2023.08.24

「史上2人目の日本人NBA選手」や「リアル・桜木花道」…バスケW杯に臨む日本代表12名を徹底紹介!

「FIBAワールドカップ2023」日本代表の12名[写真]=伊藤大允
スポーツライター

 8月25日開幕のFIBAワールドカップ2023に出場する男子日本代表メンバー12名はそれぞれどのような選手なのか。その経歴からプレースタイルまで、各選手の特徴を徹底紹介する。

文=永塚和志

※プロフィール情報は8月24日時点

▼#2 富樫勇樹


生年月日:1993年7月30日(30歳)
ポジション/身長・体重:PG/167センチ・65キロ
所属:千葉ジェッツ

 小柄ながら抜群のスピードとドリブル技術、そして勝負強い3ポイントシュート力を持つ。日本バスケットボール界きっての人気者で、Bリーグが始まった2016-17シーズンから昨シーズンまで7年連続でベストファイブに選出され、2018-19にはリーグMVPに輝き、シーズン後には同リーグでプレーする日本人で初めて年俸が1億円を超えたことが発表された。日本代表候補にはアメリカの高校在学中から選出。2019年ワールドカップ直前に指の骨折で大会は欠場も、2021年の東京オリンピックは出場している。日本代表のホーバスHCからは彼の就任時からチームの中心として考えられ、継続して招集。今回のワールドカップはキャプテンとしてパリオリンピックへの切符獲得という結果を目指す。

▼#5 河村勇輝


生年月日:2001年5月2日(22歳)
ポジション/身長・体重:PG/172センチ・68キロ
所属:横浜ビー・コルセアーズ

 こちらも小柄な司令塔ながら高校時代から全国制覇をするなど全国的に有名だった。高校在学時から特別指定制度を使ってBリーグでプレーし、早くから非凡なパス技術やリーダーシップで成長を続けてきた。コート上での視野の広さは他の選手たちとは一線を画し、鋭いドライブからノールックでパスを決め、劣勢でも一気に会場の空気を変えることができる。2022年春には日本代表となるために通っていた大学からの中退を表明し、同年夏からホーバスHCのチームに招集。代表活動を通じて得点への意識を高めたことが奏功し、2022-23シーズンのリーグMVPとなった。そのキラーパスと粘り腰からボールを奪うディフェンスで、チームきっての「ディファレンスメーカー」となる。

▼#6 比江島慎


生年月日:1990年8月11日(33歳)
ポジション/身長・体重:SG/191センチ・88キロ
所属:宇都宮ブレックス

 爆発的なスピードがあるわけではないにもかかわらず、独特のステップで相手の虚を突いて切れ込んでいく”比江島ステップ”が代名詞で、3ポイントシュートの精度も高く「日本の天才」とも言われる。前回のワールドカップと一昨年の東京オリンピックにも出場しており、今回のメンバーのなかでは最年長ながら、言動やふるまいが「ゆるく」、かなり年下の選手たちからもいじられる「愛されキャラ」としてファンからの人気も高い。前述の世界大会では立場は盤石だったが、ワールドカップへ向けての激しい生き残り競争にさらされ、自身がどれほど評価されているのかわからず気を揉む姿もあった。過去にはオーストラリアリーグやNBAサマーリーグにも挑戦するなど、海外での経験もある。

▼#12 渡邊雄太

生年月日:1994年10月13日(28歳)
ポジション/身長・体重:SF/206センチ・97キロ
所属:フェニックス・サンズ

 高校卒業後に周囲の懐疑的な見方のある中、NBA選手になることを目指し渡米。努力を重ね、大学卒業後に日本人史上2人目のNBA選手となり、これまで5シーズンプレーしてきた。同リーグのなかでは身体能力等で突出するわけではないものの、3ポイントやディフェンス、IQを磨き、下部組織のNBA GリーグとNBAの行き来をする立場の弱いツーウェイ契約から本契約を勝ち取った。優れたリーダーシップも兼備し、前回のワールドカップや一昨年の東京オリンピックでは共同キャプテンを務めた。同2大会で日本が全敗したこともあり、今回のワールドカップには日本唯一のNBA所属選手として臨むが、チームを来夏のパリオリンピックへけん引できなければ代表から身を引くと話している。

