Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
NBAの2022-23シーズンは、3試合を消化。苦戦が予想されたユタ・ジャズが3連勝する一方、優勝候補のフィラデルフィア・セブンティシクサーズが白星なしと波乱の幕開けとなっている。
各メディアや有権者たちが優勝予想をするなか、それと対極に位置する“最下位争い”にも注目が集まっているのは、もはや異常事態と言える。その議論の中心となるのが、来年のNBA入りが確実視されているビクター・ウェンバンヤマの存在だ。
フランスのメトロポリタンズ・92でプレーする18歳は、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)さえも上回る才能として世界中が熱視線を注ぎ、ラスベガス郊外で行われたGリーグイグナイトとの一戦にはNBA関係者200人が駆けつけた。
224センチのビッグマンにして、スキルセットはケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)やステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)級。各球団のフロントは現在、一夜にして勢力図を塗り替えてしまいそうなネクストスターの獲得を渇望している。しかし、NBAのドラフトはレギュラーシーズンの順位が低ければ低いほど上位指名権を獲得できる可能性が高まることから、メディアではウェンバンヤマを巡ってタンク(意図的に負ける)による最下位争いが繰り広げられると言われている。
しかし、スポーツエンターテイメントの本質は、互いに勝利を目指す激しいつばぜり合いにあって、緊張感のない譲り合いをすることではない。NBAのコミッショナーを務めるアダム・シルバーは、ウェンバンヤマの存在によってリーグの競争力が失われることに例年以上の危機感を抱いている。
シルバーは最近、表舞台でコメントする度にタンクを抑制してきた。しかし、リーグは各球団に今以上の圧力をかけるべく、トップリーグからの降格制度さえ検討し始めたようだ。
その参考になるのが、サッカーのコンセプトだ。NBAは何年連続で最下位になろうとも、翌シーズンも変わらずにトップリーグでのプレーが許されており、そうした順位争いのヒリヒリした戦いが発生するのはプレーオフ圏内外のみ。
一方、サッカーのリーグ編成は1部、2部、3部とディビジョン分けされており、シーズンの成績に応じて上下リーグとの入れ替えが実施されるため、スケジュールの終盤では下位でもシリアスな競争が巻き起こる仕組みとなっている。
NBAはこうした最下位争いのひとつの対策としてサッカーにならい、Gリーグ球団との入れ替えを示唆。しかし、Gリーグ球団にトップリーグで戦う準備ができていないのは明らかであり、シルバーは昇格・降格制度がリーグのビジネスモデルを崩壊させることも理解している。
「タンクは我々が注意しなければならないことに疑いの余地はありません。原則として、ドラフトは良いシステムです。しかし、今年のように一世代に一度の選手がやってくる感覚がある場合は特に慎重になる必要があります」
「チームは賢く、創造的です。それと同時に我々も動き、彼らはそれに反応します。我々はそのためにより良いシステムがないか、常に模索しているのです」
文=Meiji
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