2024.10.02

レイカーズの八村塁がメディアデーに登壇…優勝へのキーワードは“アグレッシブ”と“ミスマッチ”

メディアデーの会見に出席したレイカーズ・八村塁[写真]=Getty Images

■ 指揮官から求められた役割

 NBA 2024-25シーズン開幕の足跡が日に日に近づく中、各球団はメディアデーを開催している。ロサンゼルス・レイカーズからは八村塁も記者たちの前に登場。新シーズン開幕に向けての意気込みや、6シーズン目を迎える選手として置かれた立場などについて、質疑応答がなされた。

 今シーズンのレイカーズには大きな補強がない一方で、JJ・レディックが新監督に就任。コーチが変わればチームも変わるのがバスケットボールの性だが、若き指揮官とのファーストコンタクトでは30分ほど共に時間を過ごし、どのようにチームを作り上げていくか、そして自身に求められている役割について意見を交わしたという。

「ここ(レイカーズ)で過ごして約3年の月日が経ちますが、同じコアグループが存在します。彼(レディック監督)からはもっと僕に3ポイントを打ってほしいと言われました。彼は僕を素晴らしいシューターだと思ってくれていて、僕も自分がそうであると信じています。それが僕らにとっての重要な鍵になるでしょうし、僕はオフェンスにもディフェンスにももっと関与しなければいけません。素晴らしい1年になることを願っています」

 八村はこの夏、日本代表としてパリ2024オリンピックに参加した。左ふくらはぎの負傷により大会途中での離脱を余儀なくされたが、その後は順調に回復している様子で、開幕に向けてコンディションは整っているという。また、記者から昨シーズン後半にはアグレッシブさが解き放たれたのでは、と聞かれると、今シーズンはよりアグレッシブになり、自身のフィジカルを活かしたいと意気込んだ。

「(コンディションは)良い感じです。身体は大丈夫ですし、全て順調で準備はできています。でも、指摘があったように、より身体が強くなって、よりフィジナルに動けるようになった気がしています。特にオフェンスリバウンドでは、必要な場所にいられるようになりました。コーチと話したことはもう一つあって、彼からはこれらにも取り組んで欲しいと要求されています。今年はフィジカルとアグレッシブさをもっと掛け合わせて、ミスマッチを見つけていきたいですね。コート上に僕、ブロン(レブロン・ジェームズ)、AD(アンソニー・デイビス)がいれば、いつも誰かがミスマッチになります。対戦相手は僕以外の2人とはミスマッチを生みたくないでしょうから、僕には自分より身長の低い選手か高い選手をつけることになります。これが良い結果を生むと信じています」

■ あの場所に戻るための鍵

昨季13.6得点4.3リバウンド3P成功率42.2%をマークした八村塁[写真]=Getty Images


 レイカーズには八村も名前を挙げたレブロン、デイビスというリーグでもトップクラスの二枚看板が君臨。また、ディアンジェロ・ラッセルオースティン・リーブスといったスターター候補のほか、ジャレッド・バンダービルト、キャム・レディッシュ、ジャクソン・ヘイズ、マックス・クリスティ、ゲイブ・ビンセントなど、セカンドユニットにも才能のあるプレーヤーが揃っており、優勝のポテンシャルは十分だ。だからこそ、昨年のようなスロースタートは許されず、八村は今年のチームに並々ならぬ自信を抱いているが、そのためにはシーズンを通して戦力を維持する必要があると考えている。

「今日のミーティングでも、このグループを信じることについて話しました。このチームは優勝できると思いますし、全てに勝利できるはずです。僕らは多くの才能のある選手たちでチームを作ってきました。全員が才能のある選手ですし、新しい選手、若い選手もいます。昨年から築いてきたケミストリーを継続できると思いますし、さらに成熟させ、お互いを信頼しています。今年は本当に証明しなければならない年になるでしょう。チームを作り始めた初年度に達成したウェスタンカンファレンスの決勝に戻らないといけません。今年はたくさんチャンスがあると思うので、前向きに取り組んでいます。でも、そのためには健康でいる必要があり、それが鍵になるでしょう」

 また、選手としてオフェンス面、ディフェンス面、スキルのうちに注力したい分野があるのか、それとも二刀流のバランスの取れた選手として発展していくのかという個人レベルの質問についても、八村は常にチームであることと、すでに言及したミスマッチをポイントに挙げている。

「ディフェンス面では、チームケミストリーが重要だと思います。僕たちのチームディフェンスにおいては、ディフェンスの新しいコンセプトも理解する必要があります。もちろん、一対一のディフェンスもありますが、それも言ってしまえばチームディフェンスがあってこそです。もっとコミュニケーションをとらなければいけません。一方のオフェンス面では、もっとアグレッシブにならなければいけないと感じています。コーチたちは僕にミスマッチを見つけてほしいのです。小柄な選手と対峙すればリムまで押し込めますし、大柄な選手がマークにつけばスピードを活かしてドライブしたり、3ポイントを打つことができますからね。これは皆さんが注目しているものと同じだと思いますが、僕は別次元で向き合っていきたいと考えています」

 インタビューの後半には、今シーズンよりアメリカでプロ生活をスタートする河村勇輝富永啓生に言及するシーンも。渡邊雄太の言葉を借りて、NBAの舞台が簡単ではないことを強調しつつ、両選手については「自分をアピールして、アグレッシブに、自分を出すことが大切」とエールを送った。

 選手としても成熟の域に近づきつつあり、八村の言葉からは優勝への欲が一層高まった印象を受ける。レブロンやデイビスに注意が集まるコートにおいて、サイズとスピードを兼ね備えた八村の躍動は勝利への絶対条件となる。飛躍に向けて、準備は万全。ブラックサムライが真価を示す姿に刮目したい。

文=Meiji

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