▼#18 馬場雄大

生年月日:1995年11月7日(27歳)
ポジション/身長・体重:SG/195センチ・90キロ
所属:フリー

 日本代表屈指の身体能力を誇り、コートを駆け上がるスピードはワールドクラス。勢いをつけての豪快なダンクは「Baba Boom」と形容され、ファンからの支持を集める。大学在学中からBリーグでプレーし、その後、NBA選手を目指してオーストラリアリーグやNBA Gリーグに参戦。3ポイントやドライブインの際のフィニッシュのバラエティーも磨いてきた。前回ワールドカップと一昨年の東京オリンピックのメンバー。同ワールドカップのアメリカ戦では大敗のなか、躍動し、相手のスター選手であるドノバン・ミッチェル(クリーブランド・キャバリアーズ)から「馬場のプレーが好きだ」と言われた。渡邊雄太同様、日本をパリオリンピックへ導けなければ代表から身を引く覚悟に言及している。

▼#19 西田優大

生年月日:1999年3月13日(24歳)
ポジション/身長・体重:SG/190センチ・90キロ
所属:シーホース三河

 シューティングガードとしては強い体を持ち、ドライブイン、3ポイント、ディフェンスと万能さが売りで、ホーバスHC体制となって常に日本代表招集されてきた。今回のワールドカップ直前合宿ではポイントガードとしての起用が試され、これが奏功。韓国との強化試合では速攻からの攻めの起点として躍動。12名のロスター選出となった。リリー・フランキーの絵本「おでんくん」の主人公に顔が似ていることから「おでんくん」のニックネームで親しまれている。2019年ワールドカップや2021年東京オリンピックでも代表候補になっているが、惜しくも本大会出場はならなかった。PG、SG、SFと3ポジションをこなせるのは自分しかいないという自負を胸に、世界に挑む。

▼#24 ジョシュ・ホーキンソン

生年月日:1995年6月23日(28歳)
ポジション/身長・体重:C・PF/208センチ・106キロ
所属:サンロッカーズ渋谷

 アメリカの大学卒業後に来日しプロキャリアを始める。最初はホームシックだったというが、考え方を日本人のそれにしたことで克服。徐々にこの国が好きになっていき、日本語も上達した。そして2023年2月には帰化申請が降り、直後には日本代表としてデビューを果たす。アメリカでの愛称”Big Hawk”から転じて”鷹大(たかひろ)”という「日本名」も持ち、「鷹ちゃん」と呼ばれることも。ファン感謝祭で日本のポップ音楽を熱唱したり、当時所属の長野の祭りで踊りを踊るなど、これまでの帰化選手以上に日本に順応し、人気も高い。ビッグマンだがIQが高くパスにも長け、ホーバスHCからはNBAのMVP選手「ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)のようだ」と言われた。

▼#30 富永啓生

生年月日:2001年2月1日(22歳)
ポジション/身長・体重:SG/188センチ・80キロ
所属:ネブラスカ大学

 天才的左利きのシューターで、桜丘高校3年生時のウィンターカップでは平均39.8得点というとてつもない数字で、得点王となった。高校卒業には米レンジャー短大へ進学後、2021-22シーズンより米強豪リーグ所属のネブラスカ大へ転校。2022-23シーズンには5試合連続で20得点以上を記録するなど躍進し、自身が憧れるNBAのスーパースター、ステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)からもSNSで反応をもらった。シーズン後にはNBAドラフトへエントリーも、後に取り下げもう1年大学でのプレーを決断している。一昨年の東京オリンピックには3人制バスケットボールで日本代表として出場している。ホーバスHCからは「特別なシューター」と評されている。

