2019.08.03

鼻骨骨折も強行出場…福岡第一のシューター山田真史、インターハイ決勝で5本の3Pを記録

決勝戦では3ポイントシュート5本の15得点をマークした山田 [写真]=佐々木啓次
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「相手がゾーン(ディフェンス)でしたし、『行ってこい!』と井手口(孝)先生が送りだしてくれたので、決めるだけだなと思ってやりました」

 福岡第一高校(福岡県)の山田真史(3年)は、8月2日に行われた「令和元年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の決勝戦で計5本の3ポイントを沈めた。

 山田は現在のチームにおいて、主に6、7番手の選手としてベンチから出番を待つ存在。以前、山田ついて井手口孝コーチとチームメートの河村勇輝(3年)に、どういう選手なのかと尋ねたことがある。

 井手口コーチは「いいシューターですよ」と即答。しかし、「真面目なんですよね。真面目すぎるからもう一皮むけないと」と続けた。

 河村は、こう期待を寄せていた。

「シュートが上手くてシュートレンジも広いです。シュートだけでなら(小川)麻斗より入るかもしれません。井手口先生も信頼していて、速攻でフリーになった時に外から打つと普通は怒られたりするんですけど、『お前は打っていい』って言われています。これから経験を積めばシックスマンでの活躍も増えていくかなと思います」

山田は主にシックスマンとして活躍するシューター[写真]=佐々木啓次

 2人の言葉からもわかるように、「自分の仕事は3ポイント」(山田)と役割は明確。今大会では、82点差をつけて圧勝した初戦の海部高校(徳島県)戦こそ7本の3ポイントを決めたが、その後の土浦日本大学高校(茨城県)、東山高校(京都府)との試合では3ポイントは1本も決まらず。山田は不振にあえいでいた。

 さらに東山戦では、山田にアクシデントが襲った。第3クォーター終盤に味方と交錯した際に鼻を負傷。試合後に病院へ行くと「鼻骨骨折」と診断された。しかも医者からは、「もうちょっと場所悪かったら目が見えなくなっていた」と告げられたという。

 東山との準々決勝に勝利した福岡第一は、翌日からも準決勝、決勝と試合がある。山田はケガを負いながらも「薬をもらったので、痛みは1日で引きました」と、その後も試合に出続けた。しかも、鼻を守るためのフェイスガードも着用しなかった。

「今井(康輔)アシスタントコーチが借りてきてくださったんですけど、『ここまで来たらそんなの関係ない』」

 その気迫もあってか、準決勝の開志国際高校(新潟県)戦では6分間の出場ながら2本中1本の3ポイントを記録。一筋の光明が差すと、北陸高校(福井県)戦では「1本目が決まったので、自分の中で流れに乗れました」と、第2クォーターだけで4本の長距離砲を射抜く活躍を見せた。

決勝戦では高確率でシュートを沈めた [写真]=佐々木啓次

 インターハイ優勝後は「この景色を見るためにずっと走りこんでやってきたので最高です」と素直な感想を述べた山田は、チームとともに有終の美を飾って今大会を終えた。

「チームの流れを変えるポジションなので、出た時からハッスルして勢い与えられるように。3ポイントもしっかり1本目から決められるようにしたいです」

 全国でもマークされるシューターになるために、これからも努力を続ける。

文=小沼克年

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