2023.09.25

ここからパリ五輪バスケ代表入りの可能性も…アジア競技大会に臨む男子日本代表12名を徹底紹介

「アジア競技大会」男子代表のキャプテンを務める齋藤拓実[写真]=バスケットボールキング
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019ワールドカップ等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。

 9月26日にスタートする「第19回アジア競技大会」に出場する男子日本代表メンバー12名はそれぞれどのような選手なのか。その経歴からプレースタイルまで、各選手の特徴を徹底紹介する。

文=永塚和志

※プロフィール情報は9月25日時点
※2022-23シーズンの写真も使用

佐藤卓磨


生年月日:1995年5月10日(28歳)
ポジション/身長・体重:SF/197センチ・93キロ
所属:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

 故障の高島紳司宇都宮ブレックス)に代わって追加招集された。東海大学付属第四高校時代にはチームをウィンターカップでベスト16に牽引し、東海大では1年生時から3年連続でインカレ準優勝を果たしている。2017年には特別指定制度で滋賀レイクスターズ(現・滋賀レイクス)を経て千葉ジェッツに入団。千葉Jではディフェンスや3ポイントシュートの力量を上げ、リーグ制覇や天皇杯優勝に貢献している。今シーズンは名古屋Dに移籍した。U18や李相佰盃で代表歴があり、ホーバスHC体制下では昨年、ワールドカップ・アジア地区予選の4試合に出場し、Window1のチャイニーズ・タイペイ戦で3本の3ポイントを決めている。同年のアジアカップに出場した。

齋藤拓実


生年月日:1995年8月11日(28歳)
ポジション/身長・体重:PG/172センチ・69キロ
所属:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

 2017年に特別指定で加入したアルバルク東京で力をつけ、滋賀レイクスへの期限付き移籍を経て2020年に名古屋Dと契約。小柄ながらしつこいディフェンスとテンポの速い攻め、確率の高い3ポイントが売りで、ショーン・デニスHCの求めるハイペース、ハイスコアリングなスタイルを最も体現する選手。昨シーズンの6.9アシストはリーグ5位だった。ホーバスHC体制となってからはワールドカップ・アジア地区予選のWindow1から招集を受け、その後も常に代表候補の遡上にあがってきた。ワールドカップ本大会への選出はならなかったが、同HCの評価は高い。名古屋Dのスタイルと日本代表の戦いぶりは名古屋のそれと似ており、齋藤はフィットしやすい。

今村佳太


生年月日:1996年1月25日(27歳)
ポジション/身長・体重:SG/191センチ・92キロ
所属:琉球ゴールデンキングス

 高校、大学とも無名校出身ながら2017年に新潟アルビレックスBBに加入し、2020年に琉球へ移籍。徐々に主力として欠かせない戦力として成長してきた。元々、ボールハンドリング等、様々なスキルに長ける器用な選手として知られてきたが、2022-23シーズン前のオフにはドリブル面などを強化し、よりチームオフェンスの起点となるプレーができるようになった。3ポイントも年々良くなっており、昨シーズンのCSでは1試合で7本を決める試合もあった。2018年のアジア大会では日本代表として出場。ホーバスHC体制ではワールドカップ・アジア地区予選のWindow2の2試合に出場している。SGの争いは激しいが、今年のワールドカップで選出外だった選手の中では、パリオリンピックメンバー入りが期待される1人だ。

熊谷航


生年月日:1996年5月7日(27歳)
ポジション/身長・体重:PG/173センチ・70キロ
所属:秋田ノーザンハピネッツ

 U18、U22の日本代表に選出され全日本大学選手権ではベストファイブとなるなど、プロ入り前は世代のトップを走る司令塔だった。小柄だが鋭いドライブからのレイアップやアシストパスを供給するスタイルで、3ポイントも年々成長している。ターンオーバーが非常に少なく、しつこいディフェンスもできるため、彼がコートにいる時のチームの得失点差はここ2年、プラスとなっており貢献度が高い。昨シーズンはキャリア最高の平均得点をあげるなど、成長著しく、このオフには信州同様、ディフェンスから攻撃を作っていく秋田からのラブコールに応えた形で、移籍を果たした。昨年2月にはアジア競技大会に向けた日本代表強化合宿に招集。ホーバスHCからはピック・アンド・ロールからのジャンプシュートを褒められるなど、自信を深めた。

