2020.04.04
コービーのキャリアは、決して平坦ではない。勝ち取った栄冠と同じくらい、試練も多かった。美酒に酔いしれる姿よりも、試練に敢然と立ち向かう姿の方がよりコービーらしく、より英雄めいていたかもしれない。
コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)の足跡を、その彼を支えたシューズにまつわるストーリーを紹介してくシリーズ。第4回は、コービーの苦闘の日々を象徴する一足、NIKE『KOBE 9 ELITE』 だ。
それとともに彼が着用するシューズも売り上げを伸ばし、コービーはコート上だけでなく、シューズ市場でも支配力を発揮する。『ZOOM KOBE 4』のコンセプトを継承しコービーシリーズは8作目の『KOBE 8 SYSTEM』までローカットフォルムを継続したが、多くのバスケットボーラーがハイカットシューズではないそれを買い求め、コートでプレーするのが当たり前の光景となった。コービーシリーズを履いたコービーの活躍は、それほどのインパクトを有していたのだ。
2010-11シーズン以降は王座に届かなかったが、レイカーズは変わらず強豪であり続けた。コービー個人はプレーの円熟味を増し、チームリーダーたるカリスマ性も備えたことで、2010年前後の数年間はプレーヤーとしての絶頂期だったと言ってよいだろう。
しかし彼の絶頂期は、誰も予想もしなかった形で終わりを告げることになる。
2012-13シーズン。34歳となったコービーはスピードに衰えがあったが、それを補ってあまりあるスキルと経験で得点力を維持。若く身体能力に溢れたプレーヤー達に割って入り、リーグ3位となる27.3という高い得点アベレージをあげていた。このまま好調を維持した彼はチームを鼓舞し、プレーオフでも活躍するに違いない。誰しもがそう疑わなかったシーズン終盤、80試合目に悲劇が起こった。
かのギリシア神話には、アキレウスという半神半人の英雄が登場する。アキレウスは不死身ともいえる強さを誇るも、唯一の弱点だったアキレス腱を、トロイ戦争で射抜かれてしまったという。ギリシア神話有数の英雄でさえ弱点となったそれは、コービーであっても例外ではなく。彼は、20年のキャリアにおける最大の試練に挑むことになる。
35歳という年齢で左足アキレス腱断裂からの復帰に挑んだ彼は、わずか8カ月というリハビリ期間を経て、同年12月にコートに復帰してみせる。だが復帰6戦目、今度は右ひざ付近の脛骨を骨折し再び長期の離脱。度重なる大きなケガに見舞われ、彼の行く手には暗雲が立ち込めた。
ここでコービーは、大きな決断をしていた。酷使してきた自身の脚を守るため、最新作となる9作目のシューズにハイカット形状を採用したのだ。 しかもその『KOBE 9 ELITE』は、ボクシングシューズのような常識外れの超ハイカットシューズ。コービーが履くのは足首が自由になるローカット、というイメージが定着していた中、それを捨て去るように生まれた『KOBE 9 ELITE』のフォルムに驚かない者はいなかった。だが、アキレス腱断裂に見舞われた”今の自分に必要なものは何か”にフォーカスし、固定観念に囚われずシューズ開発に臨んだ姿勢は確かにコービーらしいと言えた。
『KOBE 9 ELITE』を履いたコービーは、2014-15シーズンの開幕戦で復帰。以前のキレは戻っていなかったが、それでも随所でさすがのプレーを見せる。ハイカットの『KOBE 9 ELITE』は目論見通り、少しずつ以前の姿を取り戻そうとしていたコービーの脚を守り、彼を支えた。そして2014年の12月14日、コービーはマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)の通算得点32292点を上回る。その試合で彼は、直前の試合まで履いていたハイカットのものではなく、ローカットバージョンの『KOBE 9 ELITE LOW』を着用した。尊敬し目標とした存在であるジョーダンの記録を超える瞬間は、脚を守るよりも最高のパフォーマンスを発揮する自分でいるべきと考えたからであろう。それは多くのファンが見慣れたコービーだ。
アキレス腱断裂を始め度重なる困難にも屈せず、戦い続けるコービー・ブライアント。その姿は、アキレス腱を射抜かれようとも立ち上がり戦い続けた英雄、アキレウスそのもの……まるで神話の英雄のようだった。
しかし、それから1カ月後。コービーは右肩の負傷でまたも戦線を離脱することになる。回旋筋腱板断裂という大ケガ。劇的な彼のキャリアもこのまま終焉を迎えるだろう、そう考えた者は多かったに違いない。だがそれは誤りだった。彼の紡ぐ神話には、最後にもう一遍、続きがあったのだ。
文=CARTER_AF1 写真=CARTER_AF1、Getty Images
楽天モバイルなら
追加料金0円でNBAが楽しめる!【PR】
楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」を契約すると、通常4,500円(税込)の「NBA LEAGUE PASS for 楽天モバイル」で何と追加料金0円でNBAを楽しめます。
携帯キャリアを乗り換えず、「デュアルSIM」としての契約もおすすめ。最安料金は1,000円(税込)以下! 世界トップのバスケをお得に観戦できるチャンスをお見逃しなく。
八村塁の活躍を見逃すな!
世界最高峰のNBAを観るなら
WOWOWオンデマンドで【PR】
「WOWOWオンデマンド」とは、テレビやBS視聴環境がなくてもWOWOWのコンテンツを月額2,530円(税込)で楽しめるサービスです。
2020.04.04
2020.04.02
2020.04.01
2020.03.30
2020.03.24
2020.03.23