2026.07.15
河村勇輝は、NBA挑戦3年目となるサマーリーグをインディアナ・ペイサーズで戦っている。盟友・富永啓生の前所属球団ということもあって、その想いも一入だろうか。コート内外での振る舞いからは、未だかつてない覚悟と成長がうかがえる。
サマーリーグ初戦のクリーブランド・キャバリアーズでは8得点、4アシスト。次戦のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦では12得点、3リバウンド、3アシストを記録。2戦目においては、持ち前のディフェンス性能でゲームの流れそのものを変え、最大24点ビハインドを背負った第3クォーターの反撃の立役者となった。
だが、狭き門とされるこのリーグでは、努力をする者にも冷酷な対応を取る。河村はペイサーズの“席”を勝ち取るべく自身を証明し続けているが、好調なプレーがそのままペイサーズとの契約につながるとは限らないのだ。

[写真]=Getty Images
現在、ペイサーズはシューティングガードのテイロン・ピーター、イーサン・トンプソン、フォワードのコービー・ブラウンの3選手と2way契約を結んでいる。昨シーズン途中に加入したブラウンは、トップチームで9.4得点、4.9リバウンド、3ポイント成功率43.3パーセントを記録しており、7月12日(現地時間11日)に2way契約が発表されたばかりである。
さらに、ペイサーズは2026年ドラフト全体38位で獲得したブレイデン・スミスとも2way契約を結ぶと報じられている。ペイサーズのチャド・ブキャナンゼネラルマネージャーはドラフト後、過去にポイントガードの負傷が相次ぎ、本職ではない選手を司令塔として使わざるを得なかった経験から「2way契約の候補となるポイントガードを獲得したかった」と説明。スミスは、今年のルーキーでも生粋の司令塔で、強豪パデュー大学で4年間を過ごし、2025年にはカンファレンス最優秀選手賞、2026年にはカンファレンストーナメントMVPを受賞。また、大学通算1103本のアシストを記録し、NCAAの歴代アシスト記録保持者となり、球団は地元大学出身のプレーメーカーを育成する姿勢を見せている。
すなわち、ペイサーズの2way契約は、すでに既存の3人から少なくとも1人を外す必要がある状況で、トップチームにもタイリース・ハリバートン、TJ・マッコネル、アンドリュー・ネムハードと、ガード陣は豊富。河村のポジションには人数だけでなく、すでに球団が育成投資を行ってきた選手が多く、地元番記者のスコット・アグネスも、ペイサーズが今後決めなければならない事項として「どの3人を2way契約に残すか」を挙げている。

[写真]=Getty Images
一方、172センチのサイズは常に守備上の検討事項となる。ペイサーズがスミスを2Wayに入れる場合、もう1枠を河村に渡すには、ブラウン、ピーター、トンプソンからさらにもう1人をウェイブするか、いずれかをスタンダード契約へ昇格させなければならない。だが、ラリー・ナンスJr.とのスタンダード契約が発表されたように、ウイングやビッグマンも必要な中で、3席の2way契約のうち2枠を小型のポイントガードに使う判断は容易ではない。
現状を整理すれば、河村はプレー内容では契約候補に残っているが、ロスター構造では劣勢にいる。ペイサーズとの2way以上の契約を勝ち取るには、残る試合で得点以上にゲームメイク、ターンオーバー管理、守備での粘りを示し、既存選手を外してでも確保したい存在になる必要があるのだ。
同時に、ペイサーズだけが生き残る道ではないことも忘れてはならない。サマーリーグとは、全30球団のスカウトが集まる“オーディション”の場だ。河村にとって最も現実的な勝利は、必ずしもインディアナの2way枠を奪うことだけではなく、ペイサーズからトレーニングキャンプ契約を得る、あるいはポイントガードを必要とする別球団から2way契約のオファーを受けることも含まれる。
最初の3試合で、その可能性を残すだけのプレーは披露している。果たして、サマーリーグ終了後、NBAは河村に対してどのように手を差し伸べるのだろうか。
文=Meiji
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