寺嶋良


生年月日:1997年10月23日(25歳)
ポジション/身長・体重:PG/179センチ・77キロ
所属:広島ドラゴンフライズ

 梅丘中学、洛南高校、東海大学と日本の学生バスケットボール界のエリートコースを歩んできたが、本格的にPGへ転向したのは大学入学後。スピードと当たりの強さを生かしたドライブと、フィジカルなディフェンスからのスティールなどを得意としている。3ポイントも年々向上しており2021-22シーズンには成功率45.4パーセントという高確率の数字を残した。昨シーズンは調子を落としたが、それでもシュートの効率を示すeFG成功率は53.1パーセントと高かった。ホーバスHC体制となって、2023年ワールドカップ・アジア地区予選の前半4試合でメンバー入りし、Window1の中国戦では積極的にリングをアタックしてチームトップの16得点をマークしている。

細川一輝


生年月日:1997年11月17日(25歳)
ポジション/身長・体重:SG/187センチ・92キロ
所属:三遠ネオフェニックス

 高校時代に全国大会への出場はなく、大学は入学時には関東3部所属のチームだったが、2部で2年連続得点王など着実に実績を重ね、群馬クレインサンダーズに特別指定選手として入団。その後、京都ハンナリーズを経て三遠へ入団した。売りはボールをもらって速射できる3ポイントだ。2022-23シーズンは39.4パーセントという高い成功率を残し、かつ試投数でも前年から1試合平均で2本伸ばしており、チーム成績が芳しくなかったことで目立たなかったものの、eFG成功率が54パーセントをマークするなど得点効率が良かった。体が強いこともあって、リバウンドにもよく絡む。今年2月、ワールドカップ・アジア地区予選最終Windowでは代表候補となるも試合での出場登録はなかった。

平岩玄


生年月日:1997年12月5日(25歳)
ポジション/身長・体重:PF/200センチ・105キロ
所属:アルバルク東京

 土浦日本大学高校3年時には国体優勝を果たし、年末のウインターカップでは八村塁を擁する明成高校に敗れ準優勝に終わる。その後、東海大学に進学し2018年のインカレで優勝に貢献し大会MVPとなった。同大2年次には琉球ゴールデンキングス、翌年にはA東京に特別指定選手として所属。2019年以降はA東京にプロ契約で在籍している。日本人ビッグマンがアウトサイドの技術を磨く傾向が強くなる中、リバウンドやディフェンスといったインサイドでの愚直なプレーを追い求める。外国籍選手がいるため試合出場は平均で数分でしかないものの、チーム第一の姿勢の評価は高い。2014年のFIBA U17世界選手権(現U17ワールドカップ)や2019年のウィリアム・ジョーンズカップで日本代表となっている。

西野曜


生年月日:1998年7月27日(25歳)
ポジション/身長・体重:SF/199センチ・94キロ
所属:横浜ビー・コルセアーズ

 一般入試で近畿大学附属高校に入った男は得点源として頭角を現し2、3年生時と連続してウインターカップに出場。レベルが高く、中でもオフェンスが自由で興味をもった専修大学へ進学したことでアウトサイドの技術をつけ、2、3年生時にはインカレで準優勝メンバーとなった。そして特別指定選手として秋田ノーザンハピネッツでのプレーを経て、2020年からはサンロッカーズ渋谷に在籍。外国籍選手がいる中で出番は豊富ではなかったものの、ディフェンスの強化もあって2022-23シーズンには平均13分強の出場時間の中で同5.1得点と成長を見せ、このオフ、横浜BCへ移籍した。ホーバス体制下では初選出だが、これまでU18、U19、また3人制の日本代表には選ばれている。

