2022.11.06

先輩ガードたちの姿を見て、勝利を導く司令塔へと成長した福岡第一・轟琉維

「もっと強いディフェンスをしていきたい」と冬に向けての抱負を語った轟 [写真]=佐々木啓次
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 11月3日、「ウインターカップ2022 高校バスケットボール福岡県大会」は大会最終日を迎え、男子は福岡第一高校が福岡大学附属大濠高校を倒して優勝を果たした。

 試合は予想通りの激戦に。福岡第一は第1クォーターでリードを奪ったものの、第3クォーターでは一時逆転を許してしまう。だがその後は、ディフェンスから勝機を見出し、最後は福岡第一が83ー76で勝利を飾った。

「最初はシュートタッチが良くて外から入っていたのですが、入らなくなったときに自分のパスミスだとか、そういったところのミスが目立ったので、もっとIQを高めてやっていきたいです」

 試合後、勝って安堵の表情を浮かべながらも反省点を語ったのは福岡第一の司令塔・轟琉維(3年)。この試合ではチームの初得点となる3ポイントシュートを沈めると、その後も大型選手がそろう福大大濠を相手にドライブで果敢に切り込んで得点を奪取。また、ディフェンスでも一瞬の隙を突いてのスティールを連発し、チームを盛り立てた。中でも第3クォーターで逆転を許した直後のディフェンスは見事で、城戸賢心らと激しいディフェンスからボールを奪い、それを得点へとつなげていった。

“高さ”が売りの福大大濠にドライブで仕掛けた轟 [写真]=佐々木啓次

「最初のプレーがその後に響いてくると思ったので、自分が強気で攻めようと思っていました」と、試合の出だしを振り返った轟。第3クォーターの逆転を許した場面についても「逆転されても慌てずに我慢する時間帯だったので、そこはもう一回ディフェンスからしっかり仕切り直そうと思っていましたし、そこで立て直せたと思います」と、語った。

 試合では幾度となく相手に流れが傾きそうな時間帯があったが、その状況でも落ち着いてプレーし、主導権を渡さなかった福岡第一。特に轟は、大事な場面での得点やアシストなどが光り、その存在感は大きかった。

「ガードが慌ててしまったら、みんなも慌てると思ったので、冷静に行こうと思い、みんなに声をかけながらやりました」と、轟。多くの注目を浴びる中、3年生として、そしてエースガードとして、“さすが”のプレーを披露した。

 試合の流れを読みながら好プレーを発揮することは一朝一夕ではできない。それだけに、「1、 2年生の頃からハーパー ジャン ジュニアさん(東海大学2年)や佐藤涼成さん(白鷗大学1年)の姿を見てきて、ガードとしての姿を教わってきました。学んできたことが生かせたかなと思います」と、轟は言う。

福岡第一の先輩ガードを手本にしてきたと語った轟[写真]=佐々木啓次

 これまでの経験や努力を積み重ねて今がある。その過程を知っているからこそ、井手口コーチも「轟に任せている」と絶大な信頼を置いているのだろう。

 今夏のインターハイ優勝にも轟は、「自分たちの持ち味がそこまで出せたわけではなかったので、少しは自信になったのですが、修正点がいろいろありました」と、言う。だからこそ、ウインターカップでは優勝はもちろんのこと、内容にもこだわりたいと意気込む。

「今日はまだミスが目立っていたので、ターンオーバーをなくして、もっと簡単に攻めて、苦しまずに、チームが楽に勝てるようなポイントガードになりたいです」

 今後への思いを語った絶対的司令塔は、「福岡第一の“堅守速攻”が強いということを証明したいと思っているので、そこを徹底していきたいです」と、冬の大一番に向けて気を引き締め直していた。

取材・文=田島早苗
写真=佐々木啓次

BASKETBALLKING VIDEO