2024.10.10
ロサンゼルス・レイカーズは、バブル期※以来の覇権奪回に向けて意気込んでいる。現地メディア『The Athletic』で球団に密着するヨバン・ブハによると、トレーニングキャンプにおけるレイカーズを取り巻く雰囲気は最高潮に達しており、取材5シーズン目でレイカーズがこれほどボジティブで明るい雰囲気に包まれていた記憶はないという。
(※新型コロナウイルス感染拡大の影響で、NBA2019-20シーズンは2020年3月12日を最後にレギュラーシーズンが中断。同年7月末から30チームのうちプレーオフ出場の可能性が残されていた22チームがシーディングゲームズ(順位決定戦)8試合行い、王座獲得をかけたプレーオフが開催された。フロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートで“リーグによって隔離された施設”、通称バブルの中で行われた戦いを制したのがレイカーズだった。)
それだけに周囲からの期待も一入で、レポーターたちからの取材にも熱が入る。今シーズンより球団を指揮するJJ・レディック監督の元にも多くのマイクが集まり、さまざまな質疑応答がなされるなか、とあるレポーターが「八村塁が次のステップに踏み出せるか」という質問を投げかけた。
すると、新指揮官は八村の選手としてのポテンシャルを問われたことに対して違和感を覚え、同選手に対してプレッシャーになるような回答を求められたことに嫌悪感を示してか、レポーターに強く反発しながら、八村を擁護しつつ期待を寄せた。
「次のステップとは何ですか? あなたに教えてもらいたいです。あなたは物語を作ろうとしていませんか。私は塁の次のステップに興味はありません。私が気にかけているのは、チームの勝利のためにどのようなインパクトを与えられるかです。私にとってはそれが次のステップであり、彼にはそれができると思っています」
言わずもがな、レイカーズは常に期待というプレッシャーに晒されている球団だ。それゆえに、経営陣や監督には重箱の隅をつつくような問いかけがされることは少なくない。
レディックHCは選手やレポーターとしてのキャリアもあり、メディアに対してはストレートかつチームファーストの対応を続けている。とりわけ、選手を守る姿勢は彼のコメントに色濃く表れており、猜疑的な意見も少なくないブロニー・ジェームズのドラフト指名についても、気丈な姿勢を保ったまま選手を評価することで擁護してきた。
また、今夏のパリオリンピックではエースとして日本代表を牽引したが、レブロン・ジェームズやアンソニー・デイビスをはじめ、多くの才能を抱えるレイカーズにおいて、八村の役割は異なるという。
「オリンピックと我々のチームでは役割が異なります。それは事実です。特にアイソレーションやポストアッププレーヤーとして彼のスキルを活かす機会を模索しなければなりません。我々はミッドレンジからのショットに関して、彼のショット状況がどのようなものか、ミッドレンジからのショットの量と割合についても認識する必要があります。いずれにせよ、彼と話し合ったことや、世間が彼に期待していることが、彼に大きな影響を与えるのではないでしょうか」
一方の八村もレディックHCには好印象を抱いている様子で、直近までの豊富な選手生活とロジカルなアプローチを受け入れている。
「彼は最近までリーグにいたので、現在のリーグで何が起きているかを正確に理解しています。僕らにとっては理解しやすいですね。彼の言うことは何でも理にかなっています」
数シーズンのコアの維持と成熟、最高のチームムード、互いの信頼関係。開幕目前のレイカーズの船出は非常に良好なようだ。
文=Meiji
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