2020.09.19
「最高の戦いだった。他に何と言っていいか分からないね。話す言葉がないよ」(ジャマール・マレー)
「このシリーズが始まる前、僕は面白いシリーズになるだろうと感じてた。でも1勝3敗になってから、そうは思えなくなっていたんだ。この試合に勝ててうれしいし、シリーズを制したことをうれしく思う」(ニコラ・ヨキッチ)
9月2日(現地時間1日、日付は以下同)に行なわれたユタ・ジャズとのプレーオフ ファーストラウンド最終戦。デンバー・ナゲッツはオールスターセンターのヨキッチが試合時間残り27.8秒に決勝弾となるフックショットを放り込み、80-78でなんとか勝利を手にし、カンファレンス・セミファイナル進出を決めた。
ナゲッツは初戦こそ制したものの、翌第2戦から3連敗を喫したことで、第4戦を終えて1勝3敗。崖っぷちに追い込まれる中、マレーが驚異的なスコアリングショーを連発して最終戦まで持ち込み、ロースコアとなった死闘を制した。
もっとも、ヨキッチのショットが決まった後も、勝敗がひっくり返る可能性は十分あった。ジャズはタイムアウト明けにドノバン・ミッチェルのドライブをギャリー・ハリスにスティールされてターンオーバーを犯すも、ファストブレイクでトーリー・クレッグがレイアップをミス。
そこでジャズはルディ・ゴベアがディフェンシブ・リバウンドを奪うと、マイク・コンリーが試合終了とほぼ同時に逆転をかけた3ポイントを放った。
その瞬間について、ヨキッチが「(試合を終えた)今だから笑ってるけど、(ブザービーターで負けるという)悲劇になるかもしれなかったんだ」と語れば、マレーも「あのレイアップで俺たちがこのゲームを落とすことになれば最悪だ、と思ってた。マイクのショットを見て『あぁ、もしあれが入ったら、俺は途方に暮れるだろな…』って感じだった」と振り返る。
だがコンリーのショットはリングに弾かれ、ナゲッツの勝利が決した。ヨキッチはこの大一番でゲームハイの30得点に14リバウンド4アシストを挙げたものの、マレーはフィールドゴール成功率33.3パーセント(7/21)の計17得点に4アシスト。マイケル・ポーターJr.が10得点9リバウンド2スティールを残すも、チーム全体でフィールドゴール成功率37.3パーセント(31/83)、3ポイント成功率25.8パーセント(8/31)と、ナゲッツは苦戦した。
それでも、ヨキッチはこの日ナゲッツが後半に挙げた30得点のうち、1人で17得点を奪取。プレーオフ第7戦の後半でチーム全体の56.7パーセントもの得点を記録した選手は、過去20年間でこの日のヨキッチが最多だった。
マレーは大黒柱に対して「彼には全てが備わってる。ポストアップ、ジャンパー、パス、ペースを上げることもできるし、とてもスマートなんだ。今日の俺たちは間違いなく彼の力を必要としていた」と切り出し、こう称えている。
「彼はクラッチショットを決めてくれたし、冷静さを保っていた。俺が攻めきれない時やショットをミスした時、俺たちがディフェンス面で失敗して彼らがプッシュしてきた時。特に第3クォーターだ。彼は後半に俺たちのリーダーとなり、全てをやってのけた。いつか殿堂入りするだろうね」。
ナゲッツは昨年のプレーオフ1回戦でサンアントニオ・スパーズ相手に4勝3敗で辛勝、ウェスト準決勝ではポートランド・トレイルブレイザーズ相手に3勝4敗で敗れており、これで3シリーズ連続の第7戦を経験することになったのだが、見事切り抜けてみせた。
ジャズとのシリーズでフィジカル、メンタルの両面で疲弊したであろうナゲッツだが、中1日でロサンゼルス・クリッパーズとのカンファレンス・セミファイナル初戦を迎えることとなる。
4日に行なわれるシリーズ初戦を前に、ナゲッツの選手たちがどこまで回復し、対クリッパーズ仕様のチームへと切り替えることができるか、注目したいところだ。
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