2025.05.26

日本代表候補初選出のきっかけは河村勇輝?…ペンシルベニア大の中村ミラー彩藍は「日本でプレーすることは夢」

初の日本代表合宿に参加する中村ミラー彩藍 [写真]=田島早苗
フリーライター

 5月21日から女子日本代表の第1次強化合宿が始まり、本格的に今年度の女子日本代表が始動した。この第1次合宿には、髙田真希(デンソーアイリス)や渡嘉敷来夢(アイシンウィングス)、町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)といったWリーグや日本代表での実績ある選手たちに加え、5月12日〜16日の期間で行われた若手選手中心のセレクションキャンプにおいて評価にされた12名の選手も参加した。

 その若手選手の一人が19歳の中村ミラー彩藍だ。アメリカのアリゾナ州で生まれ育ち、日本出身の母とジャマイカ出身の父を持つ中村は、178センチのシューティングガード。子どものころはバスケットボールのみならず、体操や水泳やダンスなどいろいろなスポーツに触れたが、中でも「一番好きだった」というバスケットボールを11、12歳の頃から本格的にスタート。そして現在はNCAA(全米大学体育協会)1部のペンシルベニア大学でプレーしている。

「ワクワクしています。 日本でプレーすることは夢だったので感謝の気持ちでいっぱいです。(合宿での練習を通して)アメリカと日本とではプレースタイルに違いがあると感じました。特にペースやスピード。でも、(日本の)スピード感に慣れていけば、もっと良くなると思います」と、中村は日本代表合宿初参加の感想を語った。

 5月22日に味の素ナショナルトレーニングセンターにてメディア向けに行われた女子日本代表の公開練習では、アウトサイドシュートをテンポ良く決めていた中村。コーリー・ゲインズヘッドコーチも「シューターとして力になるだろう」と、彼女のシュート力を評価する言葉を発している。対して中村自身も「シューターの強みは理解してます」と語っており、さらには「いろいろなことにも貢献していきたいと思っています。シュートだけでなく、様々なところでスキルアップをしていきたいです」と、意欲を見せた。

 母親と日本語で話をし、アリゾナにいたときには日本語のスクールにも通っていたという中村だが、「カジュアルな日本語のため、丁寧語や敬語になると少し自信がなくなる」という。それでも、合宿中はコート外でも周りの選手たちと「頑張って日本語でコミュニケーションを取っている」ようだ。逆にバスケットボールでは、「頭の中は全部英語で考えるので、(周りとの)共通の言葉というのを作っていくことが大事で、互いに認識を深めていきたいです」とも語った。

 バスケットボールを始めてからの目標はアメリカの大学でプレーし、その後、プロ選手になること。かつてはプロとしてプレーする国にこだわりがなかったが、東京2020オリンピック(2021年開催)の女子日本代表の試合を見てからは「日本でプレーしたい」という思いを強くしたという。

 取材の最後、女子日本代表候補に選出されたキッカケに河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)が中村のInstagramのポストを見てゲインズヘッドコーチに送ったことからつながったと明かしてくれた。

 大きな夢に向かって一つずつ階段を登っている中村は、今後の活躍にも目が離せない日本の若手選手の一人といえるだろう。

文・写真=田島早苗

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