2019.10.02

【対談】金丸晃輔×川村卓也「シーホース三河のスプラッシュブラザーズが語る優勝への決意」

笑いが絶えない対談となった [写真]=山田智子
ライター・カメラマン

昨季、日本人の得点ランキングトップとなる1試合平均17.9得点を記録したシーホース三河のエース、金丸晃輔。それに続く同15.6得点で日本人2位につけ、今夏三河へ移籍加入した川村卓也。外国籍選手、帰化選手が得点ランキングの上位を占める中で存在感を放ってきた日本人スコアラーの競演は、三河ファンならずとも期待が高まるところだ。

リスペクトし合う2人のオフェンスマシーンによる対談は、笑いが絶えない中にも、今季にかける決意を語り合う熱い時間となった。

文・写真=山田智子

「金丸を機能させるという新境地にチャレンジしたい」(川村)

――これまでにお二人で対談されたことはあったのですか?
川村 三河に来るまではないですね。丸(金丸)は人見知りなんですよ。だから、オールスターとかで会っても、あんまりしゃべってくれんかったんですよ。

金丸 緊張するし。話がうまいから、こっちがうまく話せないんですよ。

川村 やめろよ、変にハードル上がるじゃん! (三河に来てからは)何を期待されているのかわからないんですけど、なぜかこのペアで取材を受けることが多いですね。毎回8割がた僕がしゃべってるんですけど(笑)。今までは、コート外で丸がどんな選手かというのはわからない部分が多かったんですけど、チームスタッフやメディアの皆さんがこういう時間を作ってくれたことで、丸はこういうふうに思っているんだなとか新たに感じている部分があります。

――コート内外でお互いの理解を深めているところなんですね。チームメートになる前は、どのような印象を持っていましたか?
金丸 フォワードで一番シュートがうまい選手で、憧れですね。

川村 やめろよ(笑)。

金丸 何でもできて、すべて自分が得点するというより、周りを活かしつつ、自分も点を取りつつというバランスがすごくうまく取れてる選手だと感じています。ディフェンスをしてたら、本当に止めづらい選手ですね。

川村 僕の方こそやられてましたよ。こんなにシュートが入る選手、どうやったら止められるんですか……。僕は、彼がプロに入ってくるまでは、自分が一番得点能力に長けた選手だと思っていました。同じポジションの日本人選手で、得点の面で気に掛けるようになったのは彼が初めてです。金丸が何点取ったとか、どんなパフォーマンスをしたのかは常々気になっていました。でも丸と僕はタイプが違って、僕はある程度ドリブルも使うことも多いんですね。丸はスクリーンやタイミングとか、スペーシングを使った上で無駄な動きなく点数を取る選手で、スペーシングを作るスキルに関しては、僕よりも確実にずば抜けています。一方でピック&ロールを使うことやパスをさばくという点に関しては、僕にちょっとだけ分があると思っています。

笑みを浮かべる川村 [写真]=山田智子

「間近で見られると思うと、ワクワクするし、プラスでしかない」(金丸)

――その金丸選手がいる三河に加入するのは、プレータイムを失うというリスクもあると思うのですが、移籍を決断した理由を教えてください。
川村 ただ単に一緒にやってみたかったんですよね。昨シーズンは、丸がタイミング良くボールをもらえてない時間帯が多くて、フラストレーションをためていることは対戦相手としても感じ取っていました。自分は少しだけパスのスキルに自信があるので、彼に気持ちよく打ってもらえるタイミングでパスを出してみたい。新境地じゃないですけど、彼をうまく機能させることにチャレンジしてみたいと思いました。

金丸 パスがすごく上手な選手なので、きっと見てくれているだろうというのはありますね。だから絶対に来るって信じて動ける。それがあるのとないのとは全然違うので、動きがいがあります。今季は動き回ります。

川村 今、オレ聞いたからね。動き回るって。

金丸 (笑)

――金丸選手は川村選手が加入すると聞いて、どう感じましたか?
金丸 素直にうれしかったですね。間近で見られると思うと、ワクワクするし、プラスでしかないという思いでした。

