2023.03.07
ポストシーズンが佳境を迎える裏で、リーグは来シーズンに向けて「NBAドラフト2022」のロッタリーを実施した。1位指名は低迷期脱出を目論むオーランド・マジックが獲得。また、2位以下には、オクラホマシティ・サンダー、ヒューストン・ロケッツ、サクラメント・キングス、デトロイト・ピストンズが続き、長年再起が期待されている各球団のフロントは、どの選手に球団の未来を託すのか頭を悩ませていることだろう。
元メンフィス・グリズリーズのバスケットボール運営部副部長であり、現在は『The Athletic』のシニアNBAコラムリストを務めるジョン・ホリンジャーは、長年の経験から独自のモックドラフトを作成。近年、その需要が増加傾向にあるビッグマンが上位を占める次回のドラフトについて、独自の見解を示している。
1位指名には、ジャバリ・スミス・ジュニア(オーバーン大学)をピックアップ。リバウンド、ブロック、スティールなどのディフェンシブスタッツでは決して突出した存在ではないものの、ホリンジャーは同選手の未来は明るいと予想している。
同氏は、スミスの美しいシューティングフォームと放物線を、2018年にNBA入りを果たしたマイケル・ポーター・ジュニア(デンバー・ナゲッツ)以来のクオリティと高く評価。シュートまでのフットワークも非常にスムーズで、今年は3ポイントシュート成功率42.0パーセントと、アウトサイドから優れた確率をマークしている。肉体面での完成形にはまだ到達していないため、センターポジションでのプレーは現実的ではないものの、優れたステップワークを有するスミスであれば、相手のオフェンスのスイッチにも対応できるとコメント。「最もオールスター選出の可能性が高い」と予見している。
2位には高校時代から将来が期待されていた才能、パオロ・バンケロ(デューク大学)の名前を挙げた。ホリンジャーは、バンケロの運動能力やディフェンスはNBAレベルでは及第点であると前置きし、3ポイントシュート成功率33.8パーセント、フリースロー成功率72.9パーセントにも、さらなる安定を求めている。
それでも、ショットメイキングのスキルは、NCAAでも指折り。また、正統派のポイントガードが不在だったデューク大学では、実質的にポイントガードのような役割を担う機会も少なくなく、『The Athletic』のコラムリストは、100ポゼッションにつき平均6.3アシストをマークしたゲームコントロール面への言及も忘れなかった。
一方で、バンケロはウイングスパンやスピード面にやや物足りなさがある。それでも、ガードから自身が主戦場とするパワーフォワードまでであれば、一定以上のスキルを持って対等のマッチアップが期待できる。その高い総合力から、どの球団に指名されてもロスターを底上げすることができるだろう。
そして、3位にはジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ)と比較されるジェイデン・アイビー(パデュー大学)がセレクトされている。同選手のプレーを見れば誰もが“未完の大器”と感じるに違いない。リムへと向かう爆速的なスピードと、それを支えるアスレチック能力を見れば、スコアを期待して味方ポイントガードがボールを預けたくなるのも無理がない。
しかし、アイビーのオフェンスは諸刃の剣でもある。同選手は自信とスコアラーとしての責任感から、強引かつ不用意な突破を試みてターンオーバーを誘発されることも少なくない。また、リングが常にファーストオプションであるため、アシスト数も低調であり、ホリンジャーは「攻撃面でのスキル開発が指名球団の最初のミッションとなる」とコメントしている。
トップ3にチェット・ホルムグレン(ゴンザガ大学)が選出されなかったのは、意外な結果だったかもしれない。無論、ホリンジャーも同選手の攻防におけるスキルセットには高い評価を与えているが、同氏は2002年以来、1巡目6位までに指名されたビッグマン18名のうち、わずか3選手しかオールスターでプレーしていないというデータを挙げ、最上位でビッグマンを指名する必要性に疑問を呈した。
確かに、ディアンドレ・エイトン(フェニックス・サンズ)やエバン・モブリー(クリーブランド・キャバリアーズ)は将来的な選出が有望とされているものの、ジェームズ・ワイズマン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)やモー・バンバ(オーランド・マジック)はその域まで達する保証がなく、ドラガン・ベンダー(マッカビ・テルアビブ)やジャーリール・オカフォー(浙江ライオンズ)はすでにNBAではプレーしていない。
果たして、2022年組はどれほどのクオリティを秘めているのだろうか。まずは、1カ月後に控えたドラフト当日に、各球団が誰を指名するかに注目が集まる。
文=Meiji
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