2025.12.24
長年議論されてきたNBAの球団拡大計画が、最終局面に突入したようだ。
NBAコミッショナーのアダム・シルバーは、来年中の決断を明言。30チームから32チームへの拡張を巡って、リーグはこれまでで最も明確な時間軸を示した。
「我々は現在、各チームと協力しながら関心の度合いを測り、特定のチームが現地でどのような経済状況になるのかをより深く理解しようとしているところです。2026年のどこかの時点で結論を出すことになるでしょう」
拡張候補の最有力候補は、これまでも度々噂に上がっているラスベガスとシアトルの2都市だ。

サマーリーグが開催されたラスベガス [写真] = Getty Images
シアトルは、2008年にスーパーソニックスがオクラホマシティへ移転して以降、NBAチーム不在の状態が続いている。一方のラスベガスは、WNBAのエーシズやサマーリーグ成功、他競技のプロ球団の定着を背景に、プロスポーツ市場としての成熟度を高めてきた。
シルバーは、拡張先の有力候補に両都市があることを改めて認めている。
「秘密でも何でもありません。私たちはラスベガスを検討していますし、シアトルも同様です」
ヨーロッパ進出と同様に、数年前検討されてきたエクスパンション。しかし、なぜここまで決断が先延ばしされてきたのか。実行に移されてこなかった背景には複数の要因がある。
最大の理由は、フランチャイズ価値の急騰だ。2024年以降、ボストン・セルティックスが61億ドル(約9500億円)、ロサンゼルス・レイカーズが100億ドル(1兆5600億円)、ポートランド・トレイルブレイザーズが42億5000万ドル(約6600億円)と記録的な売却が立て続けに成立。シルバーはこの点について、次のように説明している。
「国内でのエクスパンションとは、現在のリーグの“持分”を売ることでもあります。もし、皆さんがこのリーグの30分の1を所有していたとして、そこに2チームを追加すれば、所有権は32分の1になる。なので、経済分析は遥かに難しいものになります。拡張は多くの観点から、未来予測を求められるのです」

NBAコミッショナーのアダム・シルバー [写真] = Getty Images
また、地域スポーツネットワーク(RSN)の崩壊による放映モデルの不透明さも、リーグが慎重姿勢を取ってきた要因だった。シルバーは以前、視聴環境を整えないまま新市場にチームを与えるのは”職務怠慢”と考え、慎重姿勢を示してきた。
現在、NBAは国内拡張と並行して、FIBAと連携したNBAヨーロッパ構想も進めている。より壮大なこの計画については、1月中に関心を示す投資家や関係者と具体的な協議に入る可能性を示唆している。
言葉に含みを持たせて曖昧さを維持してきたNBAは、拡張プランを“検討”から“決断”のフェーズまでステップアップさせた。これは年々競争が激化するロスター争いを緩和させ、プレーヤーたちにチャンスを与える一方で、才能の分散が起こり、タレントの希薄化が起こり得る。また、現在のフォーマットを維持すると、総試合数や移動設計、地区再編、プレーオフフォーマットの変更も議論の的となるだろう。
決断の2026年。NBAの構造が今、変わろうとしている。
文=Meiji
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