2019.12.10
2010-11シーズン、当時シカゴ・ブルズの選手としてシーズンMVPをリーグ最年少記録となる22歳と6か月で受賞したデリック・ローズは、シーズン平均25.0得点4.1リバウンド7.7アシストをたたき出し、ブルズは62勝20敗を記録。ポストシーズンではチームをイースタン・カンファレンス・ファイナルまで導いた。ローズの抜群の身体能力から繰り出される迫力あるスラムダンクや、電光石火のごとく相手を抜き去るドライブ、そして空中では強引に空間を捻じ曲げるようなアクロバティックなダブルクラッチに、多くのファンは虜になっていたに違いない。
その後の数々の大ケガを乗り越えてきたローズは、昨季のユタ・ジャズ戦でのキャリアハイ50得点や、ミネソタ・ティンバーウルブズでのスキルと安定性に満ち溢れたプレースタイルでファンの心を再び射止め、全盛期と異なって再評価されることになった。そしてその後のオフシーズンでデトロイト・ピストンズとの2年契約を勝ち取り、現在はチームのシックスマンとしてプレーしている。
シカゴ・ブルズ時代、2011-12シーズンから2015-16シーズンまでチームメートだったジミー・バトラー(マイアミ・ヒート)は、『The Players Tribune』のインタビューにて、当時のローズに関して回想した。彼は、「俺は全盛期のローズと、いわゆるMVPローズとともにプレーをしたが、彼の練習している姿を見た時、これは本当に信じられないという感じだった」とコメント。「そして彼はコートへ立ち、試合で2回同じことをこなしたんだ。この男は本物だ、という感じだったね」と彼は続け、当時のローズの驚くべきパフォーマンスと、実戦でのさらなる飛躍的なプレーを振り返った。
ブルズ時代のローズは上記でバトラーが触れたように、爆発的なプレーが多く、魅力的かつ華やかでまさしくスター選手であった。しかし同時に肉体がそのパフォーマンスや圧倒的なセンスに追いつかない部分も少なくはなく、例えばレイアップで高く空中へ舞い上がったあとに、片足だけで高い位置からコートへ着地するなど、危険な場面もあった。ローズは現在のスタイルにたどり着くまで、かつてのスタイルは無茶な戦い方であったと後に認めた。今から10年近く前のローズのスタイルも懐かしく感じるかもしれないが、現在の進化したローズは、あの時代の課題や苦難を多く克服したからこそたどり着いた姿なのだろう。
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