2018.02.18
2月16日、Bリーグ第20節第1戦が川崎市とどろきアリーナで行われ、東地区3位の川崎ブレイブサンダースが同地区6位のレバンガ北海道と対戦した。今節は、ここまで2勝2敗と星を分け合っている川崎と北海道のレギュラーシーズン最後の激突。川崎はチャンピオンシップ進出に向けて対戦成績で優位に立つためにも、この連戦を勝ちきっておきたいところだ。
大事な試合の序盤から流れを引き寄せたいところだが、出足を制したのは北海道。関野剛平の3ポイントやマーク・トラソリーニの豪快なワンハンドダンクを許すと、相手のタイトなディフェンスやダニエル・ミラーの強烈なブロックショットの前に得点が伸びず、第1クォーターで18-29と11点のリードを許す。
続く第2クォーターに入っても北海道の勢いを止めることができず、素早いパス回しでフリーを作られると、野口大介らにアウトサイドのシュートをしっかりと沈められて失点を重ねた。オフェンスにおいても24秒バイオレーションを犯すなど、なかなか自分たちのリズムを作り出せない川崎だったが、鎌田裕也が恵まれた体格を活かした力強いゴール下や、難しい体勢からのシュートをねじこむなどインサイドで奮闘。流れを引き寄せかけたものの、完全に巻き返すには遅く、前半を終えて36-50と14点のビハインドのままハーフタイムとなった。
後半に入ると両チームの意地と意地がぶつかり合う激しいプレーは一層激化。双方ともにピッタリと張りつくディフェンスや、スクリナーとぶつかり合う肉や骨のきしむ音が聞こえてくるような試合展開に、平日にも関わらずアリーナに駆けつけた2132名の観衆は大いに盛りあがる。この盛りあがりをさらにヒートアップさせるチームの猛追撃をけん引したのは、川崎が誇るスピードスター、藤井祐眞だ。藤井は、圧着するようなディフェンスで北海道からターンオーバーを引き出すと、持ち前のスピードを活かした鋭い速攻や3ポイントシュートで、このクォーターだけで10得点を挙げた。試合の主導権を手繰り寄せた川崎は一気にその差を縮め、54-59の5点差としてラストクォーターへと突入した。
最終クォーターも川崎ペース。前半は伸び伸びとオープンシュートを放っていた北海道へのディフェンスをきっちりと修正した川崎は、第3クォーター同様に北海道のオフェンスから自由を奪うと、徐々にその差を詰めにかかる。重要な局面でしっかりと仕事を果たす大エース、ニック・ファジーカスにボールを集める川崎は、序盤のビハインドをついに逆転。最後までチーム一丸で粘る北海道を振りきり、77-72で激戦に終止符を打った。
敗れた北海道の水野宏太ヘッドコーチは、試合後の会見で「勝つべき試合を勝ちきれなかった。前半と後半まったく違う展開となってしまい、自分たちのミスから相手に流れを渡してしまった。相手の仕掛けに対し、自分たちが冷静さを欠いて、流れを渡してしまった」と語り、ベンチテクニカルを受けるなど感情のコントロール部分を、勝負を分けた要因の一つとして挙げた。激戦を制した川崎の北卓也HCは「(北海道とはここまで)2勝2敗ということで、東地区の中でも大事な試合と選手もわかっていた中で、今日の初戦を取れたことは大きい」と述べると、続けて「ボールに対する執念も負けているとハーフタイムで話をしました。ハードなディフェンスをして、後半を22点に抑えたことが今日の勝因ですね」と勝因を分析した。
北HCの言葉どおり、試合を決定づけたのは、後半の川崎のエナジーと北海道のオフェンスを封じた我慢のディフェンス力であった。ただし、このチームのがんばりを後押ししたのは、今季から大きな進歩がみられるアリーナに詰めかけたファンの大きな声援だ。昨季までのとどろきアリーナでは、チアや運営側の先導があっても、うなるような声援が送られることは少なかった。今季の川崎は、アウェイまで訪れるファンの姿も目立ち、チームへと送られる声の力を感じることも多い。重要な局面でチームを鼓舞するディフェンスコールや、会場の熱量を一層高くするアリーナ全体のボルテージは、バスケットボールにおいて勝敗を左右する重要なファクターとなる。
ここから更に激しさを増すBリーグ。激戦が続く川崎にとって、飛躍的な成長を見せるファンの後押しは、何よりも心強いだろう。
文=村上成
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