――実際に間近で見て、いかがですか?
川村 よくしゃべるなって(笑)。

金丸 (笑)。よくしゃべるっていうのもありますけど……、まず思ったのは視野が広いことですね。タイミングやスペースを本当に大事にしていて、その状況で一番簡単に点が取れる選択肢をやろうとしてるなっていうのは見ていてすぐにわかります。

川村 でも、キャリアの平均得点もそうですけど、彼の方が点数を取っているんですよ。シュート、点数を取る技術に関しては、本当に彼の方が格段に上なので。ここは太字で、赤文字で書いといてください! 金丸あっての三河だと思うし、ダバンテ(ガードナー)もいるチームで、僕が平均15点取るというのは違うと思っています。だから、今僕が取得しなければいけないのは、一歩引いた上で、しっかりとフロアバランスを見てパスを出すということだと思っています。まだ彼が欲しいタイミングでパスを出せていないので、もう少し積み重ねが必要ですね。

――ゲーム中にも二人で頻繁に言葉を交わされていましたね。
川村 会話を重ねていくことで、自分の思いを伝えたり、丸の思いがわかってくる。そうう意味でも、口でしゃべるコミュニケーションを今は非常に大事にしています。

積極的にコミュニケーションを取る2人 [写真]=山田智子

――今季は金丸選手の笑顔が増えたという印象があるのですが、精神的にも楽になった部分があるんじゃないですか?
川村 昨シーズン、どんなだったんですか――。

金丸 楽ですね。楽になりすぎてる感じです(笑)。楽になった部分もあるし、ある意味では、常に見られている感じで気が抜けないですね。

川村 それはいいことなの? 悪いことなの?

金丸 いいことです(笑)。

川村 コーチも、バスケットボールを楽しまないことにはうまくなれないと常々言うんですけど、やはり楽しむことは非常に大事なので。そういう意味でもコート内外問わず、彼とも、チームのみんなともしゃべっています。去年のシーホースがどんな雰囲気だったかはわからないですけど、自分が来たことによって明るくなったねと言われるのは、非常にありがたいし、やりがいのあることですね。

優勝して、オフェンシブなチームが成功したことを証明したい。

――今シーズンのチームについて、現段階でどのような印象を持っていますか?
金丸 個性が強くて、いろんなタイプの選手がいるので、それがうまくかみ合えばすごくいいチームになるんじゃないかなと。点を取る選手はいっぱいいるんですけど、空いている人がいたらパス、自分が空いていたらシュートという選択をする選手が多いので、スマートなバスケットができると思います。

川村 最終的には、それぞれの局面において最善の選択肢を取れるようなチームにしたいですね。それぞれが広い視野を持った中で、最終的に誰がシュートを打っても得点を取れる形につなげることが、このチームのあるべき最終形だと思うんですね。その時に何を選択するのかという共通認識をチーム全員が持つことによって、みんなで素晴らしい形を作り上げていきたいです。

「うまくかみ合えばすごくいいチームになる」 [写真]=山田智子

――最後に、今季の目標をお願いします。
金丸 去年はチャンピオンシップに出られなかったので、まずはそこを最低限の目標にして、最終的には優勝したいです。僕にできることは点を取って貢献することなので、そこの軸だけはぶらさずにやっていきたいと思います。

川村 頼もしいね。

金丸 それでストレスがたまったら、すぐ話に行きます。

川村 言って言って! 釣りも初心者だけどついて行くわ。

金丸 一緒に行ってくれるなんて言ってくれた人、初めてですよ(笑)。

川村 僕はBリーグになってからチャンピオンシップに出たことがないですし、あまり勝つことを経験してきた選手ではないので、チャンピオンシップに出たいという気持ちは他の選手よりも強いと思います。得点を取れる選手がたくさんいるからといって、それが勝ちにつながるとは思っていません。自分たちがしっかりと結果を出すことによって、最終的にオフェンシブなチームが成功したねという話になると思うので、まずはしっかりと現状を把握して、自分たちがどうなりたいのかを定めた上で、その場その場で現在地を確認しながら進んで、最終的にはこのチームで優勝したいです。

2人の競演に注目が集まる [写真]=B.LEAGUE

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