2023.08.11

充実した夏を過ごすジェイコブス晶…「これからもずっと日本代表を目指します」

ハワイ大での活動をスタートしたジェイコブスにインタビュー [写真]=University of Hawaii Athletics
ロサンゼルス在住。1995年に渡米、現在は通信社の通信員として、MLB、NBAを中心に取材を行っている。

 6月24日から7月2日までハンガリーのデブレツェンで行われた U19男子ワールドカップで日本男子史上初となるベスト8進出に貢献し、8月25日から日本、フィリピン、インドネシアで行われるFIBAワールドカップ2023の日本代表候補にも名を連ねたジェイコブス晶。8月5日から進学先のハワイ大学の練習に参加するジェイコブスが、同大の11日間に渡るジャパンツアーでさっそく日本に戻ってきた。

 ハワイ大のエラン・ガノットヘッドコーチは、新加入のジェイコブスについて、「今の晶もとてもいい。だがこれからの彼にワクワクしている。まだ若いが練習熱心で、素晴らしい姿勢で取り組んでいる。どんどん成長していい選手になっていくだろう」と話す。

 ハワイ大は、日本に到着した翌日の10日から東京都内でさっそく激しい練習を行った。その練習後、ジェイコブスに聞いた。

取材・文=山脇明子

一番信頼できたハワイ大に進路決意

――チームに加わって、まだ1週間経たないぐらいですよね。
ジェイコブス 今日の練習で4回目かな。メディカルのクリアが出ていなかったので、それをもらってから今日で4、5回目です。

――ここまで、いかがですか?
ジェイコブス すごく自分に合うシステムだと思うので、早く覚えられていると思います。動いて考えるというのが、日本代表と同じようなオフェンスなので、覚えやすいです。

――進学先をハワイ大に決めた理由を改めて教えてください。
ジェイコブス いろいろな理由があって決めました。その中で一番は、文化についてです。ハワイにはハワイ独特の文化もあり、日本に似ているところもあります。なので、アメリカ(本土)の大学に行くより、ハワイだったら早く慣れると思いました。また、(パンデミックで日本に移るまで住んでいた)カリフォルニアと日本両方に近いというのもあります。あとはコーチたちが僕のことを一番信じてくれているのが、ハワイ大だと感じました。すぐに活躍できるのは、ここだと思いました。

――オファーは何校ぐらいからきていたのですか?
ジェイコブス それが難しいところで、実はアメリカにいた時に通っていた高校の問題で、僕が大学に入るための手続きが非常にややこしくなってしまいました。そのために、ほとんどの学校は、『それは面倒くさい、出来ない』ということでした。でもハワイ大は、『やります』と言ってくれました。ここは最初に話を貰った時から、僕が行きたいと思った大学のトップに入っていたんですけど、12月にラスベガスでプレーしたあとにオファーを貰ってから、ずっと話をし、(4月にNBA Academy Showcaseで)セネガルに行った時も、ハンガリーでのワールドカップでもコーチが来てくれて、ずっと見ていてくれました。だからここがベストだと思いました。

ホーバスHCから「また呼びたい」と期待の声がけ

日本代表合宿で得たものをハワイ大で生かしたいとジェイコブス [写真]=University of Hawaii Athletics


――今夏のワールドカップの日本代表候補にも選ばれましたが、A代表に加わっていかがでしたか?
ジェイコブス 代表に加わらせていただいた何日間かですごく成長できたと思います。プロレベルの選手やプロレベルのコーチングをしてくれるトム・ホーバスヘッドコーチ、コーリー・ゲインズアソシエイトヘッドコーチのような人たちがずっと話してくれて、周りの選手からもいろいろ学べました。12人に残れませんでしたが、19歳でA代表の合宿に行けたというのはすごくいい経験でした。あそこで学んだことが今通用していると思います。

――渡邊雄太選手と練習ができる機会はなかったと思いますが、話すチャンスはありましたか?
ジェイコブス 練習は一緒にできませんでしたが、何回か話をさせてもらう機会があって、練習のメニューのこととか、これからの予定のこととか話しました。(NBAグローバルアカデミーの遠征で初めて会った)僕のことを覚えてくれていました!(笑)。何かについてすごく話せたわけではありませんでしたが、優しい方でいろいろ話してもらえました。

