2022.08.02
2年ぶりのインターハイが北信越地区を舞台にまもなく幕を開ける。昨年の大会は新型コロナウイルスの影響により中止を余儀なくされ、今年の高校生プレーヤーのなかには夏の全国を知らない選手も、数多くいるだろう。そこでバスケットボールキングでは、かつてインターハイで激闘を繰り広げたBリーガーにインタビューを実施。当時の思い出とともに、彼らにとってインターハイがどのような舞台だったのかを伺った。
第四弾は今シーズンからレバンガ北海道でプレーする寺園脩斗。宮崎県に生まれ、指導者である父親の影響で小学生のときからバスケットをプレーしてきた寺園は、地元の強豪・延岡学園高校で2度にわたって“夏の王者”に輝いている。そんな彼にとって、インターハイとはどんな舞台だったのか。前編では中高一貫の中学への入学から2年次の2冠達成までの思い出を聞いた。
インタビュー・文=峯嵜俊太郎
――小学生の頃にバスケットを始めたと伺いましたが、きっかけはなんだったのでしょうか?
寺園 父親が中学校の指導者をしていて、小さいときからバスケットに触れる機会が多くて。それで自ずと小学1年生の5月くらいにはミニバスに入団していました。
――当時のチームの強さは?
寺園 小学6年生のときには全国ミニバスケットボール大会でブロック準優勝しました。僕自身は当時身長138センチくらいで、大きい選手が周りに多かったので、人よりも努力しなければならないと思っていましたね。小学2年生くらいから毎日欠かさず、父親に手伝ってもらいながら300本のシューティングをしていました。
――その後は中高一貫校である延岡学園尚学館中学校へ入学しました。
寺園 当時、延岡学園高校の監督をされていた北郷純一郎先生と僕の父親がすごく仲が良かったんです。尚学館中は当時から延岡学園の高校生と一緒に練習したりもしていて、北郷先生に「中学のうちから一緒に練習しないか」と声を掛けていただいたことがきっかけで、入学を決意しました。
――尚学館中から寮生活をされていたそうですが、親元を離れる不安はありましたか?
寺園 いや、全くなかったですね。逆に中学生のときから高校生と練習できるというワクワク感のほうが強かったですね。寮も高校生と一緒の寮に住んでいたので、コミュニケーションを取ったり、シューティングメニューを一緒にさせてもらったり。強豪校の雰囲気を身近に感じられたので、自分にとってすごくプラスだったと思います。
――寺園選手が中学3年生のときには、延岡学園高校にベンドラメ礼生選手(現・サンロッカーズ渋谷)や岡本飛竜(現・新潟アルビレックスBB)選手が入学しました。
寺園 僕が中学校3年生のときに、礼生さんや飛竜さんを含む高校1年生であまり試合に出ていない先輩たちが僕らの相手をしてくれていました。今となってはいい思い出ですけど、当時はケチョンケチョンにやられていましたね。ただ、その中でもやっぱり通用する部分もあったり、逆に自分には何が必要かなと考えさせられる部分もあったり、本当に環境に恵まれていました。飛竜さんは僕と寮が一緒で、一緒に自主練とかもさせてもらって。その関係は今も続いているくらい仲がいいんです。
――1年次、夏のインターハイはメンバーに入れませんでした。いつ頃からチーム内での序列を上げていったのですか?
寺園 インターハイとウインターカップの間に明成高校(現・仙台大学附属明成高校)との試合があって、そのときに結構活躍したことで、冬のウインターカップではメンバー入りできたのではないかと思っています。入学したときは先輩に遠慮してパスを回してばかりでしたけど、その頃からスイッチが変わって自分で点を取りにいくなど、自分の良さを出せるようになりましたね。
――ウインターカップではメンバー入りを果たし、全国の舞台を経験されています。
寺園 ウインターカップではザック・バランスキー(現・アルバルク東京)選手のいる東海大学付属第三高校(現・東海大学付属諏訪高校)に負けたんですけど、そのときもセカンドガードとして出させてもらって、すごくいい経験させてもらったなと思っています。
――2年生に進級してからはメンタル面やチームでの立ち位置に変化はありましたか?
寺園 正直言ってあまりなくて、試合に出るにはどうしたらいいかと焦る気持ちが強かったです。先輩にはベンドラメ礼生選手や岡本飛竜選手というスター軍団がいて、そのなかで自分の良さを出して試合に出なきゃいけないということで、すごく悩みながら過ごした2年生でした。
――2年次は初めてインターハイのメンバーに入り、チームも初戦の2回戦で鳥取東高校に106-58、3回戦で県立幕張総合に118-59で大勝と順調な滑り出しを見せました。
寺園 やはり1、2回戦となると、上の先輩を休ませるためにも僕らが試合に出る機会が多くなるので、アピールのためにもチャンスがあればシュートを打つし、アタックするという気持ちが常にあったのを覚えています。
――準々決勝では福岡大学付属大濠高校に93-65、準決勝では沼津中央高校にも79-53で大勝と破竹の勢いで勝ち上がりました。
寺園 当時は本当に負ける気がしませんでした。ベンチで控えている僕らも、常に出る準備はしておかないといつ呼ばれるかわからない、というようなチームの状態でしたね。
――緊張しながらも、頼れる先輩たちの存在がリラックスにもつながったのでは?
寺園 そうなんです。自分は緊張しているけど、チームは絶対に負けないという自信があったので、ある意味リラックスして試合に臨めていたのかと思います。当時はチームのことよりも、個人としてどうプレーするかを考える気持ちのほうが強かったです。
――最終的に決勝の福岡第一高校戦も99-75と大差で勝利して全国制覇を達成しました。
寺園 もちろんすごくうれしかったですし、(学校としても)初めての高校のタイトルということで、「やってやった」という感じはありました。けれど、やっぱり個人的には全然試合にも出られなかったですし、大事な場面では先輩方が試合に出ていて、個人的にはまだまだだなと感じたインターハイでした。
――その気持ちはウインターカップでも続いたのでしょうか?
寺園 そうですね。ウインターカップでもやっぱり先輩方が主力で、僕らの代に主力で出る選手はほとんどいなくて。ウインターカップも優勝して、国体と合わせて3冠を達成してうれしいんですけれど、自分の代はどういうチームにしていくんだという気持ちへの切り替わりは早かったと思います。
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