2022.11.06
かつてインターハイで激闘を繰り広げたBリーガーにインタビューを実施。当時の思い出とともに、彼らにとってインターハイがどのような舞台だったのかを伺う本シリーズ。第五弾はサンロッカーズ渋谷のベンドラメ礼生が登場。
中学卒業後に地元福岡県を離れ、宮崎県の強豪・延岡学園高校に入学し、3年時にはエースとしてチームを“高校3冠”に導いた。そんな彼にとって、インターハイとはどんな舞台だったのか。後編では“3冠”の最初の一歩を刻んだ2011年夏の思い出、そしてインターハイという舞台が持つ意味について聞いた。
インタビュー・文=峯嵜俊太郎
――2年生ではインターハイ、ウインターカップともにベスト16入り。全国大会の経験を積んで、いよいよ3年生となります。2年生の時からチームの主体として戦っていた分、より自信は大きくなっていたのではないでしょうか?
ベンドラメ そうですね、どこにも負ける気がしなかったです。緊張はなかったし、自信はもちろんあるし、毎回試合をするのが楽しかったです。
――負ける気がしないという自信の根拠になっていたのは、なんだったのでしょうか?
ベンドラメ やはり、1年間を2年生主体で戦い抜いたというのが一番大きかったと思います。インターハイやウインターカップ で負けても、相手は3年生主体だけど僕たちは2年生主体で、しかもボロ負けじゃなかったので逆に自信につながっていました。
――そうした自信を持って臨んだ3年生の時のインターハイ。実際に2回戦で鳥取東高校に106-58、3回戦は幕張総合高校に118-59というスコアで大勝しています。
ベンドラメ おお〜、強いな(笑)。当時はそこまで点数とかも気にしていなかったので。ただ、試合をしていて「ああ、優勝できそうだな」と思っていたのは覚えています。
――準々決勝では大濠高校をに93-65とこちらも28点差をつけて勝利しています。
ベンドラメ 大濠や福岡第一と試合する時は、僕らもより一層気合いを入れていくので、大会を通してみるとここでまた一段階ギアが上がった試合だったと思います。
――さらに、準決勝ではソウシェリフ選手のいる沼津中央高校と対戦し、79-53で勝利しました。
ベンドラメ 沼津中央にはインターハイ直前の能代カップで負けていて、多分その年に出場した大きな大会で唯一負けた相手でした。新チームが始まって初めての公式戦の初戦で負けたんです。「今年はやれる」と思っていたなかで、一発目で負けたので。正直かなり萎えました(笑)。能代カップではシェリフがどうしても止められなくて負けてしまったので、「どうやってシェリフを止めるか」というのは結構話した記憶があります。
――そんな相手とインターハイの準決勝で当たるのはどんな心境でしたか?
ベンドラメ 「うわっ負けたくないな」と思いました。逆に言えば「負けるかもしれない」という思いが頭のなかにあった。本当にシェリフは止めようがなかったので。「どうしよう、大丈夫かな」という不安はちょっとありました。
――逆に能代カップで負けていた分、この準決勝で当たる前にシェリフ選手への対策が入念にできたという側面はありましたか?
ベンドラメ そうですね。当時のチームは、大学とかプロのように相手を入念に分析するということはなかったので、能代カップで実際に試合していた分、シェリフへの対策がうまくできたのは良かったと思います。ちょっと不安に思っていた分、勝てたのはうれしかったですね。
――実際に試合が始まってみるといかがでしたか?
ベンドラメ 前半終了時点でほぼ同点(46-48)で、「やっぱりこうなるよな」と思ってちょっと嫌な感じもあったんですけど、第3クォーターで40点くらい取って一気に引き離したんです。全員シュート入りましたし、チーム全体の勢いがすごかった。それぐらい点数が一気に離れたんで、僕的には「めちゃくちゃ接戦のなかで、最後に俺が決めて勝ったらドラマチックで面白いやん」なんてストーリーを思い描いていたんですけど、もう全員の勢いがすごすぎて(笑)。めちゃくちゃ盛り上がって、あの瞬間は優勝を確信しましたね。
――第3クォーターでそこまで引き離せたのには、どのような要因があると思いますか?