――A代表を離れることになった時は、ホーバスHCからどのように言われましたか?
ジェイコブス 『フィジカルがまだ足りていない』ということだったので、これから大学で鍛えるつもりです。年上の人たちと試合をして、練習して、1年後にはフィジカルの当たりをもっと強くなっているようにします。『次の機会では、また呼びたい』と言っていただいたので、そのためにも大学の練習をしっかりやって、成長したところをちゃんと見せられるように頑張ります。

――19歳でA代表候補に選ばれて、将来が大きく期待されていると思いますが。
ジェイコブス U18、U19、そしてA代表候補に入り、日本代表を続けていきたいという思いが、ずっと自分の中にあります。だから、もうこれで入らないというのは絶対に嫌です。これからもずっと日本代表を目指します。そのための自分のメンタルはちゃんとできています。これからフィジカルもちゃんとできるようにしていきます。

――A代表の練習はどうでしたか?
ジェイコブス 頭のいい選手、IQが高い選手がすごく多いという印象です。僕は(U19の活動があったために)結構遅く合宿に入ったのですが、みんなはもうシステムがわかっているところだったので、その場で覚えなきゃいけないことがすごく多かったです。でも周りの選手がみんなすごく助けてくれて、特に渡邉飛勇選手、ジョシュ・ホーキンソン選手が教えてくれました。他にもチームみんながちょっと間違えたらすぐに話しかけてくれるし、サイドラインでこういうことをするとか、練習の後にも話をしてくれたので、自分も早く覚えることができました。

――渡邉飛勇選手はハワイ出身ですものね。弟さん(Vリーグ堺ブレイザーズの渡邉晃瑠)がハワイ大出身です。
ジェイコブス NTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)ではルームメートだったので、ハワイのことをずっと話してくれました。実は僕、ハワイ大にビジット(見学)もしていなかったので、どういう施設だとか、大学のことや、その周りのこと、どこに美味しいお店があるかとかもいろいろ教えてもらいましもらいました。今も何か知りたいことがある時は、連絡をしています。

目標は「NCAAトーナメント出場」

――U19のワールドカップでは大活躍でした。
ジェイコブス ベスト8入りは、チームも目指していたことなので、すごくうれしいし、良かったのですが、すごくいいチームだったので、もう少し行けたとも思っています。反省点としては、何試合かで前半が良くて、後半で集中力がなくなってしまったことがすごく多かったことです。あとから言っても仕方がないんですけど…。みんなとても才能があって、一緒にやるのも毎日すごく楽しかったです。何人かはU18代表でも一緒にプレーしていましたし、ロロ(・ルドルフ)もすぐに打ち解けたし、内藤耀悠選手も何回か話したことがあって、すぐに仲良くなりました。チームとしてすごくケミストリーが良くて、一緒にプレーすることがすごく簡単で楽しかったです。とてもいい経験でした。

――スペインでプレーしている岡田大河選手はどうでしたか?
ジェイコブス すごくIQが高いポイントガードです。自分が少し空くとすぐにパスがくるので、大河とプレーしている時は、すごく楽でした。

――ハワイ大では背番号34番をつけるのですね。横浜ビー・コルセアーズの時は4番でした。アカデミーでは番号が複数あったような…。
ジェイコブス アカデミーでは番号が選べなくて、ユニフォームのサイズで渡されていました。ハワイ大の方は先輩がもう4番をつけているので。あと自分が好きな番号は13番なんですけど、13番も先輩がつけているので、4番が入っている34番にしました。ヤニス(・アデトクンボ/ミルウォーキー・バックス)とも同じなので、そうしました。4番をつけていたのは、それほど意味が…、あとから考えたら4番も13番も誕生日だったんですけど(4月13日生まれ)、最初はそれが理由ではなかったんです、4番は、ただ好きな数字だっただけです。13番はポール・ジョージ(ロサンゼルス・クリッパーズ)が好きだからです。

――今季の目標は?
ジェイコブス 日本代表で学んだことを生かして、このチームに貢献して、(ハワイ大が所属する)ビッグウエスト・カンファレンスのチャンピオンになってNCAAトーナメントに進出することです。

今後の活躍に期待! [写真]=山脇明子

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