2時間前

“銃器騒動”を経て再起誓うジャ・モラント「何度でも立ち上がる」ナイキが特別映像を公開

2024-25シーズンに“完全復活”が期待されるジャ・モラント[写真]=Getty Images

■繰り返された“過ち”

 ナイキNBA 2024-25シーズンの開幕を目前にして、ジャ・モラントメンフィス・グリズリーズ)のコマーシャルを公開した。約1分40秒の映像は、復活を誓うモラントのナレーションと共に、失った信頼からの再起を誓う力強いメッセージが込められている。

「打ちのめされたら、僕はいつだって立ち上がる。誰も見ていないときでも、僕は立ち上がる。照明が消え、周囲が騒がしくなり、諦める理由が十分にあるときでも、僕は立ち上がる。プレッシャーに取り囲まれてたときも、僕は立ち上がる」

 繰り返し発せられる“立ち上がる”という言葉。これはモラントが直近で犯した過ちを暗喩し、かつての栄光に向かってリスタートを切るという誓いが込められている。

 2020年の新人王は、その類稀なるスター性でコートを躍動し、群衆を魅了してきた。そのキャリアは順風満帆と以外に形容のしようがなく、2度のオールスター選出、最成長選手賞(MIP)の受賞といった個人記録のほか、若手主体のチームをプレーオフに導き、エースとしての風格も漂い始めていた。

 しかし、2023年3月にコロラド州のナイトクラブで銃器を持っている様子がSNSでライブ配信されると、NBAは同選手に対して8試合の出場停止処分を言い渡す。さらに、それからまもなくして別の動画でも銃器を所持している姿が公開されるや否や、リーグは反省の色が見られないという理由とその有害性ならびに連続性から、25試合の出場停止処分という厳罰を下した。

 グリズリーズも出場停止とケガが重なったモラントの不在を受けて、2023-24シーズンは勝率.329に止まり、勢いに陰りが見え始める不本意な1年を過ごした。だが、華々しいプロ生活から一転、地の底まで落とされたモラントは、失敗を糧へと還元し、いかなる批判からも逃げない姿勢を示している。

「生まれつきのものなんだ。失敗は原動力のように、疑念はアドレナリンのように感じる。そして、全ての敗北は次の勝利がより素晴らしいものになるためのサインだ。僕にとって、打ちのめされることはプロセスの一部。何度でも何度でも立ち上がる」

■モラントの父が“幼少期”を語る

昨季は2歳年下のアンソニー・エドワーズが躍進を果たした[写真]=Getty Images


 コマーシャルにはモラントの父親も出演。こうしたモラントの不屈の精神は、幼い頃の父の教育によって育まれたものなのかもしれない。

「私は12番(モラントのこと)が倒されるように仕向けていました。子供の頃から、いつも彼より年上の子供たちと対戦させていました。ですが、何度倒されても、彼は立ち上がる。何度倒されても立ち上がるのです」

 残念ながら、昨シーズンのNBAはモラントの不在を感じさせないものとなった。アンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブス)の台頭に、ビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)の登場。そして、ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)は念願の戴冠を果たし、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)はチームをカンファレンスファイナルまで導き、そのシリーズでMVPを獲得した。世代交代の波がより顕著化したシーズンとなったが、その中心にモラントの姿はなかった。

 モラントは再びエリートクラスに立ち返られるのか、かつてのリーダーシップや世間からの評判を取り戻せるのか、その答えは誰にもわからない。しかし、ナイキから発信された映像は、モラントの決意を表現している。

 立ち上がる覚悟。背番号12にとって、2024-25シーズンは償いと証明の1年となる。

文=Meiji

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