2022.05.17

東京2020オリンピック銀メダル獲得という快挙を後押しした「三井不動産カップ」

東京2020オリンピックの銀メダル獲得を後押しした「三井不動産カップ」は大会直前に開催された [写真]=伊藤 大允
フリーライター

 6月18日、19日の2日間にわたり、千葉ポートアリーナ(千葉県千葉市)にて「三井不動産カップ2022 (千葉大会) バスケットボール女子日本代表国際強化試合」が開催される。

 昨夏の東京2020オリンピックに2大会連続で出場した女子日本代表は準優勝という快挙を達成。日本バスケットボール界では男女を通じて史上初となるオリンピックでのメダル獲得となり、日本中を熱狂させた。その女子日本代表チームにおいて、「三井不動産カップ」はこれまでも非常に重要な大会として、位置してきた。
 

女子日本代表が世界の強豪と切磋琢磨してきた「三井不動産カップ」

 この大会は、日本代表のオフィシャルパートナーである三井不動産株式会社が、2016年から日本代表チームの強化活動の一環として特別協賛しているもの。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で開催はなかったが、下記のように、各大陸の強豪たちとしのぎを削ってきた。

2016年 オーストラリア代表(5月)、セネガル代表(7月)
2017年 オランダ代表(7月)
2018年 チャイニーズ・タイペイ代表(6月)、カナダ代表(8月)
2019年 ベルギー代表(5、6月)、チャイニーズ・タイペイ代表(8月)
2020年 開催無し
2021年 ポルトガル代表(6月)、ベルギー代表、プエルトリコ代表(7月)

 2016年には当時FIBAランキング2位で多くのWNBAプレーヤーを擁するオーストラリアと対戦。3戦ともに勝ち星は奪えなかったが、そこで得た課題を修正し、同年夏に開催されたリオオリンピックでは、日本はベスト8という成績を収めた。

 2017年以降もオランダ、ベルギーといったヨーロッパ勢や、組織力の高いカナダに、同じアジアのチャイニーズ・タイペイなどと対戦し、日本国内ではなかなか経験のできない高さや強さ、うまさを体感。チームだけでなく選手個々にとってもかけがえのない経験の場となり、その先のアジアカップやワールドカップ、そしてオリンピックといった大一番での好成績や活躍へとつなげていった。

 新型コロナウイルスが全世界に猛威を振るった2020年は開催には至らなかったものの、2年ぶりに行われた昨年(2021年)は、東京2020オリンピックの前に2度開催。特に昨年は、コロナ禍により日本チームが海外遠征を行うことができなかったため、この2回の大会が東京2020オリンピックに向けた強化の中での貴重な試合となった。加えて、会場は有観客ということで、しっかりとオリンピック前に日本チームのプレーをファンの前で見せることができたのも大きな意義があったといえるだろう。

 その昨年の三井不動産カップでは、6月にポルトガルと対戦。実に16カ月ぶりとなる国際試合であった。

 世界ランキングでは、当時日本が10位でポルトガルが48位と力の差こそあったものの、久しぶりの海外チームを相手に、初戦は第1クォーターでリードを許す展開に。それでも最終的には20点差を付けての勝利。その後の2試合では、貫禄勝ちで終わってみれば3連勝を収めた。

 ポルトガル戦では、チーム作りの最中だったことや、選手選考のトライアウトを兼ねていたこともあり、日本にとっては、決して納得のいく内容ではなかった。それでも、指揮を執ったトム・ホーバスヘッドコーチ(現・男子日本代表ヘッドコーチ)は、「選手たちにとっていい勉強になりました。日本のオフェンスとディフェンスの何が良いかを確認できました」と、久しぶりの実戦に喜びを噛み締めていた。

「三井不動産カップ」で最終調整。日本バスケットボール界史上初の快挙に貢献

 そして東京2020オリンピックの出場12選手が内定した後に行われた7月の三井不動産カップでは、メダル候補にも挙げられていたベルギー(当時世界ランクング6位)と対戦。序盤から互いに譲らず、接戦の様相となったが、終盤にシュートが適時に決まった日本ベルギーに競り勝ち。続くプエルトリコ戦では35点差を付けての大勝で、東京2020オリンピックに向けて弾みを付けた。

 この2試合を経て、確かな手応えと自信をつかみ、東京2020オリンピックでは文字通り、快進撃を見せた女子日本代表。まさに、三井不動産カップがオリンピックでのメダル獲得を後押ししたといえるだろう。

 今年、女子日本代表は9月にオーストラリアにて開催予定の「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」というビッグイベントが控えている。第23回Wリーグを終え、5月から活動を再開したチームは、ワールドカップに向けて強化を図っているところ。冒頭で記したとおり、6月18、19日に「三井不動産カップ2022 (千葉大会) バスケットボール女子日本代表国際強化試合」が開催予定で、世界ランキング9位のトルコ代表と対戦する。日本は、同ランキングではトルコの1つ上の8位(2月21日現在)となっているが、トルコは2014年の女子世界選手権(現・女子ワールドカップ)では4位になるなど実績のあるチーム。世代交代の最中ではあるものの、実力は申し分のない相手だ。

 ワールドカップでの金メダル獲得に向け、女子日本代表がどのような戦いを見せるのか⁉️ やはり今年も三井不動産カップが、その先を占う大事な大会となることに違いはない。

三井不動産カップは世界の頂点を目指す女子日本代表をこれからもサポートする [写真]=伊藤 大允


文=田島早苗

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