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名前が呼ばれなかった夜から始まったプロ人生…ラウリー・アルキンズが貫く“サベージライフ”【TOBI»RUSH】

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アスリートが歩んできた人生の「キオク」の扉を次々と開き、そこからつながる「ミライ」への誓いや展望をアーカイブする連続インタビュー企画『TOBI»RUSH(トビラッシュ)〜キオクとミライをつなぐドア〜』。

今回、その扉を開いたのは、東京サンロッカーズで背番号0を背負うSG/SF、ラウリー・アルキンズだ。アリゾナ大学からNBAのシカゴ・ブルズへ進み、その後はポルトガル、ドイツ、イスラエル、プエルトリコ、ギリシャと世界各地でプレー。2025-26シーズンに来日しB2の神戸ストークス、熊本ヴォルターズでプレー、2026-27シーズンから東京SRの一員となった。

「今のご自身を一言で表すとしたら?」という問いに、アルキンズは迷わず「“万能”かな」と答えた。「複数のポジションを守れるし、複数のポジションでプレーできる。コーチが望むなら、PG、SG、SF、PF、時にはCだってやる」。一つのことしかできない選手は一度攻略されてしまえば止めるのは簡単になるが、いろいろなことができれば「試合で何かがうまくいかなくても、他のことでチームを助けられる」。それが、幼い頃から変わらない彼のプレースタイルだ。

一方、コートを離れると「落ち着いてて、リラックスした楽しいやつ」だという。「今は違う国、日本にいるから、そこに何があるのか見てみたい」と、東京をはじめとする各地の街歩きや新しい食べ物を楽しんでいる様子。「焼肉をたくさん食べたよ」と笑顔を見せた。

「それでも今日は成功だ」――指名漏れの夜にマイクを握った理由

アルキンズがバスケットボールを始めたのは5歳のとき。きっかけをくれたのは母だった。「母はいつも仕事に出ていたから、母が仕事の日は放課後のプログラムに連れて行ってくれた。そこで同い年の子たちとバスケをして、コーチにプレーを教わったんだ」。最初は「遠くからでも、どこからでもシュートを打ったり、トラベリングしたり、めちゃくちゃだった」と振り返る。その後、本格的なトレーナーについて腕を磨き、13、14歳の頃には190cm近くまで背が伸びた。クラブチームや大学からも声がかかる存在へと成長していった。

「いちばん自分を変えた出来事」として挙げたのは、NBAドラフトの夜だ。高校時代は全米トップクラスの有望選手として注目を集め、名門アリゾナ大学でも優勝を経験。ドラフトでは20位から40位ほどでの指名が予想されていた。家族や友人を招いてドラフトパーティーを開いたが、最後まで彼の名前が呼ばれることはなかった。

「恥ずかしかったし、鼻をへし折られた。でもそれが僕を変えたと思う。何事も簡単にはいかないんだって、気づかせてくれたんだ」

みんながパーティーを続けるなか、一人で自分の部屋にこもり、ドラフトを最後まで見届けた。そして部屋を出てマイクを手に取り、集まってくれた人たちにこう語りかけたという。「それでも今日は成功だ。終わりじゃない、本当のプロになった初めての日なんだから。これは始まりにすぎない。すべてはなるようになる」。

「みんなに落ち込んでほしくなかったし、その夜を楽しんでほしかった」。ネガティブな状況をポジティブに変えたあの夜が、彼をより謙虚にした。その後、サマーリーグで活躍し、約1か月後にシカゴ・ブルズとの契約を勝ち取った。「今でも思い出す忘れられない瞬間」を聞かれた際にも、再びこの夜を挙げ、「もう一度ゼロからやり直して、自分に何ができるのかをみんなに思い出させなきゃという状況になる。あの瞬間は、キャリアの大きな一歩だった」と語っている。

「誰にも負けない、自分自身にさえ負けない」――“サベージライフ”という信条

苦しい時期に自分を支えてきたものを問うと、返ってきたのは「自分で自分を奮い立たせること」という答えだった。その根底にあるのが、彼がいつも口にする“サベージライフ”というメンタリティだ。

「誰にも負けない、自分自身にさえ負けないっていう考え方なんだ。疲れたとか、もう続けられないと思った時は、いつも信じてくれているみんなのことを考える。誰もがっかりさせたくないからね」

この信条は、試合に臨むときも、人生のあらゆる場面でも変わらない。「自分を止められるのは自分だけなんだ。プレー中は相手チームのことは気にしない。気にするのは、自分がベストな状態かどうか。そうなら誰にも止められないと思ってる」。

同時に、何より大切にしているのは「楽しむこと」だという。「バスケをプレーしてお金をもらえて、しかも楽しめる。それが一番大事なことだよ」。家族と離れて海外で過ごす時間が長いからこそ、「今いる場所を楽しめていれば、まったく違う経験になるんだ」と、自身の経験から言葉を紡いだ。

「計画のない目標は、ただの願いでしかない」

かつての夢は、NBAにたどり着くこと、そしてプロのバスケットボール選手になることだった。どちらもかなえた28歳の今、目標は大きく変わったという。「家を買って、母の面倒を見たい。そういうことだね」。バスケットボールと出会わせてくれた母への想いがにじむ。

応援してくれるファンには、まず「ありがとう」を伝えたいと話す。「みんなが正しかったと証明したい。自分を信じてよかったと思ってもらいたいんだ。全力で戦って、絶対に諦めない姿を見せる。スコアや残り時間に関係なく、最後まで戦い抜くんだ」。

最後に、未来の自分へ向けた宣言を求めると、アルキンズは「君を誇りに思う」と自らに語り始めた。「これまで成し遂げてきたこと全部をうれしく思う。これからも成長して、もっとうまくなろう」。一方で、何かを保証したり約束したりはしたくないとも明かす。「期待は、たいてい失望につながると思ってる。だから一日一日を大切にして、意志を持つ。計画のない目標は、ただの願いでしかないからね」。

名前が呼ばれなかったあの夜を「プロとしての初めての日」に変えた男は、今日も目の前の一日を積み重ね、東京SRで自らの価値を証明し続ける。

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