2023.03.15

“拳銃誇示”により窮地のモラント…大型広告の撤回に、50億円のサラリー損失の可能性も

SNSのライブ配信で拳銃をひけらかしたことをきっかけに、コートから離れているモラント[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 デビュー以来、順風満帆なスター街道を歩んできたジャ・モラントだが、SNSでの拳銃誇示を境に、境遇は一転した。刑事告訴こそなかったものの、NBAは引き続き調査を続け、選手本人はチームを離れている。また、内容こそ明かされていないものの、最近ではカウンセリングの受講が報じられ、問題は一朝一夕で解決するものではなさそうだ。

 メンフィス・グリズリーズの若きエースについては、拳銃をひけらかす以前にも少年への暴行、ショッピングモールでの揉め事、インディアナ・ペイサーズ一行へのレーザーポインター発射など、さまざまな素行問題が報じられている。

 こうした不祥事は、モラントと契約するブランドにとっては大きな風評被害を受ける可能性がある。『New York Post』によると、コカ・コーラ社は直近の報道を受けて、モラントが出演するスポーツドリンク「パワーエイド」の広告を撤回したようだ。

「パワーエイド」は、ストークリー・ヴァンキャンプ社が展開する「ゲータレード」と双璧をなし、過去にはレブロン・ジェームズクリス・ポールデリック・ローズらが広告塔に起用されたスポーツドリンクのトップブランド。同社幹部は『Bloomberg』に対し、「モラント選手はパワーエイドの36年間の歴史で最大のマーケティングキャンペーンのヘッドライナーを務めることになります」と、大規模な展開を予告していた。

 モラントを起用した「パワーエイド」のコマーシャルは、今年の3月1日に開始されたばかり。しかし、「皆さんは至るところでモラント選手を目にすることでしょう」というコメントから一転、わずか10日間での広告撤回は、今後キャンペーンを予定しているコカ・コーラ社にとって大きな打撃となるだろう。

 また、グリズリーズの背番号12は、球団との契約でも大金を手にする機会を逃すことになるかもしれない。

 2023-24シーズンからキャリア5年目に突入するモラントは、今夏にグリズリーズと5年1億9300万ドル(約260億円)のルーキーマックス契約に合意している。この金額はグリズリーズのサラリーキャップの25パーセントに相当し、もしモラントがMVP、最優秀守備選手賞、オールNBAのいずれかのベンチマークを達成した場合、契約金はキャップの30パーセントにあたる2億3100万ドル(約311億円)まで跳ね上がる予定となっていた。

 今シーズンのモラントはこれまで印象的なプレーでチームをけん引し、オールNBA選出も現実的な目標だった。しかし、仮にシーズンアウトのような事態となれば、日本円に換算して約50億円のボーナスが水の泡となってしまう。

 今春にはナイキから初のシグネチャー発売も控えているモラント。しかし、コートに復帰するためには、多くの障壁を乗り越えなければならないだろう。

文=Meiji

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