▼#31 原修太

生年月日:1993年12月17日(29歳)
ポジション/身長・体重:SF/187センチ・96キロ
所属:千葉ジェッツ

 日本男子代表がホーバスHC体制下となった直後の合宿には招聘も、その後はまったく声がかからなくなり、縁はないのかと思いきや、ワールドカップ直前の合宿から再招集。ついには本大会のメンバーにも名を連ねた。武器は強靭な肉体を駆使したディフェンス力で、PGからPFまで守ることができる。同程度の身長の選手よりも体重が10キロ近く重いが、トレーニングの成果で俊敏さもあり、オフェンス時には体をぶつけながらのドライブインが売り。その体躯から、名古屋の東山動物縁のイケメンゴリラ「シャバーニ」をもじって「ハラーニ」という異名を持つ。2022-23のBリーグではベストファイブ、ベストディフェンダー賞を受賞するキャリアイヤーとなった。

▼#75 井上宗一郎

生年月日:1999年5月7日(24歳)
ポジション/身長・体重:PF/201センチ・105キロ
所属:越谷アルファーズ

 ビッグマンながら3ポイントが売りで、リリースの早さでボールを受けてすぐに打つことができる。しかし一方で、中学、高校、大学と名門と呼ばれる学校に所属しながら、プロ入り後は外国籍選手がいるために出番がほとんどないという不遇の時期を過ごしてきた。そんなベンチに座ることが大半の彼をホーバスHCは見出し、22年、代表招集。吉井同様、無名の存在から日本代表活動を経て知名度を上げてきた。同指揮官からは気持ちの強さを評価されているが、得意の3ポイントがなかなか入らず、ワールドカップ本戦の選出が微妙ではないかと思われるなか、ディフェンスでより体を張るようになったこともあって見事、椅子を勝ち取った。フリースローはバックボードに当てながら入れる変わったやり方を採用している。

▼#91 吉井裕鷹

生年月日:1998年6月4日(25歳)
ポジション/身長・体重:SF/196センチ・94キロ
所属:アルバルク東京

 Bリーグの所属チームではほとんど出場時間のない「知る人ぞ知る」選手だった男はしかし、ホーバスHCから能力を見込まれ2022年から代表招集され、合宿ごと、試合ごとに大きく飛躍してきた「ホーバス・チルドレン」の1人。世界レベルでその体躯は小さいにもかかわらず、相手に体をぶつけることをまったくいとわないところが際立ち、日本の動きが止まると自らの勇猛なドライブでリングへアタックする。そのプレーぶりにはチームメートたちも勇気をもらう。ただし、アグレッシブ過ぎてファウルトラブルに陥ってしまいがちなのが課題。どうも取材が苦手なのか、取材エリアをそそくさと早足で駆け抜けようとする傾向がある。しかし、不思議な空気を持つ魅力がある。

▼#99 川真田紘也

生年月日:1998年6月16日(25歳)
ポジション/身長・体重:C/204センチ・110キロ
所属:滋賀レイクス

 バスケットボールを始めたのは中学からと遅く、当人も競技は高校まででやめるつもりだったというほど、有望視された存在ではなかったものの、徐々に能力を開花させプロ入りにまでこぎつけた。ホーバスHCからはそのサイズが見込まれ代表候補にはなんども選ばれながら、なかなか試合出場は果たせていなかった。が、今年2月のワールドカップ・アジア地区予選でデビューを果たし、日進月歩の成長で本戦12名にも残った。不器用ながらその急速な成長速度などから「リアル・桜木花道」と呼ばれ、おちゃらけたキャラクターも相まって認知度も一気に上がっている。しかし、元来は人見知り。自身が「合っていない」とするホーバスHCのスタイルのチームで、愚直にゴール下を守る。

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