小沼克年

昭和学院はメンタル面での課題を残す

 準決勝のもう1試合は、第2クォーターを30−13とした昭和学院がリードを守り16点差で勝利。チームは今大会の山場となった東京成徳⼤学高校(東京都)戦でも、最後までもつれた熱戦を81−74で制し手応えを掴んだ大会になったようにも見える。しかし、鈴⽊親光コーチはこの2日間の試合内容に全く納得がいっていない様子で、試合中も選手たちへ檄を飛ばし続けた。

「集中力がなくてプレーが雑というか、すぐ自分たちで気を抜いてしまいます。3年生のメンタル面がまだ下級生のままで、他のチームの選手たちと比べると甘ったれている部分が多いです。今までも試合に出てきた子たちなので、逆に『私がやらなくても誰かがやってくれるだろう』という気持ちでプレーしています」

 今年の昭和学院は、1年生の頃から主力を担ってきた花島百香と田嶋優希奈を筆頭に、⻄ファトゥマ七南、田平真弥ら3年生の試合経験が豊富だ。その点は今年、全国制覇を目指す上での強みと言えるものの、現時点では精神的な強さが備わっていないと鈴⽊コーチは指摘する。

 エースの花島も「今年は全員が得点を取れるからこそ頼ってしまう時があります。あとは自分で行き過ぎてしまうとバランスが崩れてしまうという思いもあるので……。今はそこら辺の考え方が難しいです」と課題を抱えていた。

 関東地区はこれからインターハイ予選が佳境を迎える。東京都の女子に焦点を当てれば、明星学園、東京成徳大、八雲学園による三つ巴の戦いが予想され、用意された切符は2枚しかない。明星学園の張コーチは、インターハイ出場権獲得へ向け「成徳さんも八雲さんも強いです。今日で終わりではなく、これからはインターハイ予選に向けて気持ちを切り替えて頑張りたいです」と意気込み、大会を後にした。

昭和学院の主力・花島は精神面での課題を口にした[写真]=小沼克年


 文=小沼克年

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