2021.08.10

36得点28リバウンドを挙げる活躍…アレセイア湘南のエースとして躍動したジャファリ伶奈

アレセイア湘南を引っ張るジャファリ伶奈[写真]=伊藤 大允
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

「私がいい加減な気持ちでやっていたら、絶対に勝てない。常に誰よりも強い気持ちを持ってプレーすればチームのみんなも付いてきてくれるので、『自分がやるんだ』という気持ちは強いです」

 大事な初戦で圧勝してもなお、アレセイア湘南高校(神奈川県)のエースはそう言って自らを奮い立たせた。

 8月10日に行われた「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の女子1回戦、アレセイア湘南は小禄高校(沖縄県)に80−45の大差で勝利。この試合、ジャファリ伶奈(3年)はチーム合計点数の約半分にあたる36得点を奪うだけでなく、28個のリバウンドを奪って抜群の存在感を示した。

 ジャファリの身長はチームで最も高い175センチ。アレセイア湘南は、彼女を含め170センチ台が2人と全国的に見れば高さで劣る。しかし、この日対戦した小禄は最高身長が166センチと小さく、機動力で勝負するチームであった。

「今日の相手は身長が低かったので、ゴール下のシュートをしっかり決めなければいけないと思っていました。リバウンドはさすがに全部拾いきれないですけど、取り切れるボールは自分が100パーセント取るという気持ちをもっと出せればよかったのかなと思います」と、自身の出来を振り返るジャファリ。その言葉からも、気持ちの強さが伝わった。

 現在のチームでは「まずはリバウンドを取ること」が一番の仕事ではあるものの、「ハンドリングやドリブルに関してはガード陣にも負けない自信がある」と本人も言うように、彼女はオールラウンドにプレーできる選手だ。

 試合後には「今日の相手はドリブルをしたら寄ってくるのがわかっていたので、まずは周りにパスを出して自分はゴール下でアタックすることを小室(敦美)先生に言われていました。なので、あまりドリブルはしなかったです」とも明かし、「身長が高いチームには外のプレーもやっていきたいです」と意欲的な姿勢を見せた。

 また、チームに目を向ければ、現在は明星学園高校(東京都)を率いる張一コーチから小室コーチに指揮官が変わり、2年目のシーズンを送っている最中だ。

 中学校3年のときから約2年間、張コーチの指導を受けたというジャファリは、「2人とも素晴らしい指導者です」と前置きしたうえで「厳しさの面では張コーチの方があったのですが、小室先生になってから、より考えてバスケットをすることが増えました。あとは女性同士なので話しやすい部分もあります」と、この変化を前向きに捉えている。

アレセイア湘南の指揮を執る小室敦美コーチ[写真]=伊藤 大允

 とはいえ、コーチが変われども、チームの目指すべき場所が変わったわけではない。アレセイア湘南が掲げるのはチーム史上最高成績、つまりは全国ベスト8に入ることだ。

 明日は地元・新潟県代表であり、北信越大会を制した開志国際高校との一戦。まさに目標達成へ向けての山場と言えるだろう。

 アレセイア湘南を背負うエースは「絶対に勝ちたい」と言ったあと、間髪入れずにこう言い直した。

「絶対に勝ちます!」

写真=伊藤 大允
取材・文=小沼克年

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