2019.07.15
ミルウォーキー・バックスのフランチャイズプレーヤーとして、ヤニス・アデトクンボはキャリア6シーズン目の今季、チームの大黒柱としてプレーオフを戦い抜いた。
レギュラーシーズンで平均32.8分に出場し、自己最高となる27.7得点12.5リバウンド5.9アシストに加えて1.3スティール1.5ブロックをマーク。フィールドゴール成功率でも57.8パーセントという驚異的な成績でバックスをリーグトップの60勝22敗へと導く殊勲者に。
プレーオフに入ってもアデトクンボとバックスの勢いは加速していった。デトロイト・ピストンズとのファーストラウンドではシリーズ平均28.3分のプレータイムながら両チームトップの26.3得点に12.0リバウンド3.5アシスト1.5ブロックでけん引し、チームも4戦無敗のスウィープで2001年以来初となる1回戦突破。
昨年のプレーオフ1回戦で最終戦の末に敗れたボストン・セルティックスとのイースト準決勝では、アル・ホーフォードを中心としたディフェンスの前に、アデトクンボは初戦でフィールドゴール21投中成功わずか7本の計22得点と沈黙し、チームもプレーオフ初黒星。
それでも、翌第2戦からアグレッシブさを取り戻したアデトクンボは、この試合から4試合連続でゲームハイの得点を挙げる大暴れ。チームも4連勝を飾り、4勝1敗でセルティックスを撃破。終わってみれば、アデトクンボはシリーズトップの平均28.4得点11.0リバウンド1.6ブロックに5.2アシスト1.4スティールと、獅子奮迅の働きでイースト決勝へ。
トロント・ラプターズとのイースト決勝。バックスは初戦を8点差で制すと、第2戦ではラプターズに一度もリードを許さず22点差の快勝。アデトクンボも30得点17リバウンド5アシスト2ブロックと猛威を振るい、2連勝と最高のスタートを切った。
ところが、第3戦からまさかの4連敗。前半に2ケタ点差のリードを奪うゲームもあったが、勝ち切ることができずに2勝4敗で今シーズンを終えることに。
アデトクンボをストップすべく、ラプターズはカワイ・レナードをはじめ、複数の刺客を送り込んできた。「僕は何も変える必要はないと思っていた。僕らは信頼し合っているからね。(相手の)ゲームプランは僕をダブルチームして、リズムをつかませないことだったんだ」とアデトクンボは言う。それでも、アデトクンボはシリーズ平均22.7得点13.5リバウンド5.5アシスト1.2スティール2.7ブロックという大車輪の働きを見せた。
「僕はチームメートたちを信頼していたからね。それこそ、僕がこのシーズンを通じてやってきたことなんだ。もしそのゲームプランや互いを信頼し合うこと、ボールムーブやシーズンを通してやってきたことやこのチームの習慣が敗因になったのであれば仕方ない。僕はアグレッシブであり続けるし、正しいプレーを心がける。今シーズン、僕はそうしてきたんだ」とアデトクンボ。
だが、『NBA Soundsystem』のホストを務めるマイカー・アダムズによると、レナードがディフェンスについた時、アデトクンボのスタッツは明らかに下降していたという。シリーズ全体で、アデトクンボはレナードを相手にフィールドゴール34投中成功わずか12本(成功率35.3パーセント)、160ポゼッションで30得点に抑え込まれており、オフェンシブ・レーティング(100ポゼッションあたりの得点)では89.4点とスローダウン。
さらに、第3戦以降で見てみると、アデトクンボのオフェンシブ・レーティングはレナード(87.2点)とほかの選手たち(118.6点)で大差が開いていた。ラプターズはレナードをマッチアップに付けつつ、効果的なヘルプディフェンスでアデトクンボの活躍を最小限に抑えていたと言っていいだろう。
今年のプレーオフではラプターズの前に敗れたものの、アデトクンボは練習の虫として知られるだけに、来季に向けて自らにハードワークを課すことだろう。今夏について聞かれたアデトクンボは、こう語っている。
「まずは家族とゆっくり過ごすよ。そのあとにコーチングスタッフたちとコンタクトを取って、自分が選手個人として向上できるように、チームとしてワークアウトしていく。僕はオフシーズンに毎年うまくなってきたことにはプライドを持ってる。だからコーチたちが僕をどうやって成長させることができるかを聴いて、一生懸命取り組んで来季を迎えるよ。バスケットボールプレーヤー、そしてチームメートとしてより良い選手になってみせる」。
そして今季について「僕らの長い旅路はまだ始まったばかり。僕らはもっと良くなるよ。自分たちが何者なのか、僕らが今シーズン構築してきたことを信じている。来シーズン、同じ状況になった時、(今季よりも)前に進むことができればいいね」と口にしたアデトクンボ。
はたして、アデトクンボは来季どのような進化を遂げてコートに降り立つのか。バックスの動向と共に、この男の成長も楽しみに待ちたいところだ。
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