2019.09.24

“常勝軍団”復活へ、準備着々のシーホース三河「今年はやんちゃがウリ」 

“常勝軍団”復活に向け、開幕を楽しみにしているという鈴木貴美一ヘッドコーチ [写真]山田智子
ライター・カメラマン

昨季は主力選手が退団し、チャンピオンシップの出場を逃したシーホース三河。今オフは2連続リーグ得点王のダバンテ・ガードナー、帰化選手を除く日本人得点2位の川村卓也ら実力者を積極補強して、チームを刷新した。

ホームのウィングアリーナ刈谷で行われた「B.LEAGUE EARLY CUP 2019 TOKAI」では、名古屋ダイヤモンドドルフィンズを下して優勝。2試合合計195点を奪う圧倒的な攻撃力を見せつけた。

”常勝軍団“復活へ――。勝負のシーズンに挑む鈴木貴美一ヘッドコーチに意気込みをうかがった。

文・写真=山田智子

何かやらかしてくれそうな選手がそろったロースター

ダバンテ・ガードナーをはじめ、このオフに大型補強を敢行したシーホース三河 [写真]=B.LEAGUE

――新シーズンが始まりましたが、今の気持ちを聞かせてください。
鈴木
 非常にワクワクしています。昨年は途中から加入した若い選手が、練習でも試合でもいいパフォーマンスをして、成長してくれて、苦しいシーズンの中でも、今季につながる材料がたくさんありました。結果的にはあと1点、あと1勝が足りずチャンピオンシップを逃しましたが、無駄な経験ではなかったと思っています。今年は素晴らしい選手が加わって、さらに上を目指せると考えています。やんちゃな選手が入ってくれたので、「何かやらかすんじゃないか」と、僕らもファンの皆さんも、楽しみなんじゃないですかね。

――ガードナー選手(新潟から移籍)、川村選手(横浜から移籍)などの大型補強に、ヘッドコーチの今季にかける意気込みを感じました。
鈴木
 ガードナー選手に何億円出したというウワサもあるようですけど、全くのウソです。(昨年、主力選手を)引き抜かれたので、頑張って補強したんだなと思われているんでしょうけど、全然違います。正直そうしようかなとも思いましたけど(笑)、今年は少し考え方を変えて、うちに興味がある、うちに来たいという情報のあった選手から補強を行いました。

――新たに7選手が加入しましたが、新加入選手にはどんなことを期待しますか。
鈴木
 昨年は3回くらい新チームを作った感じで、コミュニケーション不足が目につきました。ですので、今年はコミュニケーションを強調してやりたいと思っています。新たに加入した選手にはとにかくチームメイトや環境などを理解して、早く馴染んでほしい。それに尽きますね。選手が多く入れ替わった状況では、チームを融合させた中で、試合で結果を出して自信をつけることが大事だと思います。そういう意味ではアーリーカップでいい勝ち方ができてよかったです

――ガードナー選手、川村選手については、特にファンの方の期待も大きいと思います。チームにどのようないい影響をもたらしてくれると期待しますか。
鈴木
 ガードナー選手はパワフルな身体を持っていて、得点能力が高い。昨季はうちも随分やられました。パスもうまいので、チームメイトの特徴を早く掴んで、タイミングを合わせてくれればすごい戦力になると考えています。

 川村選手は、若いときはやんちゃでしたけど、色々な苦しい経験をして、本当に素晴らしい選手に成長したなと感じています。ここ数年は性格の優しい選手ばかりが集まって、大事な場面で青い顔をしていることが多く、一昨年は大事なプレーオフで負けたり、昨年は接戦を多く落としました。川村選手はハートが強くて、大事な時に決められるいわゆるクラッチシューター。チームとしてはその部分を期待しています。

――昨季途中加入した熊谷航選手や岡田侑大選手もどちらかと言うとやんちゃな選手ですし、4シーズン目の三河はチームカラーが大きく変わりそうですね。
鈴木
 間違いなく変わると思います。今年はやんちゃ坊主がウリですね。僕はやんちゃな選手が好きですし、岡田選手は先輩にやられたら3倍返ししますから、見ていて頼もしいです。

――金丸晃輔選手、岡田選手、ガードナー選手、川村選手と非常に得点能力が高い選手が集まり、アーリーカップでは得点力の高さが光りました。
鈴木
 準決勝は少し重くて、ガードナー選手のみに頼るバスケットになってしまい、あまり良い形ではありませんでした。決勝はいろんな選手が点数を取りましたし、まだ完璧ではないですが良かったと思います。ガードナー選手の周りの日本人選手が2桁得点取るようになれば、強いチームになります。

シーズン前の練習試合を増やし開幕ダッシュを狙う

スコアラーでありながらパスもうまい川村卓也 [写真]=B.LEAGUE

――ここから開幕まで“強いチーム”を作っていく上で、大事になってくることはどんなことでしょうか。
鈴木
 得点できる選手が5人集まれば勝てるかと言えば、逆に「オレがオレが」と競争して、かえって点が取れなってしまうことがあるんですよね。5人の力を足して5ではなく、6、8、10とするためには、やはりオフェンスのケミストリーが大事になってきます。

 川村選手はパスもドリブルの能力も高くて、ガード的な動きができる選手。金丸選手とは違うタイプですので、2人の組み合わせも楽しみです。

 岡田選手に関しては、去年は点を取ることだけで精一杯だったと思うんですね。パスの能力は元々ありますので、今年はアシストも増えればいいなと期待しています。

――ポイントガードは熊谷選手(23歳)、長野誠史選手(24歳)、會田圭佑選手(24歳)と非常に若い編成となりました。
鈴木
 伸びしろがある選手たちなので、とにかく鍛えて成長できるようにしたいなと思っています。彼らは機動力があるガードなので、速い展開にも期待しています。

――ディフェンス面はいかがでしょか。
鈴木
 オフェンスが得意な選手が集まっているので、ディフェンスに関しては少し弱点です。まずはオフェンスをきっちりと作ることが先決ですが、チームとしてディフェンスが今より少しでも良くなるように努力したいと思います。

――新キャプテンの加藤寿一選手にはどのようなことを期待しますか。
鈴木
 昨年の苦しい状況の中でも、しっかりとチームメイトを鼓舞したり、応援したりしていたのが加藤選手と森川選手でした。(25歳と)若いですけど、キャプテンにふさわしい行動をしていたので、なるべくしてなったキャプテンだと思います。加藤選手もやんちゃですけど、ファンに対しては神対応だし、年齢に関係なくチームメイトを食事に誘ってコミュニケーションを取っている選手なので、いいキャプテンになるんじゃないかなと期待しています。

――昨季は開幕5連敗と苦しいスタートとなりました。今年も開幕から、琉球、千葉、新潟と昨年の地区チャンピオンとの対戦が続きます。
鈴木
 昨年は開幕5連敗のハンディを背負って始まって、それを取り戻すために必死にやったことでケガ人が多く出て、歯車が狂ってしまいました。もちろんケガも実力のうちですが、今年はその反省も踏まえて、新しい選手が早く馴染めるように、開幕前に練習ゲームを11試合組んでいます。僕らは例年スロースターターなんですが、いきなり強いところと当たるので、最初から飛ばさないといけない。大変ですが、開幕ダッシュしたいと思います。

――最後に今季の目標をお願いします。
鈴木
 アーリーカップの結果(初優勝)に奢ることなく、去年の悔しさを1年間忘れないでやることが大事です。僕は常に優勝を目標にやっていますし、2位から最下位までは同じだと思っています。簡単ではないですが、選手とともに優勝を目指して頑張ります。

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