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Window2に挑むチャイニーズ・タイペイ代表の顔ぶれを見ると、代表選手招集の難しさが伝わってくる。今回、沖縄にやってくるメンバーは代表歴がほとんどない平均24歳の若いチームだ。トム・ホーバスヘッドコーチも「メンバーが結構変わり、帰化選手も新しいためにデータがあまりない。日本戦の前にオーストラリアとの試合をやるので、その試合をもとにスカウティングしたい」と語るほどだ。現在、チャイニーズ・タイペイには『Pリーグ+』、『T1リーグ』『SBL』という3つのトップリーグがあるが、その中で人気も実力も高い『Pリーグ+』から4人、『T1リーグ』から5人、そして大学生5人、計14名でチームを編成している。
今予選でメンバーが招集できなかった背景にあるのは、コロナ禍での隔離期間の問題だ。現在、チャイニーズ・タイペイでは海外からの帰国後は2週間の隔離期間があるため(3月より10日間に短縮予定)、リーグ戦に影響を及ぼすために国内リーグから主力級の選手を集めることができないのだ。
今回は中国プロバスケットボールリーグ(CBA)でプレーしているチャイニーズ・タイペイの選手たちも選出されていない。中国の場合は、帰国後はさらに長い3週間の隔離があることがその理由だろう。昨年11月のWindow1の中国代表との2連戦では、CBAがリーグ戦の日程を配慮していたために3週間の隔離があっても出場することができたが、今回は3月にリーグ戦の日程が組まれているために、長い隔離期間というハンデを負ってまで国際試合に出場しないという決断を下している(そのため、中国はWindow3での試合数が多くなる)。
そんな中で注目したいのは、新しい帰化選手として加入したウィリアム・アルティーノ(211センチ、29歳)だ。アメリカ出身で昨年末にチャイニーズ・タイペイの国籍を取得。所属するT1リーグでは平均30.6得点16.2リバウンドを記録して、現在得点とリバウンド部門のトップを走る。チャイニーズ・タイペイに帰化選手が加入するのは2019年のジョーンズカップ以来であり、211センチの高さがあることから、アルティーノを軸としたスタイルになることは間違いない。
また、若手布陣の中で唯一経験あるのが周儀翔(ジョウ・イーシャン/191センチ/31歳)。パワフルな攻防が持ち味のウイングで、2018年2月に横浜で開催されたワールドカップ予選で存在感を示している。
周儀翔は先日までCBAの北京首鋼に所属していたが、Window2終了後に帰国し、『Pリーグ+』に移籍することが決定している。そのため、今回は北京から直接沖縄入りをするため、ぶっつけ本番での加入となる。今季のCBAではプレータイムが少なく振るわないことから、現在のパフォーマンスやコンディションがどの程度なのかは不明だが、若い選手が多いだけに、経験値の面では心強い存在となるだろう。
その他で注目したいのは、T1リーグで力をつけているガードの林秉聖(リン・ビンシェン/186センチ/PG/25歳)、魏嘉豪(ウェイ・ジャハオ/180センチ/PG/22歳)、アウトサイドシュートが得意なインサイド林正(リン・ジェン/200センチ/PF/21歳)あたりか。Window2は若手布陣がチャンスをつかむ試合になりそうだ。
近年、チャイニーズ・タイペイとの対戦では勝ち越している日本。敗れたのは2018年2月のワールドカップ予選で、辻直人(現広島ドラゴンフライズ)が8本の3ポイントを決めながらも69-70で惜敗している。このゲームのあとは、2018年7月のワールドカップ予選で108-68、アジアカップ予選では2020年2月に96−57、2021年6月には98−61と3連勝している。ディフェンスのプレッシャーをかけてチャイニーズ・タイペイを黙らせた3試合だった。
ただし、直近の対戦である昨年6月の試合は、今回来日するメンバーと同様にキャリアのないメンバーに加えて帰化選手が不在だった。近年でチャイニーズ・タイペイがベストに近いメンバーで代表チームを組んだのは、2021年8月にアジアカップのラスト1枠をかけたプレーオフ、グアムとの試合である。この試合は帰化選手が加わったグアムに1勝1敗だったが、得失点差で上回ってアジアカップの出場権をつかむエネルギーのある試合をしている。チャイニーズ・タイペイにはこうした主力級が控えていることも覚えておきたい。今回は若手の相手であることからも、ぜひとも勝利をつかみたい。
文=小永吉陽子