2023.08.31
デンバー・ナゲッツは「NBAプレーオフ2023」を16勝4敗で勝ち上がり、フランチャイズ史上初の王座獲得を成し遂げた。「NBAファイナル2023」ではマイアミ・ヒートを4勝1敗で撃破し、ニコラ・ヨキッチはシリーズ平均30.2得点14.0リバウンド7.2アシスト1.4ブロックをたたき出し、ファイナルMVPを獲得した。
このチームにはジャマール・マレーやアーロン・ゴードン、マイケル・ポーターJr.、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、ブルース・ブラウンといった選手たちがいるのだが、ナゲッツがリーグ初制覇を達成するうえで原動力となったのはセルビア出身の万能型ビッグマンことヨキッチだったことは間違いない。
NBAキャリア8年で、ヨキッチはレギュラーシーズン計596試合に出場して平均20.2得点10.5リバウンド6.6アシスト1.2スティールを記録。オールスターとオールNBAチームにそれぞれ5回選ばれた実績を持つ211センチ128キロのビッグマンは、通算トリプルダブル(105回)やディフェンシブ・リバウンド(4713本)、アシスト(3959本)など、球団史上最多記録も複数保持している。
とはいえ、ABA時代の9シーズンも含めて球団創設56シーズン目で初の王座獲得となったナゲッツでは、これまで数多くのレジェンドたちがプレーしてきた。例えば、通算2万1645得点でトップに立つアレックス・イングリッシュ、ABAとNBAで活躍してきたデイビッド・トンプソンにダン・イッセル、先日NBA引退を表明したカーメロ・アンソニー、通算1486ブロックという球団記録を保持するディケンベ・ムトンボなどがいる。
そうしたなか、6月13日(現地時間12日)に『Andscape』へ公開されたインタビューで、イッセルはヨキッチこそが「球団史上最高の選手だ」と信じており、このように評していた。
「『彼をどうやって止めるんだ?』と人は言う。そこで私は『私が知っているわけないだろう』と答えるんだ。彼はリーグで最もアンセルフィッシュなスーパースターになっている。…もはや彼はウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・ウォリアーズほか)やアービン“マジック”ジョンソン(元ロサンゼルス・レイカーズ)と同じリストに入るほどのことをやっているんだから、もう勘弁してほしいね。彼はとてつもない選手なんだ。ようやく我々がチャンピオンシップを勝ち取る番になったんだ。私は本当にそう思っているよ」
206センチ106キロのパワーフォワード兼センターとして活躍してきたイッセルは、1976年にABAファイナルへ進出し、1978年と1985年にはプレーオフのカンファレンス・ファイナルまで勝ち上がるも、NBAファイナル進出を飾ることができなかった。
レギュラーシーズン通算6630リバウンドにフリースロー試投数(5277本)と成功数(4217本)など、いくつもの球団最多記録を保持するイッセルは、1993年にバスケットボール殿堂入りしたレジェンドであり、ナゲッツで指揮官とエグゼクティブも務めた経験を持つ。
ただ、イッセルが指摘したように、ヨキッチはすでに球団史上最高の選手なのかもしれない。というのも、ヨキッチは2021、2022年にフランチャイズ史上唯一となるMVPに2年連続で選ばれてきた。そして今シーズンはナゲッツを念願の王座へと導いたのだから、イッセルが絶賛するのも当然だろう。
ヨキッチ本人はあまり興味を示さないだろうが、NBA史上屈指のビッグマンの1人となった男は、ナゲッツという球団を代表する選手としての地位を手に入れたと言っていいのかもしれない。
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