2025.10.26
開幕を目前に控えたNBA 2025-26シーズン。日本国内ではNTTドコモがメディアライセンス契約を締結し、10月20日(月)にはオリジナル番組『開幕直前SP!NBA徹底観戦ガイド』を配信した。
バスケットボールキング編集部は同番組収録後、出演者の1人である金子ノブアキ氏を直撃。金子氏はリーグ観戦歴30年以上を誇る、自他共に認める屈指のNBAファン。収録では話し足りなかった日本人選手への思いやウォリアーズへの愛情などをマイクに向かい語ってくれた。(※取材は10月14日に実施)
インタビュー・文=Meiji
――収録、大盛り上がりでしたね!
金子 もうね……ただただ楽しくて。バスケ好きの友人とご飯を食べに行ってるときのような気分でした(笑)。
――プレシーズンもご覧になったかと思います。八村選手、今年は期待できそうな雰囲気が漂っていますね……。
金子 高校生まで富山にいた選手が、ドラフト1巡目指名であの大舞台にいる。今でも「夢を見ているのか?」と思ってしまいます。(佐々木)クリス君も言ってましたが、NBA選手の平均キャリアは4〜5年。その本当に厳しいリーグで7年目、しかもロサンゼルス・レイカーズに在籍し、レブロン(・ジェームズ)にも認められている。とんでもないことですよ!

レイカーズでレブロンやドンチッチといった選手と共闘する八村[写真]=Getty Images
――紛れもなく日本のバスケ史上最大の偉業です。
金子 “日本人選手”であることを遥かに飛び越えている出来事です。夢物語ではないことを体現してくれています。河村(勇輝)選手も。ファンから愛される選手であり、小さなガードが大男たちの中で輝く瞬間は相手チームのファンたちでさえも望んでいる。何というか、ジェレミー・リンと被るところがあるんです。“リンサニティー”の衝撃のような、あれに近い現象が起きる可能性を。
――八村選手は今シーズンもスターターの可能性が高そうですね。JJ・レディック監督の下では必要不可欠なレイカーとなりました。
金子 トレードの噂に名前が出ることって実はすごいこと。それぐらいの戦力であり、「彼を差し出すから」と交渉できるレベルにある。名門チームに3.5シーズンも在籍して、結果も残して。伝統のファンベースがあり、期待も大きい。ビッグマーケットであれだけの存在になるというのは「尊敬」という言葉では足りない。相応しい日本語が見当たらないところまで行っていると思っています。
――注目の的になるというのは並々ならぬプレッシャーなはずですよね。
金子 鍛錬、コミュニケーション、セルフブランディング、日本人であることへの風当たりなど、見えないところはいっぱいあります。それでもまだ上があって、定着もしている。もう安心して見ていられますよね。「大丈夫でしょ、我らの八村ですよ?」って。8年目、9年目も見えていて、誰がどう見ても立派なキャリアを歩んでいるわけで。進化を見るのも楽しみだし、将来的にいぶし銀な感じになっていくのも絶対にカッコいい!

ウォリアーズの“BIG3”。バトラー、カリー、グリーン[写真]=Getty Images
――ゴールデンステイト・ウォリアーズにも並々ならぬ思いがあるのではないでしょうか?
金子 90年代のRun TMC(ティム・ハーダウェイ、ミッチ・リッチモンド、クリス・マリン)の頃から応援していますからね。でも、王朝とかは全く想像していなかったです。2022年の優勝で初めて、本当の感動を味わったというか。ファンとして失格かもしれませんが、(ジミー・)バトラーの加入時にはちょっとした懸念がありました。ただ、蓋を開けてみたらめちゃくちゃハマっている。フロントが変わってもチームを維持してるというのは凄いことで、ウォリアーズが良い球団になったことを実感しています。
――今シーズンのロスターについての見解は?
金子 (ジョナサン・)クミンガは移籍の気配がありますけど、(アル・)ホーフォードが入ってくれましたよね。スクリーナーとしてもディフェンスもトップレベルで、あの年齢でも(ルカ・)ドンチッチを抑えてしまう。適材適所に良い補強をしている印象です。ケガだったデアンソニー・メルトンも、(ゲイリー・)ペイトン2世も帰ってきてくれて、そういう意味では全然イケる可能性あるなという思いです。
――王朝も“ラストダンス”という印象を受けています。
金子 (ステフィン・)カリーのキャリアも終盤と言って差し支えないですしね。僕はお父さんのデル・カリー時代から好きで、今年はセス(・カリー)も加入しました。そういう意味では「もう一花咲かせてくれ!」と。ジミーのような突っ込んでいってフリースローをもらってくれる選手はそんなにいないチームでした。ドレイモンド(・グリーン)のような泥臭い選手は……「皆さん、すいません」って感じなんですけど(笑)。これだけ夢見させてもらったので、これ以上望むのは贅沢と思いつつ、カリー以降がどうなっていくかも楽しみにしています。
――現実的なフィニッシュはどのあたりと予想していますか?
金子 プレーオフに進出できれば上出来です。リアルなところではセミファイナルまでいけば「おおっ!」という感じ。勝ち進めば勝ち進むほど肉弾戦を強いられるので、年齢を考えると本当に過酷ですね。ロードマネージメントが騒がれる昨今ですが、走り切るプランが必要です。結局ステフが頑張らなきゃいけないとなるとキツい。若手の台頭ですね。(ブランディン・)ポジェムスキーや(ジョナサン・)クミンガ。とにかく、ウォリアーズは本当に良い球団で若手の育成にも定評があるわけですから。何か策があるのだろうと信じています。

ペニー・ハーダウェイにケガがなければ…。金子氏が思い描くNBAの“もしも”[写真]=Getty Images
――金子さんの今シーズンの優勝予想をお願いします。
金子 現実的な見解だとデンバー・ナゲッツを推してます。(ヨナス・)ヴァランチューナスを獲得したり、補強が上手くいっていますよね。優勝した頃から毎年ナゲッツはめちゃくちゃ強い。ヨキッチはピークをキープしたままで、ロスターだけ見たらこれは行くなと。ただ、もちろん個人的な希望はウォリアーズです!
――ダークホースを挙げるとすると?
金子 ニューヨーク・ニックスかな。イーストの状況を見ていると大チャンスですよね。あとは新監督(マイク・ブラウンHC)がハマれば。プレータイムを含めてケガが減るのは間違いないかな。インディアナ(・ペイサーズ)とOKC(オクラホマシティ・サンダー)がロスターを回せるチームでないと優勝できないという最適解を提示してくれたと思っているので、ニューヨークもそこに向けて良いアジャストをしましたよね。(ジョーダン・)クラークソンもいるし。でも、西の王者と戦うのかと思うと……。でも、ニックスが優勝したら、僕はちょっと泣いちゃうと思います。
――最後に「NBA docomo」のX(旧Twitter)でアンケートがあった「NBAの歴史を1つだけ変えられるとしたら」というテーマ。金子さんならどうしたいですか?
金子 ケガをしなかったペニー(・ハーダウェイ)かな。(デリック・)ローズもですけど、やっぱりペニー。ブランドン・ロイやグレッグ・オデンとか、いっぱいいるんですけどね。もしもシリーズでひとつとなると、やはりペニー・ハーダウェイの輝きというのは世代的にはどうしても……。シャック(シャキール・オニール)の最高の相棒は一般的にはコービー(・ブライアント)ですが、個人的にはペニーとシャックのオーランド・マジックがかっこよかった。マジック・ジョンソンが「自分を鏡で見ているようだ」って絶賛して。もっと見たかったですよ!

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