2025.05.21
2024年のNBAドラフトは、指名前から不作の年と評価されてきた。1年を終え、今年のオールスター入りを果たしそうな選手は現れなかったが、『ESPN』でドラフトアナリストを務めるジェレミー・ウー記者は、各選手が「多くの新人が役割を得て長期的に魅力ある才能を示した」と興味深い見解を示している。
同記者は、実力ではなく“期待値”を元に、2年目に興味深いキャリアを送る可能性のある選手をランキング形式で紹介している。

ディフェンスでも期待が大きいリード・シェパード(ヒューストン・ロケッツ)[写真]=Getty Images
名門ケンタッキー大学出身のシェパードは、ドラフト3位という高順位でロケッツに加入したが、同じポジションに競争相手の多い球団で出場機会に恵まれず、試合数は51試合、平均プレータイムはわずか12分に制限された。
だが、今シーズンは状況が一変する。ケビン・デュラントとのトレードでジェイレン・グリーンを放出したことで、シェパードはフレッド・バンブリート、アメン・トンプソンに次ぐ3番手のプレーヤーとして安定した出場機会が確保される見込みだ。
昨年はトップリーグでの成績こそ振るわなかったが、Gリーグでは平均30.7得点4.7リバウンド7.3アシスト、スリーポイント成功率40.5パーセントと格の違いを見せつけている。大学時代もアウトサイドは52.1パーセントという飛び抜けた効率性で、キャッチ&シュートはNBAでもエリートクラスになるポテンシャルを秘めている。また、サイズの不安こそあるものの、ディフェンスでは勘の良さを活かしたボールスティールに定評あり、トンプソンとの併用も楽しみな存在で、セカンドハンドラー、プレイメーカー、スペーサーとマルチな役割を担い、大きなステップアップが期待されている。

注目の若手選手が多いスパーズにおいて、存在感を示しているステフォン・キャッスル[写真]=Getty Images
今シーズンの楽しみな球団のひとつに、スパーズを挙げるファンは少なくないはずだ。ビクター・ウェンバンヤマ、ディアロン・フォックスのデュオに、今年は2位指名でディラン・ハーパーを迎え入れており、グレッグ・ポポビッチが作り上げてきた若いロスターは開花を直近に控えている。
新人王のキャッスルは、スパーズが飛躍する上での鍵を握るプレーヤーと言っても過言ではない。昨年は81試合に出場、そのうち47試合で先発を任され、ルーキー内では得点とスティールで全体1位、アシストで全体3位となり、総合力の高さを証明した。
フォックスとハーパーの3人によるローテーションにおいて、恵まれた体格、ディフェンスでの鋭い嗅覚、アンセルフィッシュな人間性を特徴とするキャッスルは、汎用性の高いツーウェイプレーヤーとしての役割を任されるだろう。ただし、ボールハンドリングのプレッシャーから解放される一方で、輝きを放つためには28.5パーセントの成功率に止まったアウトサイドの向上は必須。スター候補の資質はあり、バックコートの共存構図に注目が集まる。

新人王レースにも絡んでいたザカリー・リザシェイ(アトランタ・ホークス)[写真]=Getty Images
正真正銘の1位指名不在の中、ホークスからトップで指名されたリザシェイは、新人王こそ逃したものの、ホークスの成長に大きく貢献した選手だ。75試合中73試合で先発出場し、安定した2ケタ得点、フィールドゴール成功率45.8パーセント、スリーポイント成功率35.5パーセントと、効率面でも上々の成績を残した。
ホークスは今夏、クリプタス・ポルチンギスとニッケル・アレキサンダー・ウォーカーを獲得し、ロスターには厚みがもたらされた。トレイ・ヤングを軸に、ダイソン・ダニエルズ、ジェイレン・ジョンソンも台頭著しく、得点、ディフェンス、サイズの三拍子揃ったリザシェイは、プレッシャーに晒されることなく、チームと共に成長できる環境が整っている。
典型的な1位指名のフランチャイズプレーヤーになる未来は今のところ見えないが、ホークスがシーズンを通してリザシェイをどれだけプッシュするかは注目に値するポイントだろう。

マタス・ブゼリス(シカゴ・ブルズ)をはじめとするその他の2年目選手からも目が話せない[写真]=Getty Images
ウー記者は、その他にも河村勇輝の同僚であるマタス・ブゼリス(シカゴ・ブルズ)や、デズモンド・ベインの放出で役割拡大が必然となったジェイレン・ウェルズ(メンフィス・グリズリーズ)、モチベーションに疑問符が残るもののモダンセンターとしての資質は十分なケレル・ウェア(マイアミ・ヒート)、ACL断裂で初年度を全休したが今年のサマーリーグでプレーメイク力を発揮したニコラ・トピッチ(オクラホマシティ・サンダー)などを注目選手として挙げている。
その中でも筆者は、ドノバン・クリンガン(ポートランド・トレイルブレイザーズ)に大きな期待を寄せている。大学時代、コネチカット大学でNCAA連覇に貢献したクリンガンは昨年、わずか平均19.8分のプレーでルーキー内のブロック王となり、ディフェンス面で強烈なインパクトを残した。
ブレイザーズで開発コーチを務めたライアン・ゴメスACからは「将来的なオールスターになり得る存在。ポートランドの基盤となる選手」と太鼓判。36分換算のスタッツは11.9得点14.3リバウンド3.0ブロックの平均ダブルダブルとなり、リバウンドについては昨年のリバウンド王であるイビツァ・ズバッツ(ロサンゼルス・クリッパーズ)の36分換算をも上回る数字だ。
今シーズンはチームの一番手だったディアンドレ・エイトンが移籍し、ロバート・ウィリアムズ3世、ヤン・ハンセンとポジション争いが繰り広げられる見込み。ポストでの働きとフリースローは改善必須だが、サイズとペイント支配力によりスターターに抜擢される可能性は高いと見ている。
文=Meiji
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