2021.05.17
今シーズンの「B.LEAGUE AWARD SHOW 2017-18」から設けられた「ソーシャルメディアリーダー」。ファンによるWEB投票とSNS投票の結果、伊藤俊亮(千葉ジェッツ)が選出された。Twitterを駆使してファンとの交流を図る「イートン」こと伊藤だが、いつから、どのようなきっかけでソーシャルメディアを始めたのか。クラブのスタッフに就任する来季の展望も踏まえて話をうかがった。
――「ソーシャルメディアリーダー」の受賞おめでとうございます。ところでTwitterはいつ頃から始めましたか?
伊藤 栃木ブレックス在籍時の2012年(3月)頃だったと思います。当初はブログをメインにやっていたのですが、どうしても文が長くなってしまって。(Twitterの)140字で収める作業が性に合ったのか、ちょうど良かったですね。ブログを定期的にキッチリ書くこともありましたが。
――始めたきっかけは?
伊藤 その当時はメディアさんに取り扱ってもらえる機会が少なかったので、自分たちから何かを発信していかなければいけないなと。もともと、親の影響からか本を読むことが好きで、コラムや文を書くことも好きだったんです。ただ、読書感想文は苦手で、どう書いていいのかわからなかったです(笑)。
――自身の立場が社員選手からプロ選手に変わっていくとともに、発信するものも変わっていきましたか?
伊藤 漠然と誰かに向けて書いているというよりは、プロになったことでお客さんの顔が見えるようになったというか。そういうイメージはありました。
――千葉では広報やモッパーのキャラ立ちにも積極的に取り組んでいますよね。伊藤選手も「イートン」と呼ばれていますし。
伊藤 千葉の公式アカウントを更新している広報担当も、最初から今のようなキャラがあったわけではなかったですし、やりながら何ができるのかを、コミュニケーションを取りながら探り探りやっていたと思うんです。公式アカウントは、スポーツチームの公式のためすごく難しいと思います。チームのことなので試合の勝ち負けはもちろん、何か問題があった時、的にされてしまうので運営が難しかったはずです。広報の三浦(一世)が担当するようになってからは一方的に情報を発信するアカウントではなく、人が人とやりとりをして運営していますよと。途中から本人も顔を出して、全面に出ることによって人間感を出しているアカウントにすることができたと思います。それに救われていることは多々あると思いますし、何かミスが起こった時でもすごく柔軟に対応できていて、ブースターの方も温かく見守ってくれています。僕たち選手は、公式のアカウントではやりづらいテーマに触れることができ、逆に選手ができないことを広報に言ってもらうこともあります。
――スタッフ陣とも連携が取れているんですね。
伊藤 補完し合ってできているかと。(島田慎二)社長も積極的に活用しているので。選手の立場としては、競技に興味を持ってもらって、試合を見に来ていただくことは重要だと思いますが、それだけでは選手一人ひとりを応援して、“推しメンバー”として扱ってもらえるようにならないと思うんです。それぞれにキャラクターをつけて、一人ひとりの選手像を作っていかなければ、愛着を持って取り扱ってもらえないかなと。僕自身はすごく意識していて、この選手にはこんなキャラクターがある、こんな見方ができる、こんな楽しみ方ができる、ということを提案していけるように、チームメートにも絡んでいます。
――メーカーさんも巻きこみました。
伊藤 企業の公式アカウントの運用方法は本当に見習うべきところが多く、SNSの活用を考えるにあたってすごく参考にさせてもらっています。公式アカウントがCMや宣伝、PRばかりでは面白くないですよね。そこに人がいるということをわかってもらって、その人によってやりとりや運営がされているのはすごく素晴らしいことですし、スポーツチーム、選手のアカウント運営における一つの正解だとも思っています。企業では業績が良かったり悪かったり、チームでは試合に勝ったり負けたりする中、調子が悪くなった時にどうしても口を閉じてしまいがちですよね。それを普段からある程度のリズムで、偏りを持たせないことによって、その時々におけるツイートの意味を理解してもらえるだろうと。今はこのことをつぶやきたい、本当はこれを伝えたいなど、どうしても必要な時にできなくなる可能性もあると思うんです。そのようなリスクヘッジも兼ねて8:2の黄金比があって、8割は自分のキャラで、2割はPRでツイートするのがいいと言われています。今は肌感ですけど、とても参考にしています。
――企業とのコラボグッズも誕生しました。
伊藤 本当にたまたまですが、とてもありがたかったです。グッズメーカーの担当者がSNSをとても使っていて、興味を持ってもらえてうまく巻きこむことできたと思います。最初から食いつきが良くてどうしようかなと(笑)。デザインをすごく気に入って、実現できればと感じたので、それならチームメートを巻きこむべきかなと思っていました。最初はあえて公式を絡めず、選手たちを絡めて全選手のキャラクターを描いてもらうことに挑戦して。だんだんと盛りあがることでグッズを作ってもらえて、ブースターの方にも喜んでもらえました。「あれが欲しい」、「これが欲しい」とやっていくことで、埋まっているマーケットを掘り起こすこともできるんだなと。今年はよくできたと思いますし、選手のフォロワーも増えて、いろいろな相乗効果があったと感じます。
――今季で現役を退き、来季からスタッフになります。今後はどのようなことを発信していく予定ですか?
伊藤 難しいですね。すでにチームの公式アカウントがあるので、千葉ジェッツの中の人みたいな感じかな……。会社の中の人というような立ち位置で。お互いに足りないところや不得意ところをフォローし合って、探りながらやっていきたいと思います。もちろん選手の手伝いもしますし、運用で困っていることがあれば積極的に助けていきたいです。
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