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NBA、冬のトレード最前線――アデトクンボ、デイビス、クミンガの去就は???

トレードの噂が絶えない(左から)アテドクンボ、デイビス、クミンガ [写真]=Getty Images

 NBAは、また忙しない日々が始まろうとしている。12月15日(現地時間)を境に、冬のトレード市場が本格化する。噂だけが先行していたトピックスは、現実の交渉テーブルに乗ることになり、空想が現実へと変わる可能性が現実を帯びてくる。

 昨年はルカ・ドンチッチのロサンゼルス・レイカーズ移籍が実現するなど、シーズン中にもかかわらず勢力図が書き換わるような大型トレードが敢行されることも意外ではなくなりつつある。

 デッドラインまでは約7週間。そして、現在その中心にいるのが、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)、アンソニー・デイビス(ダラス・マーベリックス)、そしてジョナサン・クミンガ(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)の3人である。

『フロントへの不信感と不穏な発言』ヤニス・アデトクンボ

アテドクンボには開幕前からくすぶっていたフロントへの不信感があったという [写真]=Getty Images

 ギリシャの怪人の去就が語られ始めたのは、今シーズンの不振そのものよりも、ミルウォーキー・バックスのオフシーズンの動きがきっかけだった。片翼を担っていたデイミアン・リラードを巡る混乱、ロスターの方向性に対する不透明感、そしてプレーオフでの早期敗退。これらが重なり、リーグ関係者の間では、バックスがヤニスの全盛期を“最大化”できていないのではないかという疑問が広がったのだ。

 本人も移籍の可能性を明確に否定することはなく、それが噂を加速させた。SNSの投稿を削除し、欠場が続くなかでチーム成績が落ち込むと、時間を失うよりも環境を変えるという選択肢を取る可能性が強まってくる。

 候補として挙がるのは、ニューヨーク・ニックス、マイアミ・ヒート、サンアントニオ・スパーズ、オクラホマシティ・サンダーなどだ。いずれの球団も大量のアセットを持ち、長期的な勝利像を描け、都市的な魅力という共通項がある。また、最近ではドンチッチもフロントにアデトクンボ獲得を打診したと報じられており、レイカーズも競争に参加するかもしれない。

 ただし、アデトクンボのトレードには大きな代償を払う必要があり、候補側がコアを守りたい場合は交渉は難航するものと思われる。現時点では、アデトクンボ自身が明確な圧力をかけていない以上、噂は臨界点手前にとどまっている。

『ハリソン解任により再び市場で再評価か』アンソニー・デイビス

デイビスには需要はあるものの、現実的に実現可能なのか [写真]=Getty Images

 ダラス・マーベリックスの内部事情によって、デイビスには再び移籍の噂がつきまとっている。ドンチッチのトレードの仕掛け人であるニコ・ハリソン元GMの解任により、球団の意思決定が不安定化したことで、ロスターが大切にするべき時間軸の筋書きは白紙に戻された。

 デイビスはリーグ屈指の戦力である一方、年齢、怪我歴、将来的な延長契約という要素が絡み、再建志向のチームにはフィットしづらい選手と言える。そして、マーベリックスの方針が固まらない今、獲得を探るという見方が出てきたというわけだ。

 デトロイト・ピストンズ、アトランタ・ホークス、トロント・ラプターズなど、噂に挙がる候補はいずれも、勝ちに行くための核を求める一方で、スター不足に悩むチームだ。ただし、デイビスの健康面やサラリーを考慮すると、交渉は慎重にならざるを得ない。年末から年明けにかけては、情報戦が濃さを増していくに違いない。

『役割の不一致でコーチ判断の欠場も』ジョナサン・クミンガ

クミンガにもトレードの噂が絶えない [写真]=Getty Images

 クミンガのトレードが可能になるのは1月15日以降である。しかし、ここ最近はDNPを含む起用の波が続き、市場の注目は一層高まっている。

 特に取り沙汰されているのが、ゴールデンステイト・ウォリアーズがニューオーリンズ・ペリカンズのトレイ・マーフィー3世を強く評価しているという線だ。ペリカンズがマーフィーを簡単に手放すのかが最大の壁ではあるが、それでもクミンガの解禁日を境に、候補チームを巻き込んだ複数球団間の交渉へ発展する余地は十分にある。

 クミンガは完成度よりポテンシャルを評価されるタイプの選手であるため、チームの時間軸によって価値が大きく変わる。ペリカンズ以外では、サクラメント・キングス、シカゴ・ブルズ、フェニックス・サンズなどからの関心が噂されている。

文=Meiji

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