8月27日、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の1次ラウンドが行われ、グループEでは男子日本代表（FIBAランキング36位）がフィンランド代表（同24位）と沖縄アリーナで対戦した。

　第1クォーターをリードして終えた日本だったが、第2クォーターでフィンランドの猛攻を受けると、第3クォーター残り2分46秒にはこの試合最大となる18点ものビハインドを背負う。それでも、そこから10点差に詰めて第4クォーターに望みをつなぐと、中盤に河村勇輝（横浜ビー・コルセアーズ）のバスケットカウントで逆転に成功。最後まで一丸となって戦った日本は、98－88で歴史的な勝利をつかんだ。

　試合後、トム・ホーバスヘッドコーチは、「いつも言うけど、3ポイントシュート、ペイントアタックとフリースローのオフェンスバランスが大事。今日はフリースローが34本（27本成功）だったじゃないですか」と笑顔で勝因を語った。

　ワールドカップ直前の強化試合やドイツ戦では3ポイントの確率が上がらず、その結果ペイントアタックも難しい状況に追い込まれていたが、この試合では「富永（啓生／ネブラスカ大学）が熱くなって、河村も熱くなって、そこからペイントが空きました。相手がディフェンスプレッシャーかけてきて、ジョシュ（・ホーキンソン／サンロッカーズ渋谷）のスリップなどいろいろできました」と、アウトサイドシュートの成功により、ついに日本のやりたいバスケットを体現した。

コートサイドで選手とともに戦い続けたホーバスHC[写真]＝伊藤大允

　また、苦しい時間帯で日本の得点をけん引した比江島慎（宇都宮ブレックス）については、「彼はディフェンスやゲームの流れを読めるので、うちのリズムが良くないときにドライブからファウルをもらってくれた。彼が前半にあのプレーをしていなかったら負けてたかなと思います」と話し、チームを救ったベテランスコアラーを称えた。

　チーム一丸となって第4クォーターの逆転劇につなげた日本。最後に試合を決めたのは25得点9アシストと躍動した河村だった。「あれはBリーグでの河村ですね。3ポイントにドライブ、相手のビッグマンが来てもフローターシュート。富永も含め彼らは自信がずっとあったんです。今日は本当にいい経験になったと思います」。

　ドイツ戦では存在感を発揮しきれなかった富永と河村だが、フィンランド戦では持ち前の爆発力で日本に勢いと勝利をもたらした。指揮官も若手2人の躍動ぶりを称賛し、確かな成長を噛み締めた。

「この2人のポテンシャルはすごく高いです。天井がめっちゃ高い。でもこのレベルでは簡単にプレーできないんです。相手が大きいし、速いし、強い。でもドイツ戦の経験もあってすごく良かった。スロベニア戦やフランス戦もいろいろ経験になったじゃないですか。僕はもうすっごい我慢したんですよ。富永と河村がいつ爆発するかなと思ってね。本当に今日は良かったです。次も頼むよ。まだ22歳、これからです」

指揮官は笑顔で会場をあとにした[写真]＝伊藤大允

　1勝1敗となった日本は、29日に同じく1勝1敗のオーストラリアと1次ラウンドの最終戦に臨む。ホーバスHCは「次もこういうバスケットをやりたいです。オーストラリアはめっちゃ強いけど、難しいかもしれないけど、私たちは信じています」と力強く語り、さらなる金星を目指す。