赤穂雷太


生年月日:1998年8月28日(25歳)
ポジション/身長・体重:SF/196センチ・94キロ
所属:秋田ノーザンハピネッツ

 父親は元日本代表の赤穂真で、姉の赤穂さくらとと双子の妹・赤穂ひまわりはWリーグ選手、さらに下の妹・赤穂かんなもウインターカップに出場するほどのバスケットボール一家に育つ。市立船橋高校、青山学院大学を経て横浜ビー・コルセアーズ千葉ジェッツで特別指定選手としてプレーし、昨シーズンは横浜BCに所属。今シーズンは秋田に新天地を求めた。2メートル近い体躯ながら高校時代にはガードにコンバートされたが、BリーグではもっぱらPF、SFとしてプレーし、フィジカルさを増したことで外国籍選手とマッチアップすることも増えている。ホーバスHC体制下での代表選出はこれまでなかったが、2017年にはU18の代表候補になっている。

市川真人


生年月日:2001年9月20日(22歳)
ポジション/身長・体重:C/206センチ・110キロ
所属:ベルテックス静岡

 静岡学園高校ではインターハイ、ウインターカップといった全国大会の出場はならなかったものの、白鷗大学へ進学し、2021年のインカレでは同校初の日本一メンバーとなった。翌年にも同大会で準優勝を遂げている。中学時代にはすでに身長が約200センチとなっていたが、広いシュートレンジが目を引く。ディフェンスにはまだ課題が多いものの将来性の高さは関係者の注目の的で、高校2年時にはU22の日本代表候補に、同3年時には3人制でU18日本代表となった。今シーズンはB2の静岡の特別指定選手としてトップリーグデビューをする。今年2月にはワールドカップ・アジア地区予選Window6へ向けての直前合宿に追加招集をされている。チームでの背番号「15」はNBAナゲッツのニコラ・ヨキッチが好きだから。

米山ジャバ偉生


生年月日:2002年1月29日(21歳)
ポジション/身長・体重:PF/190センチ・95キロ
所属:富山グラウジーズ

 小学校5年でサッカーからバスケットボールにスイッチし、秀でた身体能力で中学2年生時にはダンクができたほど。東海大学付属諏訪高校から専修大学へ進み、同大3年生時に特別指定で千葉ジェッツと契約。その後、プロ契約となり、今シーズンは期限付き移籍で富山の一員となる。身長は特段高くないものの、当たりに強くドライブからリング近辺での得点が得意。またディフェンスでも外国籍選手に当たり負けをしない体幹の強さを持つ。その攻守の良さが評価され2022-23シーズン中盤は平均15分前後の出場時間を得る試合が続いたこともあった。これまでU18、U23など世代別日本代表の経験があり、PFとして出場した一昨年のU19ワールドカップでは平均6.4得点、4.1リバウンドと貢献した。

▼ 川島悠翔


生年月日:2005年5月27日(18歳)
ポジション/身長・体重:PF/200センチ・93キロ
所属:NBAグローバルアカデミー

 中学では地元・群馬県のクラブチーム「無限NO LIMIT GUNMA BASKETBALL ACADEMY(現NLG INFINITY)」でプレーし、高校は福岡大学附属大濠高校でプレー。同校では1年生時にウインターカップ制覇に貢献し、大会ベストファイブにも選出された。今春、同校を中退しNBAグローバルアカデミー(オーストラリア)に入団。長身ながら将来のNBA入りを視野にアウトサイドの技量にも取り組んできた。とりわけ力強いドライブインが長所だ。2021年のFIBA U19ワールドカップには16歳で出場。今夏のU19ワールドカップでは日本のベスト8入りに寄与した。ホーバスHC体制下では、今年2月には今夏のワールドカップアジア地区予選Window6に向けた日本代表合宿メンバーに最年少で招集されている。

BASKETBALLKING VIDEO