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「桜花学園ともう一度」…創部3年目の福井工大福井、雪辱ならずも総力戦で確かな成長

エースとして福井工大をけん引した小池昌鈴 [写真]=小沼克年
フリーライター

 桜花学園ともう一度対戦したい――。

 この夏、創部3年目の新興チームを突き動かす原動力の一つは、その言葉だった。

 昨冬のウインターカップ3回戦。福井工業大学附属福井高校(福井県)は、高校バスケ界の“女王”桜花学園高校(愛知県)と最後まで互角の戦いを繰り広げたが、あと3点が届かず涙をのんだ。

 あれから半年あまり。7月31日に行われた「令和8年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ) バスケットボール競技大会」の準々決勝で、再び両者が激突。

「こんなに早く試合をさせてもらえることはうれしいよね。チャンスじゃねえか」

 チームを率いる林慎一郎コーチは、そう言って選手たちを鼓舞した。

 Asueアリーナ大阪での注目カードは、序盤から一進一退の展開。福井工大福井は得意の走るバスケットで全員が攻めの姿勢を貫き、第3クォーターを終えて60-55と前に出た。しかし、最終クォーター終盤に入ると桜花学園が反撃。竹内みや(3年)を中心に勝負強さを見せつけ、最後は73-80でベスト4進出を決めた。

 福井工大福井が掲げるのは「80点取って60点に抑えるバスケット」だ。林コーチは試合後、一定の手応えを口にしつつ課題についても言及した。

「それなりのスコアで戦えてうまくいきましたけど、最後はディフェンスリバウンドが取れなかった。そこが敗因ですね。飛び込み(リバウンド)でやられている部分が多かったので、ボックスアウトを徹底しなければいけませんし、リバウンドを修正しないと上にはいかせてもらえません」

 それでも最後は、「選手たちは楽しんでやれたと思います。また次、挑戦します」と締めくくった。

 チームトップの21得点をマークしたのは、背番号4でエースの小池昌鈴(3年)。追いかける展開となった最終クォーターには、林コーチに何度も呼ばれ指示を受けた。

「ディフェンスを頑張って我慢せなあかんぞ、と。小池にはみんなを鼓舞するよう伝えました。(オフェンスに関しては)最後は小池がシュートを打って負けるのはしょうがないので、お前がボールをもらいにいけと指示を出しました」

「点を取るのが仕事」と自負するエースのシュートは、最終盤ではことごとくリングに嫌われた。「ああいう場面で決めきれるのがやっぱりエースですし、そこは自分のシュート力のなさだと思います」。本人は悔しさをにじませた。

 一方、この試合ではシックスマンの姫路莉緒(3年)が19得点を挙げ、マリアマジャロー、田原莉桜といった2年生たちもコートで躍動。小池が1人で36得点、今大会を欠場したサジョレイ(3年)が27得点の活躍で桜花学園を追い詰めた昨冬から、確実にチームが成長を遂げていることの証だった。

姫路莉緒はシックスマンとして19得点をマーク [写真]=小沼克年

「正直、今までは自分が中心みたいなチームでした。けど、このインターハイが始まってから田原も、姫路も、マジャローも、板橋(香苗/3年)もみんなが得点を取れるようになりました。大会前まで全然そんな雰囲気がなかったので、個人的には『あれ!? みんなすごいできるじゃん!(笑)』ってうれしく思いました」

 3年前、地元の新潟県でバスケットに励んでいた小池は、林コーチのもとで新たな一歩を踏みだす決意をした。

「林先生とお会いしたのは中学3年生の秋ごろで、福井工大の体験会に行かせてもらったときでした。先生からは『これをやろう』ではなく、私たちに『何がしたい?』という風に聞いてくださったのが印象的でした。もっと成長して、日本代表になれるような選手を目指すためには自分で考える力はすごく大切だと思って福井工大に決めました」

 今夏のインターハイを終え、指揮官はチームの確かな成長を実感していた。

「バスケットに対する感性というか、選手たちが自分たちで判断することが少しずつできるようになりました。去年だったら小池が目立っていましたけど、今は姫路、板橋も力をつけてきました。サジョが戻ってくればインサイドはさらに強力になると思います」

板橋(左)、マリアマ(右)の成長を感じた大会でもあった [写真]=小沼克年

 打倒・桜花学園と、その先の日本一の夢は持ち越された。けれどこの夏、福井工大福井が積み上げたものは、かけがえのない財産だった。

文・写真=小沼克年

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