2020.04.12

ヨキッチを軸に、ウェスト2位の昨季と同戦績を残すナゲッツ/2019-20NBA通信簿チーム編⑯

ナゲッツのけん引役を務めるヨキッチ(左)とマレー(右)[写真]=Getty Images
フリーライター

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。シーズン再開は早くても6月中旬から下旬にかけてと現地メディアが報じている中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿チーム編⑯デンバー・ナゲッツ

ウェスタン・カンファレンス(ノースウェスト・ディビジョン)
総合評価:A

■ここまでの戦績
今季戦績:43勝22敗(勝率66.2%/ウェスト3位)
ホーム戦績:25勝8敗(勝率75.8%)
アウェー戦績:18勝14敗(勝率56.3%)

■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:110.4(20位)
平均失点:107.4(5位)
平均リバウンド:44.3本(19位)
平均アシスト:26.5本(4位)
平均スティール:8.1本(10位)
平均ブロック:4.6本(20位)
オフェンシブ・レーティング:112.0(9位)
ディフェンシブ・レーティング:108.9(12位)

チーム3番手の得点源バートンは、自己最高級の成績を残している[写真]=Getty Images

■主要スタッツリーダー
平均出場時間:ウィル・バートン(33.0分)
平均得点:ニコラ・ヨキッチ(20.2得点)
平均リバウンド:ニコラ・ヨキッチ(10.2本)
平均アシスト:ニコラ・ヨキッチ(6.9本)
平均スティール:ギャリー・ハリス(1.4本)
平均ブロック:ジェレミー・グラント(0.8本)

■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:トロイ・ダニエルズ、ノア・ボンレイ、ケイタ・ベイツ・ジョップ
退団:マリーク・ビーズリーフアンチョ・エルナンゴメスシャバズ・ネイピアー

取りこぼしこそあるものの、東西上位4チーム相手に勝利を収める

 ウェスト2位の54勝28敗を記録し、カンファレンス・ファイナルまであと1勝に迫ったロースターに、ドラフト指名権とのトレードでジェレミー・グラントを獲得して臨んだ今季。開幕3連勝から2連敗を喫したものの、その後の11試合で10勝を挙げ、昨季同様にウェスト上位の座を堅持している。

 12月には7連勝も飾ったナゲッツは、最長の連敗が3と大崩れしておらず、65試合終了時点における戦績は昨季と同じであり、強豪ぞろいのウェストで2シーズン連続の好戦績を残している点は称賛に値する。

ナゲッツ2番手のスコアラーを務めるマレーは、ヴォーカルリーダーでもある[写真]=Getty Images

 その一方で、イースタン・カンファレンス最下位のクリーブランド・キャバリアーズに2戦全敗、リーグ最下位のゴールデンステイト・ウォリアーズ相手に1敗を喫しており、今年1月上旬には主力不在のワシントン・ウィザーズにも敗れるなどもろさも露呈。

「僕たちが相手をリスペクトしていたとは思えなかった。彼らはリーグの中でも下位のチーム。でもリーグの中で最もハードにプレーしているチームかもしれない。彼らは準備万端で向かってきたんだ」

 ジャマール・マレーが地元メディア『The Denver Post』へそう話したように、対戦相手によってチームの意識が揺らいでしまっている点があるようだ。とはいえ、リーグベストの戦績を残すミルウォーキー・バックスには2戦2勝しているほか、東西上位4チームとの対戦では少なくとも1勝しており、チーム力の高さは証明している。

 2月のトレードデッドラインを前に、マリーク・ビーズリーフアンチョ・エルナンゴメスを4チーム間のトレードで放出。これは今季終了後に制限付きフリーエージェント(FA)になる両選手と再契約することが困難と判断したからで、代わりに獲得した選手たちはいずれも今季終了後に制限なしFAあるいは来季の契約がチームオプションのため、キャップスペースに余裕を持たせる形となった。

 もしシーズンが再開されてプレーオフへ突入した場合、『Sports Illustrated』のシミュレーションでは7戦の末にヒューストン・ロケッツが制し、ナゲッツが1回戦敗退となっていたものの、昨年と同様にカンファレンス・セミファイナルまで勝ち進む力は十分備わっていることは間違いない。

ロケッツとのシリーズではペリメーターディフェンス面におけるエース、ハリスの奮戦が勝利に不可欠となる[写真]=Getty Images

オールスター後にダウンした守備力を改善できれば2回戦進出も十分可能

 選手で見ていくと、2年連続でオールスター入りを果たしたニコラ・ヨキッチを筆頭に、ジャマール・マレー、ウィル・バートン、ポール・ミルサップギャリー・ハリスにグラントを加えた6人が平均2ケタ得点を記録。

 ベンチにはモンテ・モリス、メイソン・プラムリートーリー・クレッグといった布陣に、昨季をケガで全休していたマイケル・ポーターJr.もおり、今季は全4クォーターで平均27得点以上を記録しているように、選手層も厚い。

 シーズン序盤はオーバーウェイトだったヨキッチは、オールスターブレイクまでに約10キロの減量に成功。「シーズン序盤はシュートが短くなって決まらなかった。チームのストレングスコーチが食事法やワークアウトのメニューを考えてくれたお陰で、減量に成功したんだ」と『ESPN』へコメント。トリプルダブルの回数でリーグ3位の12回と、今季もオールラウンドな働きでチームをけん引している。

 ただ気になるのは、ディフェンシブ・レーティングが下降していること。シーズン全体の数字は昨季(108.1)と同等だが、オールスター以降はリーグ19位の113.7へとダウン。ヨキッチを中心にスローペースなチームだけに、ロケッツのようにスモールラインナップで戦うチームにプレーオフで7ゲームシリーズ(4戦先勝)を制することができるかは微妙。ディフェンス面を引き締めなければ、早期敗退となってしまう可能性も秘めているというのが現状だろう。

主要3部門でチームトップの成績を残すヨキッチ。今季はクラッチショットを何本も沈めてきた[写真]=Getty Images

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