2023.05.08

「かなり良くなっています」齋藤拓実が復調をアピール…名古屋Dは4連勝で2大会連続のCSへ

名古屋Dのキャプテンを務める齋藤[写真]=B.LEAGUE
フリーライター

アウェーでの強豪対決を制してチャンピオンシップへ

 今季のレギュラーシーズンを4連勝で締めた名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、いい流れでチャンピオンシップを迎えられそうだ。

 最後の2連戦で顔を合わせたのは、東地区2位のアルバルク東京。今シーズンはB1のホームゲーム連勝記録を「18」に更新し、本拠地でめっぽう強い相手である。それでも名古屋Dは、アウェーで行われた最終節の初戦を1点差で競り勝つと、続く第2戦は10点差で制した。

 93-92と打ち合いとなったGAME1とは打って変わり、GAME2の最終スコアは73-63。名古屋Dは第2戦の第4クォーター序盤にアラン・ウィリアムズがファウルアウトとなるも、同クォーター開始2分19秒に飛び出した伊藤達哉のバスケットカウントを皮切りに一歩抜け出し、ゾーンプレスやゾーンディフェンスを織り交ぜた巧みな守備で勝利を手繰り寄せた。

「本当にCSのような試合でした」

 ショーン・デニスヘッドコーチはレギュラーシーズン最終戦をそう振り返り、自軍だけでなく両チームが身体をぶつけ合ったディフェンス合戦を称えた。

チーム一丸となってレギュラーシーズンを4連勝で終えた名古屋D[写真]=B.LEAGUE

苦しいシーズンを乗り越えたからこその結束

 計59試合を戦い抜き、チームの成績は西地区3位。2大会連続でチャンピオンシップ出場権をつかみ、2022-23シーズンはワイルドカード上位枠で「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2022-23」に挑む。今シーズンはキャリア初のキャプテンとしても中心に立った司令塔は、この結果に対して複数の感情が入り混じっていた。

「もちろん地区優勝を目指して戦っていたので、『選手がそろっていたら……』って思いますし、琉球さんが6連覇しましたけど、やっぱりそれを止めたかったという気持ちもあります。ただ、本当にいろんなアクシデントがあって、やっている側としては正直しんどかったです(笑)。それでも勝って結果を出せたことはすごく良かったのかなと思いますね」

 齋藤拓実の言う通り、今シーズンは様々なアクシデントに見舞われた。中でも象徴的だったのは3月だろうか。地区優勝争いとCS進出へ、より1勝の重みが増すこの期間、名古屋Dは離脱者が相次ぎ、7、8選手での試合を強いられた。だが、チームはこの逆境にも屈せず、毎試合のように続いた激闘を制した。4月初旬には復帰する選手も現れ、気づけば今季最多の8連勝。“覚醒”とも言えるチームの快進撃は、デニスHCの目にはこのように映っていた。

「あの期間中、一番目立っていたのは選手同士がお互いを信頼、信用する姿。お互いを頼るようになって、本当にチーム一丸となっていました」

離脱者が相次いだ期間に、選手同士の強い信頼関係が構築された[写真]=B.LEAGUE

 齋藤は不運に見舞われた1人であり、8連勝中はオフコートでもチームの力になれなかったという。それほど脳震盪という症状は厄介なものだった。「練習も見れることができず、試合会場にも行けたり行けなかったりだったので、そこはキャプテンとして申し訳なかったです」。それでも齊藤は言う。

「3月のチャンピオンシップにまだ出場できるかわからないときに、自分たちに必要なエナジーやディフェンスを、戦ったメンバーが示してくれました。その作ってくれた土台に、復帰したメンバーがしっかり入れたことが今につながっているのかなと思っています」

 4月15日のホームゲームからコートに戻ってきた齋藤は、復帰当初はなかなか思うようなトレーニングができなかったためハードにプレーできず、ケガへの恐怖心もあった。現状はベンチスタートが続いており、A東京戦では相手と交錯して一時会場が騒然となる場面もあった。しかし、名古屋Dの絶対的司令塔は初戦で19得点、第2戦では6アシストをマーク。「今はコンディションがかなり良くなっていますし、感覚もだいぶ取り戻せています。CS前にこういったプレーができているのは良かったです」と笑顔を見せた。

脳震盪に苦しんだ齋藤も本来の姿を取り戻しつつある[写真]=B.LEAGUE

 CS初戦の相手は琉球ゴールデンキングスに決定した。西地区王者とアウェーでの戦いとなるが、今季は負けた試合でも競り合いを繰り広げており、悪いイメージはない。齋藤らしく、ドルフィンズらしく、思いっきりプレーするだけだ。

取材・文=小沼克年

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