2020.09.09

「ヨキッチはビッグマンとしてはこれまででベストなパサーだ」とドック・リバースHC

ビッグマンとしてリーグ有数のパスセンスを誇るヨキッチ[写真]=Getty Images
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オラジュワンとマクヘイルという殿堂入りビッグマンを比較対象に挙げる

 9月8日(現地時間7日、日付は以下同)に行なわれたロサンゼルス・クリッパーズとデンバー・ナゲッツによるウェスタン・カンファレンス・セミファイナル第3戦は、同点15度、リードチェンジ12度の末、クリッパーズが113-107で勝利を収めた。

 ナゲッツは敗れたものの、大黒柱のニコラ・ヨキッチは今年のプレーオフ最多となる32得点に12リバウンド8アシストでチームをけん引。ここまでの3試合で平均24.3得点11.0リバウンド5.0アシスト1.0ブロックと上々の成績を残している。

 そんなオールスタービッグマンについて、1980年代中盤から90年代中盤にかけてポイントガードとしてプレーしてきたクリッパーズのドック・リバースHC(ヘッドコーチ)はこう話していた。

「彼はこれまでの偉大な選手たちの要素が少しずつ備わっているね。彼の持つフットワークとムーブはオラジュワン(アキーム・オラジュワン/元ヒューストン・ロケッツほか)であり、背がひょろっと高くておっちょこちょいなところ、それに知性にあふれた点はケビン・マクヘイル(元ボストン・セルティックス)みたいだ。いい選手だね」。

ノビツキーのようなワンフットジャンパーも繰り出すヨキッチ[写真]=Getty Images

 以前、ヨキッチは地元メディア『Mile High Sports』とのインタビューでシャックことシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)のことを「バスケットボール史上、最も支配的な選手」と評し、お手本にしていた選手たちについてこう話していた。

「シャック、ビル・ウォルトン(元ポートランド・トレイルブレイザーズほか)、アキーム、ティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ)、ダーク・ノビツキー(ダラス・マーベリックス)、ボリス・ディアウ(元フェニックス・サンズほか)。僕は昔の選手と今の選手によるミックスプレー集を見るのが好きなんだ」。

 ヨーロッパ出身選手ならではの柔らかいシュートタッチで3ポイントも難なく沈めるヨキッチは、クリッパーズとのシリーズでもダブルチームされてベースライン沿いにドライブしてコーナーへパスを出すと見せかけてウイングへ矢のようなアシストを繰り出したり、リバウンドのこぼれ球を片手でつかんですぐさま方向転換してタッチダウンパスでレイアップにつなげるなどメディアや選手たちを驚嘆させるパスができる点が魅力の1つ。

 リバースHCも「彼は私が見てきた中で、ビッグマンとしてはこれまででベストなパサーだ。ウォルトンもそのうちの1人だがね」とそのパスセンスを絶賛している。

 直近2シーズン連続で平均7.0アシスト以上を記録するヨキッチは、ナゲッツのオフェンスにおける最重要人物。得点、リバウンド、アシストと3拍子そろったビッグマンとして2年連続でオールスターに選ばれている実力者である。

 まだ25歳ながら、ヨキッチはレギュラーシーズンにおけるトリプルダブルで歴代10位の41度、プレーオフでも歴代11位タイの4度達成しており、今後もその数字を伸ばしていくに違いない。

 その一方で、パトリック・ベバリーは第3戦で先発センターのイビツァ・ズバッツが21分30秒の出場時間ながら6ファウルで退場になったことでヨキッチへ「彼は何度も腕を振り回して、(ファウルをもらおうと)レフェリーにプレッシャーをかけてる」と発言し、フラストレーションをためていた。

 もっとも、この発言に対してナゲッツのマイケル・マローンHCは「私はパトリック・ベバリーのことは何一つ聞いたりはしない。カワイ・レナードが話しているというなら、耳を傾けるかもね。彼はすばらしい選手だからね」と意に介さず。

 10日に行なわれるシリーズ第4戦に向けて、両チームはメディアやSNSを活用して心理戦をしていると言っていいだろう。次戦でクリッパーズがシリーズ突破に王手をかけるのか、それともナゲッツが2勝2敗の五分に戻すのか。注目の一戦となりそうだ。

ペイントエリアを中心にマッチアップしているヨキッチ(右)とズバッツ(左)[写真]=Getty Images

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