2023.08.28

バスケW杯で最大18点差を跳ね返した日本代表…火付け役の富永啓生「すごく成長できた試合」

日本に勢いをもたらすプレーを発揮した富永[写真]=伊藤大允
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 8月27日、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の1次ラウンドが行われ、グループEでは男子日本代表(FIBAランキング36位)がフィンランド代表(同24位)と沖縄アリーナで対戦した。

 第1クォーターをリードして終えた日本だったが、第2クォーターでフィンランドの猛攻を受けると、第3クォーター残り2分46秒にはこの試合最大となる18点ものビハインドを背負う。それでも、そこから10点差に詰めて第4クォーターに望みをつなぐと、中盤に河村勇輝横浜ビー・コルセアーズ)のバスケットカウントで逆転に成功。最後まで一丸となって戦った日本は、98-88で歴史的な勝利をつかんだ。

 この試合では22歳のシューテングガード、富永啓生(ネブラスカ大学)が日本に大きな勢いをもたらした。初戦のドイツ戦ではディフェンス面での懸念と徹底的なマークにより、12分42秒と限定されたプレータイムに。最大の武器である3ポイントもわずか2本しか打てず、5得点にとどまっていた。

「今日はオフェンスどうこうというよりか、まずディフェンスから入るということをコートに出るとき意識していました。今日はいつも以上にディフェンスにフォーカスしてやっていました」

 ディフェンスに重きを置いて臨んだというフィンランド戦では、18分35秒のプレータイムを得ると、3ポイントを7本中4本成功させ、17得点1リバウンド2アシスト3スティールとハイパフォーマンスを披露。第1クォーターでは出番がないなか、第2クォーターで1本目の3ポイントを沈めると、さらに立て続けに2本目も決めて見せた。

富永はわずかなディフェンスのズレから、得意の3ポイントを沈めた[写真]=伊藤大允

 最大18点差まで突き放された第3クォーターの終盤から、さらにギアを上げた富永は、決してノーマークとは言い難い状況から長距離砲を決める。この爆発により、フィンランドのディフェンスがアウトサイドを警戒せざるを得ない状況となり、大逆転劇の火付け役となった。

 第4クォーターには富永に加え、河村が4本の3ポイントを含む15得点と大爆発。2人はディフェンスプレッシャーもかいくぐり、ジョシュ・ホーキンソンサンロッカーズ渋谷)の得点をアシストするなど、日本を勝利に導いた。この河村のプレーについて富永は、「最後の大事な場面で立て続けに3ポイントを決めてくれて、あの3ポイントで相手(の気持ち)が切れた部分もあったと思うので、本当にすごく頼もしかったです」と語り、同じく2001年生まれの司令塔を称えた。

第4クォーターでは驚異のパフォーマンスでフィンランドの心を折った河村[写真]=伊藤大允

「自分たち2人とも、まだ経験がなかなかないんですけど、若いエネルギー溢れるプレーでチームを勝利に導けたのはすごくうれしかったです。これからの自分たちのバスケット人生においても、すごく成長できた試合になったのではないかなと思います」

 29日のオーストラリア戦では勝った方が2次ラウンドへ進むこととなるが、相手は世界ランキング3位の強豪。トム・ホーバスヘッドコーチも「2人のポテンシャルは天井がすごく高い」と太鼓判を押す若手コンビの爆発が再び必要となる。

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