【ウインターカップ男子注目】八王子学園八王子「電光石火のスピードで駆け抜ける雪辱の舞台」

高校バスケ日本一を決める「SoftBank ウインターカップ」が12月23日に開幕する。東京体育館をメインに29日まで男女120チームが頂点を目指す熱戦を彩る注目チームと選手を紹介する。

文＝小沼克年

　今夏のインターハイで準優勝の成績を収めた八王子学園八王子高校（東京都）。チーム史上2度目の日本一には惜しくも届かなかったが、準々決勝では優勝候補の福岡大学附属大濠高校（福岡県）を破るなど関東王者の実力を存分に示した。

　同校が得意とするのは、ハードな守備からスピーディーな攻撃を展開するバスケット。日々の練習で鍛えられた脚力と機動力を武器に足を動かし続け、速さで相手を圧倒する。守備ではゾーンディフェンスの引き出しも豊富。対戦相手や状況に応じたディフェンスを仕掛けて試合の主導権を握る。

　ポイントガード兼キャプテンとしてチームを束ねるのは、U18日本代表に選出された畠山颯大（3年）。広い視野から繰りだす華麗なアシストが最大の魅力で、ディフェンスでは鋭い読みでスティールを量産する。「U18日清食品トップリーグ2025」では個人ランキング2位となる平均2.6スティールをマークした。

「畠山とは目を合わせなくても、走れば絶対にパスが来る」。畠山との連携に自信を持つ花島大良（3年）は、スピードを生かしたプレーが持ち味の切り込み隊長。ファストブレイクの先頭を走り、カッティングから畠山のパスを受けて得点する形は今年の必勝パターンでもある。

　ペイント内を切り裂く花島に対し、外からはシューターの照井昇太朗（3年）が正確無比な3ポイントシュートを射抜く。ゴール下には走力を兼ね備える206センチのンジャイ パプ ンデリ セク（3年）、圧倒的なフィジカルを持つニャン セハ セダト（2年）というタイプの違うビッグマンが君臨。パワーフォワードの佐藤大愛（3年）は、献身的なプレーで貢献するチームのバランサーだ。

　全員で守り、走り、畠山を起点に内外からの多彩なオフェンスを披露するのが今シーズンの八王子学園八王子だ。インターハイで証明した実力が本物であることを示すため、自分たちのスピードを信じて日本一の座を奪いにいく。

■KEY PLAYER／SF #11 花島大良

インターハイ以降、ジャンプシュートの確率アップを目指している花島大良 [写真]＝伊藤大允

「自分は走るのが得意なので、走って、合わせのプレーから点を決めて、あとはディフェンスでも頑張って足を動かし続けています」

　花島は、自慢のスピードを生かしてチームの“速さ”を象徴する存在。守備から攻撃に転じれば、誰よりも速くリングへ駆けあがりシュートを決める。

　インターハイまではドライブ、カッティングといった強みとするオフェンスパターンから得点が大半を占めたが、現在はジャンプシュートにも磨きをかけた得点源の1人だ。

「インターハイでは得意のカッティングが通用しましたし、得点力も自分の強みだということがわかりました。でも、外からのシュートがあまりなかったです。今後のキャリアのためにも3ポイントは大事だと思っていますし、インターハイが終わってからはジャンプシュートの成功率を上げる練習をしてきました」

「U18日清食品トップリーグ2025」では7試合で平均15.4得点をマーク。攻撃パターンを増やした花島は、「ウインターカップの東京都予選も平均20点ぐらいは取ることができて、シュートの安定性も悪くないと思っています」と一定の手応えを感じているようだ。

　自身の課題については、「やっぱり決めなきゃいけない場面で決めきる力」と勝負どころでの得点を挙げた。

　スピードと得点力を武器に、花島は夏の雪辱を果たす。爽快にコートを駆けるエースが、八王子学園八王子の悲願達成のカギを握る。