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ファイナル初戦勝利も「まだ何も成し遂げていない」…岸本隆一がコートに立てる感謝と覚悟を語る

岸本は3本の3ポイントを含む14得点をマーク [写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキング編集部

 5月23日、横浜アリーナにて「りそなグループ B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2025-26」ファイナル第1戦が行われ、琉球ゴールデンキングス長崎ヴェルカと対戦。息詰まる接戦の末に71-69で勝利し、優勝へ王手をかけた。

 この試合で3ポイントシュート3本を含む14得点を挙げ、勝利に大きく貢献したのが岸本隆一だ。試合終盤の勝負どころでは、アレックス・カークがオフェンスリバウンドをもぎ取ってつないだボールを受け取り、相手のファウルを誘ってフリースローを獲得。プレッシャーのかかる場面で「いつも通りを意識していたんですけど、ちょっと緊張しましたね」と振り返りつつも、2本のフリースローを沈めて接戦に終止符を打った。

 短期決戦であるチャンピオンシップのファイナルにおいて、初戦を制することの意味は非常に大きい。2戦先勝方式となった2020-21シーズン以降、過去5度のファイナルのうち4回がGAME1の勝者が優勝。この事実が示すように、初戦を制することがタイトル獲得への重要なポイントになる。しかし、試合終了直後のオンコートインタビューでマイクを向けられた岸本は、「本当に素晴らしいチームだと思いますし、今日勝ったんですけど全然まだ何も成し遂げてないので。こういうゲームのあとというのは、次の試合がどれだけ重要かというのは、チームメートもそうですけど、みんな、キングスに関わる方みんな分かっていると思うので。そこ、もう1回気を引き締めて戦いたいと思います」と語り、決して浮かれることはなかった。

 試合後の記者会見でも、その油断のない姿勢は一貫していた。「すごく重要な第1戦だったので、まずは勝てたことにホッとしています。ただ、試合が終わったあとのインタビューでも答えたんですけど、まだ何も終わってないですし。今日勝とうが負けようが、次は絶対に勝たなきゃいけない試合になるので。そういった危機感も同じくらい、今あります」と、すでに心は第2戦へと向かっていた。


 琉球のファンにとって、岸本がこのファイナルのコートで躍動する姿は特別な意味を持っている。昨シーズンのファイナル、岸本はケガのために無念の欠場となり、ベンチからチームを見守るしかなかったからだ。

 会場には「今度は俺がいる」というメッセージボードを掲げるファンの姿もあった。岸本自身も試合中にそれに気づき、「すごくうれしい気持ちになりましたし。昨シーズンはケガでファイナルに出られなかったので、また違った期待を、期待をしていただいていると思うので。試合中はそれに応えられるようにプレーしようかなという気持ちでした」と振り返る。

 特別な舞台に再び立つことができた喜びについて問われると、「本当にチームが勝利するために全力でプレーすることはもちろんなんですけど、何よりこの舞台でプレーできるのは限られた人だと思うので。そこ、感謝の気持ちを持って、充実した試合にできたらいいかなと思います」と、コートに立てる喜びと感謝を口にした。

 特別な感情を抱きつつも、「これと言って『こういうプレーをしよう』というのは全く思ってなくて。ただこの試合の中で必要なプレーができるように、ということはすごく心がけたので。結果的にチームが勝てた分、今日はなんとなく自分の目的は果たせたかなという思いです」と、あくまでフォア・ザ・チームの精神を貫いた。

 優勝を決めるかもしれない第2戦に向けて、岸本はチームのメンタリティの重要性を強調する。

「とにかく試合の中でアジャストしなきゃいけないことはいろいろあるんですけど。まず試合に入る前にしっかりいいマインドセット、自分たちが仮に今日負けていたとしたらどんな気持ちで試合に入るのか、というぐらい危機感をあわせ持って。ただ今日うまくいったことだったり、そこは自信をしっかり持って、プレーできたらいいかなと思います」

 さらに、試合終盤に見せたチームの泥臭いプレーについても、「取れないときもやっぱり行き続けたというところが、最後ああいう自分たちにボールが転がるようなシチュエーションに僕はつながったと思っているので。そのあとのフリースローは、シーズン通して僕が責任を全うしなきゃいけないというのもあったので。ビッグ(カーク)はそれを感じ取ってパスをしっかりくれたのかなと思うので。明日もそういうシチュエーションがあれば、しっかり責任を果たしたいなと思いますし。それ以上に本当になんか、より良く、明日もっとプレーできればいいかなと思っています」と語った。

 昨シーズンの悔しさを晴らし、チームを勝利に導くために。感謝と適度な緊張感を胸に、岸本は第2戦のコートへと向かう。

文=入江美紀雄

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