ベンドラメ やっぱり高校生のバスケットって、勢いが大事だなと思います。その勢いを止めるのも大変だと思うし、波に乗ったらもう高校生は前しか見えなくなるんで、どんどんイケイケになってきて、自分たちのリズムが生まれて。確か、相手がゾーンディフェンスを仕掛けてきた時に、アウトサイドからポンポンって連続でシュートが入って、そこから勢いに乗って一気に引き離せたのかなと。
――最終的には99-75というスコアで勝利して優勝を果たしました。改めて振り返ってみて、全国制覇を成し遂げられた最大の要因はどこにあると思いますか?
ベンドラメ ただただ強かった。僕たちの世代は、各ポジションに同じ世代の控え選手がいたんです。その選手たちも同じように2年生の頃から主力としてやってきていて、常にそこで競い合えていたのは大きかったと思います。1年間戦ってきて、一番強くて、やりづらい相手が延岡学園のBチームだった。そういうレベルの高い練習を毎日行っていたからこそ、圧倒的な力で優勝できたんじゃないかなと思います。
ーーちなみに「9冠」を最初に宣言したのは?
ベンドラメ 岡本飛龍ですね。新入生歓迎会は1年生がステージに立って、一人ひとり自己紹介とか目標を話すんですけど、1人目の岡本が「9冠」なんて言っちゃったから、後に続く選手もそれなりのことを言わないといけない雰囲気になって(笑)。僕も「9冠」と言いました。岡本がきっかけです。
――高校3年間を振り返って、現在の自分に役立っていると思うのはどんなところですか?
ベンドラメ 1年生の時はベンチに入れない時期もあったんで、その時期に練習をやめなかった、腐らなかったという経験は、今の僕にとって大きいと思います。努力が必ず報われるとは言わないけれど、やらなきゃゴールにも近づかないと思うし、やらないよりやり続けた方がいい。やらなかった自分よりも、確実に一歩前に進めるので。それを身をもって体験できたことが、今も常に向上心を持って練習に取り組むという姿勢につながっていると感じます。
――改めて、ベンドラメ選手はインターハイとはどんな舞台だと思いますか?
ベンドラメ インターハイは、初めて自分のプレーが全国の目に触れる場所。大学やプロのスカウトの人も見ているので、プロを目指してる人であれば、いいアピールの場でもあり、自分の力を試す最高の舞台だと思います。インターハイでの自分の出来次第で、そのあとのモチベーションは大きく変わってくると思っていて。それこそ大学でもバスケを続けるかどうか悩んでいる選手もたくさんいるなか、インターハイでうまくいけば「プロを目指そうかな」という意識も生まれてくると思う。だから、インターハイはバスケット人生におけるすごく大きな分岐点なんだと思います。
――最後にインターハイへ出場する現役の高校生選手たちへメッセージをお願いします。
ベンドラメ もちろん全国大会にはすごく強いチームがたくさん出てくるし、相手が怖く感じる時はあると思うんですけど、そういう時は自分たちも全国に出られる実力のあるチームだということ再確認してほしいです。「どこどことやるの怖いな」とか、そんなことは考えていたらもったいないので、チャレンジしてほしい。全国大会に出るチャンスなんて、もしかしたら人生でその日だけかもしれないから、自分の実力を試すいい機会でもあるし、そこでもしうまくいかなかったとしても「チャレンジした」と言えるような大会にしてほしいです。
――現役生たちには、ぜひ大舞台を楽しんでほしいですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。
ベンドラメ ちなみに3年生のインターハイで僕って何点取っていたんですか?
――ベンドラメ選手は5試合で145得点、平均で29.0得点を記録していますね。
ベンドラメ えぇ、平均29得点ってやばくないですか? それは注目選手になりますね(笑)。当時は数字を気にしていなかったので、今聞いてびっくりしました。自分的にはいい選手だとは思いながらも、「そこまでかな? 名前が横文字だから注目されてるのか?」とか思っていたんですけど、なかなか悪くなかったみたいですね(笑)。
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