2022.06.05

退任のルカHCがA東京での日々を振り返る「この5年間は宝物のような思い出」

メディア対応を行ったルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ[写真]=バスケットボールキング
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 6月5日、アルバルク東京からの退任が先日発表された、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチがメディア対応を行った。

 Bリーグ2年目となった2017-18シーズンにA東京のHCに就任すると、就任初年度にリーグ優勝を成し遂げ、翌年には2連覇を達成。ルカHCはメディア対応の冒頭で、A東京を率いた5シーズンを振り返った。

「1年目、最初のチャンピオンシップ優勝を達成し、リーグ全体のバスケットボールのレベルが一気に上がったと感じています。さらに、2年目もバックトゥバックで優勝することができました。そして3年目は中断となったものの、最高勝率でシーズンを終えることができました。FIBA アジアチャンピオンズカップでも優勝することができたので、最初の3年間は素晴らしい結果を残せたと感じています」

思い出深い試合を聞かれると、就任初年度のCSセミファイナル、アウェーで2試合連続の延長戦となったシーホース三河戦を挙げた[写真]=B.LEAGUE

 A東京を「ビックネームチーム」と表現するルカHCは、CS進出を逃した昨シーズン、クォーターファイナル敗退となった今シーズンを踏まえ、「A東京のようなチームはすべてのシーズンで勝つことを求められていますが、問題が数多くあった最後の2シーズンは達成できませんでした。いつこの暗闇から脱出できるかと日々考えたこともありましたが、最終的に結果が出ない場合は、やはりHCとしての責任を負うべきだと思いました」と退任への心境を語った。

 それでも、「選手たちは本当にこの5年間、特に最後の2年間は苦しい状況の中、戦い続けたと感じています。結果は出なかったですが、その姿勢や献身的な努力、プロ意識を持つ選手たちを称えたい。A東京でプレーするのであれば、このような気持ちを選手一人ひとりが持ってほしいと感じています」と、ともに戦い抜いた選手たちを称賛した。

 また、A東京の顔であり、教え子のような存在でもある田中大貴について聞かれると「大貴と馬場雄大比江島慎の3名は、国際的なレベルでも間違いなく通用すると感じています。大貴はサイズと強さ、バスケットボールIQのすべてを持っている選手で、リーグのMVP、アジアでもMVPを獲得する選手になりました。この成長を見届けることができて、本当にうれしく思います」と語った。

 さらに、「まだまだピークはあると感じています。もっとレベルアップして、もっと活躍していく選手だと思うので、これからも応援していきたい」と田中に激励のコメントを送った。

ともに2連覇を成し遂げた田中には「残りの選手人生で、行けるところまで行ってもらいたい」とまだまだ期待を寄せる[写真]=B.LEAGUE

選手からもファンからも愛された名将

 ルカHCは5年間という歳月で、ファンとも交流を深めてきた。「初めてアルバルクのファンを見たときは、インパクトがありました。情熱的で強い気持ちを持って、チームや私のことをサポートしてくれた感じます。この5年間で一緒に闘い、非常に強い絆が生まれたと思います」。

 試合中は強面な表情を崩さない指揮官だが、ファンからの人気は厚く、ルカHCの顔を大きくプリントした段幕をファンが自作。A東京のホームであるアリーナ立川立飛では、たくさんのファンがルカHCの顔を掲げて、相手のフリースローを妨害する場面も見られた。

「就任2年目のシーズンに入る初日に、竹内譲次が私の怒っている顔をプリントしたTシャツを、すべてのスタッフと選手に配っていました。譲次からはもちろんリスペクトも感じましたし、『今年もやってやろうぜ』というメッセージもあったと思います。ファンの方もそれをキャッチしたのか、チームに勝利を運ぶための、フリースローを邪魔するあのアクションが生まれました」

ファンが自作したルカHCの“顔段幕”により、数々のフリースローを妨害した[写真]=B.LEAGUE

 ルカHCの存在は、Bリーグのスタンダードを向上させ、日本のバスケットボールレベルを引き上げたと言っても過言ではない。指揮官は最後に「国際レベルではサイズが小さいので、それを補うためにメンタルとフィジカルの強さを、もっと鍛えていくべきだと感じています。もう一つはスキルレベルをもっと向上させること。トランジション、1対1のプレー、ピックアンドロールの崩し方、一つひとつのパス、シュート力。すべてのプレーを身につけ、課題を克服し、持ち味であるスピードを生かすことが大事だと思います」とすべての日本人選手へアドバイスを送った。

「この5年間、素晴らしいチームでHCをする機会を与えていただいて非常に感謝してします」と語ったルカHCは、「日本という素晴らしい国でバスケットのコーチができたこと、これは私にとっても家族にとっても、宝物のような思い出です」と感謝の気持ちを述べた。

 しばらくは国に帰って心身ともに休むというルカHCだが、いつの日か再びコートサイドに戻り、厳しい表情で選手たちにゲキを飛ばす姿が見られることを期待したい。

リーグ2連覇達成をはじめ、多くの功績を残したルカHC [写真]=B.LEAGUE

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