2024.11.15
レギュラーシーズン上位8チームによる「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24」がいよいよ幕を開ける。本稿ではチャンピオンシップの出場チームを紹介。7チーム目は最終戦でCS出場権を勝ちとったシーホース三河をピックアップする。
2023-24シーズン、三河は未来に向けて、新たな一歩を踏み出した。
28年間チームを率いてきた鈴木貴美一ヘッドコーチ(HC)が退任。歴史あるチームの舵取り任されたのは、34歳のライアン・リッチマン氏だった。NBAワシントン・ウィザーズで10年以上指導者としての経験を積んだ若き指揮官は、就任会見から2つのことを言い続けてきた。
「目標は優勝」「そのために毎日1パーセントのカイゼンを重ねる」
“新生三河”はオフェンスチームからディフェンスチームへと変貌。スターターもエースの西田優大とダバンテ・ガードナー以外は新加入選手と大幅に変わった。昨シーズン京都でブレイクした久保田義章がポイントガードを務め、韓国KBLで2年連続レギュラーシーズンベスト5に輝いたイデソンが泥臭いプレーでチームを支える。メリーランド大学時代からリッチマンHCと10年以上の付き合いという元NBAプレーヤーのジェイク・レイマン、ダイナミックかつ献身的なプレーが光るザック・オーガストが高確率に得点を奪う。さらに、チームアイデンティティの「ハードなディフェンス」を体現する長野誠史、石井講祐らがベンチに控える。
個性ある選手が一つになり「スピード感のあるバスケット」を構築してきたが、序盤は勝率5割と波があった。それでも「今日の試合で学んだことを次の試合に生かす」というブレない“カイゼン力”で、12月に8連勝を記録。「今回CSに出場する7チームとの対戦成績をみても、宇都宮以外は連敗をしていないので、自信を持ってCSに入れる」と石井は話す。
CS出場権の行方は最終戦までもつれ込んだが、自力で最後の1枚を掴み取った経験も大きいと石井は続ける。「シーズンの序盤や中盤で落とした試合を勝ち切れていれば、もっと早くCS出場を決められていたかもしれません。でも、困難を自分たちで乗り越えて何かをつかみ取るという経験ができたことは、CSを経験したことがない選手が多い中で自信になります。達成感とともに、CSに入ることができるのは非常に大きい」。
1シーズン目にしてCS出場という大仕事を成し遂げたリッチマンHCだが、その姿勢は変わらない。「ここから新しいチャレンジが始まります。この先も、目の前のポゼッションに全てを出し切る。そしてそこから学び、毎日1パーセントのカイゼンを重ねて、ハードワークしていきます」。カイゼンを重ねた先は、就任当初から掲げている「優勝」に続いている。
今シーズン途中に三河との複数年契約に合意したことを発表した若きエース・西田優大。自身初となるCSでの経験は、その全てが三河の未来につながると言っても過言ではないだろう。
リッチマンHCも「彼が日本一の選手になるために後押しをしていきたいし、その過程において、CSを経験すること、そこでの成功も失敗も全てがこれからの彼の成長の糧になる。どんな活躍を見せてくれるか楽しみにしている」と話す。
指揮官だけでなく、三河のファン・ブースター、日本のバスケットボールファンも西田の飛躍を期待しているはずだ。
文=山田智子
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