2023.08.15
『FIBAバスケットボールワールドカップ2023』に出場する男子日本代表候補の渡邊雄太(フェニックス・サンズ)が8月9日、都内で行われたジョーダン ブランドのイベントに参加し、高校生向けにトークショーを行った。
大学進学のタイミングで渡米し、何度も壁にぶつかってきたという渡邊は、これまでのキャリアを振り返りながら、「日本で一番でもアメリカに行ったら関係ない。自分の技術を高めて表現することに取り組んでいた」と、世界の舞台では特に自分を表現することが重要になると強調。
そうした自己表現の根底にある“自分を信じる力”は、何かターニングポイントがあって湧き出てきたものではなく、「今までの小さい積み重ねがちょっとずつ自分を助けてくれている」と、日々の練習や経験を通して身についたものだと話した。
バスケットボール界最高峰の舞台でもあるNBAは、「現状維持でいいと思ってしまったら、若い選手にどんどん追い越されて自分の居場所は無くなってしまう」という過酷な環境。NBA入りしてからは「明日このチームにいられないかもしれないという気持ちで5年間やってきました。めちゃくちゃストレスで、(バスケを)やりたくない日もありましたけど、そういう状態でも向上心を持ってやれていたからこそ、今回も新しい契約をもらえて、6年目、7年目というシーズンに入っていけるんだと思います」と、飽くなき向上心が自身のプロキャリアを支える軸になっていることを明かした。
一般人ではなかなか経験できないようなタフな環境に身を置くトップアスリートの渡邊は、「誰よりも練習したという自負がある」と胸を張るが、日々100パーセントの心身状態でないことは一般の社会人や学生と同じ。
朝起きて“サボりたい”と思ってしまった瞬間、どのように自身を奮い立たせ、努力を続けてきたのか。イベントに参加した高校生に向けて、次のように語りかけた。
「僕だって今日は練習に行きたくないなと思う日はありますよ。(笑)毎日100パーセントのモチベーションを持って練習できている選手は、おそらくいないと思います。同じ練習を繰り返していたら、体も疲れてくるでしょうし、精神的にも疲れてくる。僕もNBAではそういう時期があった。
でも、そういう時に思っていたのは、『昨日は頑張れていたんだから、今日も頑張れるでしょ』と。今まで頑張れていたのに、今日は頑張れない理由がない。それこそ今日頑張れなきゃ今までの努力が無駄になってしまうし、サボってしまったら『過去の自分に対しての侮辱だ』と思って頑張っています。
サボりたいと思ったら、『サボるのは明日にしよう』と。それの繰り返しです。今日頑張ってみて、無理だったら明日サボろうと。結局サボる日はないんですけど、『今日頑張ってみよう』という繰り返しなんです。
練習がしんどいと思ってしまう自分自身に嘘をつく必要はないと思います。練習したくないという自分の弱さも認めつつ、でも頑張ってみようと。その一歩を踏み出せるかどうかだと思います」
虚勢を張ることなく、自分自身の弱さも受け入れつつ、自らコントロールできる範囲で日々最善の選択を続けてきた渡邊。ド派手な世界で地道な努力を続けるトップアスリートの言葉は、何人にも刺さる金言となるはずだ。
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